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第一部 サークルポリス襲撃編
元転移転生魔術師、規模を知る 前編
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ワシは、白のローブに着替えていた。
母のリーリエが、ワシのためにと作ってくれた物じゃ。
羽織るものなら、異世界【日本】から万能☆弾き☆レインコートを転移する事もできたが、それはせんかった。
だって、目立ちたくないからの。
ワシは今、馬車に揺られ景色を眺めておる。
見渡す限りの道と草原。遠くに見えるのは大きな森。
ワシとラスティアは、サークルポリスに向かっていた。
ラスティアが運転し、ワシは中でただ座っておる。
ワシは思い返しておった。
両親からあっさり許可をもらった事についての。
そりゃあ、「明日騎士さんと一緒に行く事にしたから、今晩は泊めていってあげて。数日出かけるだけだから心配しないで。必ず帰ってママとパパと暮らしたいから」……と。
妥協を込めて説得したものの、もう少し反対されると思っておった。激しいようなら両親も眠らせようかと準備もしておった。
実はワシ、あまり愛されておらぬ?
そう言えば子作りに励んでおるし、もしかして子供ができるまでのつなぎだったりするんじゃないか……。
そうだとしたらワシ、子供ができたら捨てられ……?
「気分が優れませんか、マリー様?」
と、物思いにふけっていた所で、ラスティアに声をかけられる。
「ご心配には及びません。これから向かう所はデウディーン教団の総本山。サークルポリスに着けば、その素晴らしさに悩みなど吹き飛んでしまうでしょう」
デウディーン教団の良さとやらを、吹き込んでくるラスティア。しかも妙な事に仰々しいのじゃ。
「聞きたいのじゃが、何でワシに敬語? しかも何で名前に様ってつける?」
「はっ! なぜなら昨日、全知全能な方から天啓を受けたからです! マリーの様をお連れしろと!」
ワシの訝しむ態度に構わないのか気づかないのか、背筋をピン、と伸ばす。そしてワシの方に振り向き、敬礼してきたのだ。
「その方はとても荘厳で、鮮烈の一言! 改めて、あの方の偉大さと己の矮小さを思い知りました。今までにこのような事は無かったのですが、……マリー様と出会って、実現したのです。このような奇跡、このようなめぐり合わせが偶然とは、とても思えません!」
拳を握り、感情を込めて喋り続けるラスティア。あの方と言うのは、……昨日のワシじゃろうな。
「初めはマリー様とあの方を同一人物と疑っていたのです。ですがあの方によると、そうではないと……。しかし、近い存在である可能性ある……そう思えてなりませんでした。なのでこの巡り合い、この奇跡に感謝の意味を込め、マリー様と呼ばせていただきたいのです!」
馬車を操っている最中だというのに、深々とワシに向かって頭を下げてしまうラスティア。
何これ? もしかして、昨日のアレ、あんまり効いてなかった?
あの方――デウディーン(ワシ)が現れて、マリー(ワシ)に敬語を使う……っていう下りが意味不明なんじゃけど……?
「いや、そんなんいいから、運転に集中して?」
「はっ! 誠心誠意、サークルポリスまで護衛させていただきます!」
即座にラスティアは前を向く。そして引き続き馬車を運転していく。
不気味な位に素直じゃな……。本当にワシ(マリー)の事、別人と思ってる?
う~ん、本当は催眠の効果を追求したい所じゃが……。
『マスター、なぜ【あの方】について質問しないのです?』
「……お主、分かって言っておるじゃろ。子作りまで言って脅したのに、そのトラウマをほじくれと?」
『すみません、よくわかりません。私を困らせないでください』
あ! コイツ逃げおったな! 一撃離脱戦法でもかますつもりか!
……まあ実際の所、あの卑怯な手段を利用したいとは思っておらん。
となると、今はラスティアの言葉を信じる。それでいくしかなかろう。
「あー、前を見ながらでいいから、答えてくれんか?」
「ははっ! マリー様のご命令とあらば!」
「んな畏まらんでも……。デウディーン教団の全容というか、規模とかを教えてほしいんじゃが……」
母のリーリエが、ワシのためにと作ってくれた物じゃ。
羽織るものなら、異世界【日本】から万能☆弾き☆レインコートを転移する事もできたが、それはせんかった。
だって、目立ちたくないからの。
ワシは今、馬車に揺られ景色を眺めておる。
見渡す限りの道と草原。遠くに見えるのは大きな森。
ワシとラスティアは、サークルポリスに向かっていた。
ラスティアが運転し、ワシは中でただ座っておる。
ワシは思い返しておった。
両親からあっさり許可をもらった事についての。
そりゃあ、「明日騎士さんと一緒に行く事にしたから、今晩は泊めていってあげて。数日出かけるだけだから心配しないで。必ず帰ってママとパパと暮らしたいから」……と。
妥協を込めて説得したものの、もう少し反対されると思っておった。激しいようなら両親も眠らせようかと準備もしておった。
実はワシ、あまり愛されておらぬ?
そう言えば子作りに励んでおるし、もしかして子供ができるまでのつなぎだったりするんじゃないか……。
そうだとしたらワシ、子供ができたら捨てられ……?
「気分が優れませんか、マリー様?」
と、物思いにふけっていた所で、ラスティアに声をかけられる。
「ご心配には及びません。これから向かう所はデウディーン教団の総本山。サークルポリスに着けば、その素晴らしさに悩みなど吹き飛んでしまうでしょう」
デウディーン教団の良さとやらを、吹き込んでくるラスティア。しかも妙な事に仰々しいのじゃ。
「聞きたいのじゃが、何でワシに敬語? しかも何で名前に様ってつける?」
「はっ! なぜなら昨日、全知全能な方から天啓を受けたからです! マリーの様をお連れしろと!」
ワシの訝しむ態度に構わないのか気づかないのか、背筋をピン、と伸ばす。そしてワシの方に振り向き、敬礼してきたのだ。
「その方はとても荘厳で、鮮烈の一言! 改めて、あの方の偉大さと己の矮小さを思い知りました。今までにこのような事は無かったのですが、……マリー様と出会って、実現したのです。このような奇跡、このようなめぐり合わせが偶然とは、とても思えません!」
拳を握り、感情を込めて喋り続けるラスティア。あの方と言うのは、……昨日のワシじゃろうな。
「初めはマリー様とあの方を同一人物と疑っていたのです。ですがあの方によると、そうではないと……。しかし、近い存在である可能性ある……そう思えてなりませんでした。なのでこの巡り合い、この奇跡に感謝の意味を込め、マリー様と呼ばせていただきたいのです!」
馬車を操っている最中だというのに、深々とワシに向かって頭を下げてしまうラスティア。
何これ? もしかして、昨日のアレ、あんまり効いてなかった?
あの方――デウディーン(ワシ)が現れて、マリー(ワシ)に敬語を使う……っていう下りが意味不明なんじゃけど……?
「いや、そんなんいいから、運転に集中して?」
「はっ! 誠心誠意、サークルポリスまで護衛させていただきます!」
即座にラスティアは前を向く。そして引き続き馬車を運転していく。
不気味な位に素直じゃな……。本当にワシ(マリー)の事、別人と思ってる?
う~ん、本当は催眠の効果を追求したい所じゃが……。
『マスター、なぜ【あの方】について質問しないのです?』
「……お主、分かって言っておるじゃろ。子作りまで言って脅したのに、そのトラウマをほじくれと?」
『すみません、よくわかりません。私を困らせないでください』
あ! コイツ逃げおったな! 一撃離脱戦法でもかますつもりか!
……まあ実際の所、あの卑怯な手段を利用したいとは思っておらん。
となると、今はラスティアの言葉を信じる。それでいくしかなかろう。
「あー、前を見ながらでいいから、答えてくれんか?」
「ははっ! マリー様のご命令とあらば!」
「んな畏まらんでも……。デウディーン教団の全容というか、規模とかを教えてほしいんじゃが……」
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