追放されたので千年後に転生しました~その幼女、元転移転生魔術師の再来~

がっきー

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第一部 転生編

一方のたかしの過去、ふんぞり返る 後編

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 明確に聞こえた、オレへの批判。
 すぐに、声のした方へ振り向いた。

 母と子だった。どちらも布切れ一枚、半裸の格好。まあ、オレが若い女信者にそう着せてるからね。

 母はそこそこだが膨らみがあり、メリハリのついた身体つき。
 一方の幼女。小さいものの、胸が蕾のように膨らみ始めている。

 母は申し訳なさそうにしているが、一方の幼女は見るからに不満そうだった。

「お嬢ちゃ~ん? どういう事かな~?」

 これはもう、無視できない。
 そう思ったオレは幼女に接近し、話しかける。

「何かオレのやり方に不満があるみたいだけどぉ、……言いたい事があったら聞くよぉぉぉ?」

「ねぇ、何で私たちだけこんな格好しなきゃいけないの?」

 間髪入れずに開く幼女の口。疑問が飛んでくる。

「何で男の人とおばさんは普通の服を着ているのに私たちだけ布切れなの? 何で宝石あげなきゃいけないの? 何で一日あげられなかっただけで怒られなきゃいけないの? 何で神様、私とママの胸さっきからジロジロ見てくるの?」

 次々と飛んでくる疑問。
 何だこのガキ、えらく反抗的じゃねぇか。

「お嬢ちゃ~ん、それはねぇ、そういうルールだからだよぉ。だから従わなきゃだめなんだよぉ?」

「何で? 向こうはそんな事しなかったよ? 最初から着替えなくていいって言われたし、宝石も毎日はいらないって言われたよ?」

 ……は? 向こう?
 オレ以外って事?

「向こうの教会の方がキレイだったよ? トイレ掃除も行き届いてたよ? それに向こうの方が人も多かったし、神様はいなかったけど教祖様はカッコよかったよ? コッチよりイケメンだったんじゃないかな? それに寄付も少なくていいし、もし家計が苦しい時は免除してくれるって……」

「シャラップゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……!!!」

 オレは大声で怒鳴ってやった。
 幼女があまりにも質問攻めしてくるからだ。埒があかないと思ったオレは黙らせるため、叫んでやったのだ。
 しかしイライラが止まらねぇ。ホンマムカつくわ、この幼女。

 よし決めた、説教したろ。
 そう思ったオレは幼女にさらに接近、目線を合わせ睨みつけてやる。

「あのな、お前な……色々言うてくれたけどな。……そもそもや、オレの方が風情があってええんやぞ? キレイな教会言うけどお前、んなもん見た目やんけ。そんな薄っぺらいもんにお前騙されんの? それにオレの方がイケメンやろ? 見ろよこの顔、メガネと若さ全開、真面目な黒髪、優しい性格、……どれをとってもパーフェクトやんけ……。分かっとんか? お? お前誰に口聞いとんのか分かって……」

 色々言ってやった所で、オレは気がついた。
 信者たちの様子だ。みんな怯えた目でオレを見ていやがる。母親に至っては震えていやがる。

 いけねぇや、オレとした事が。紳士的にいかねぇと。
 母と幼女は、後でオレに加えて幹部クラスの男たちにも奉仕させてやるから。それで勘弁してやるか。

「ねぇ、お嬢ちゃん。その向こうの教会って何て名前? どういう女神を祀ってるの?」

 できるだけ優しい声で幼女に尋ねる。
 もちろん、後で潰すためだ。オレの信者を集めて、跡形も残らないように叩き潰してやる。

 しかし、その答えは意外すぎた。
 意外過ぎて、固まってしまう程だった。

「デウディーン」

「……は?」


「デウディーンだよ。唯一の転移魔法の使い手で、世界最高峰の魔術師であり神様。その教団はね、デウディーン教団っていうの」



************************

【サージャ】≪『第八話をお読みいただき、ありがとうございます』

【サージャ】≪『いよいよ始まりましたね、田中たかしの視点が』

【サージャ】≪『マスターの死後、女神化――女神と【同等の力を得た】という解釈で問題ないでしょう――から随分と好き放題していたようですね』

【サージャ】≪『しかし、マスターが転生してからというもの、彼を知る者は見当たらず。女神曰く、基本的に不老不死でも、人々の信心が無くなると消滅するという話でしたが……』

【サージャ】≪『あるいは、その経緯が明らかになるのかならないのか……』

【サージャ】≪『それでは、次回をお楽しみに』
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