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第二章
戌歴九九八年・夏(二)
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西方霊堂から十数キロ離れた湖のほとりに、ラウラの育った西堂学舎はあった。
西方霊堂が管理、運営するこの学舎は、身寄りのない子どもたちの養護兼教育施設である。
誰でも入れるというわけではなく、知能、霊操が特別に優れた孤児のみが入舎を許可される、技師の養成所であった。
幼いころ両親を亡くしたカーリーとラウラの兄妹は、この学舎が創設されると同時に入所を果たした。
彼らの両親は著名な技師であり、その才を受け継いでいるだろうと見込まれたためだ。
そして事実、兄は類まれなる頭脳を、妹は卓越した霊操能力を有していた。
二人は高い教育と厳しい修練を経て、その才能を見事開花させた。
現在収容されている五歳から十歳までの十人の子どもたちもまた、将来を嘱望されている、金の卵だった。
ラウラは五つの天幕からなる学舎をカイに案内して歩いた。
「ここが座学を行うところで、あっちの奥にあるのが子どもと先生方それぞれの寝所です。向こうにあるのが倉庫と食堂を兼ねています」
「なるほどなあ、ここで君は育ったわけか」
カイはラウラの異動について、休暇を兼ねた里帰りのようなものだ、とだけ聞かされていた。
「ひさびさの我が家はどうだった?」
カイは屈託のない笑顔で訊ねる。
「すこしは休めた?いっぱい遊べた?」
「違いますよ」
ラウラはカイの言葉をやんわりと訂正する。
「私は休むためにここにきたんじゃありません。子どもたちの指導に来たんです。それに、たしかに私は学舎育ちですが、場所も変わりましたし、先生方もわたしの知っている人は皆いなくなってしまっていましたから、我が家という感覚はありません」
「え、そうなの?」
「はい。西堂学舎はもとは西方霊堂に付属していました。今は候補生の宿舎に使われている建物がそうです。当時の建物も、面倒を見てくれた人たちも、今は候補生の相手をしているので、どちらかといえば霊堂の方が私にはなじみ深い場所なんです」
「……そうだったのか」
学舎をひと回りしたカイとラウラは、湖の岸辺に腰を降ろした。
夕暮れ時だが、太陽の光は強いままで、長い影を大地に引いていた。
子どもたちは少し離れたところにある巨木の根元に集まり、シェルティが奏でる弦楽器に合わせて童謡を歌っている。
「殿下は本当に器用な方ですね。楽器まで弾けるなんて」
「おまけに子どもにも好かれるからなあ。スペック高すぎだよ、あいつ」
どこか誇らしげに不満をこぼすカイに、ラウラは思わず笑ってしまう。
「ふふ、大使閣下も、みんなに懐かれていたじゃないですか」
カイは苦笑いを浮かべる。先ほど子どもたちに質問攻めにされ、体中を触られたばかりだったのだ。
「あれは珍しい生き物を見つけて興奮してただけだと思うけど……。でも、ここ一か月ずっとひとりであいつらの相手してたんだろ?大変だったな」
「いえ、今日は一人ですが、いつもはもう二人、別の先生がいますから」
「その二人はどこいってんだ?」
「今日は市場まで買い出しに」
「そっか。――――でも大変なことには変わりないよな。あいつら元気ありあまってるし。勉強とか修練の面倒もずっと見てたんだろ?」
労わるカイに、苦ではありませんと、ラウラは返した。
「あの子たちは妹弟同然ですから、面倒を見るのは当然です。それにここにいる間は久しぶりに自分の修行に時間を使うことができました。だから、暇を頂けたことは、とても感謝しています」
カイはその言葉を聞いて、力の抜けた笑顔を見せる。
「君はどこにいても真面目なんだな。でもそれを聞けてよかった。――――これは言伝なんだけどさ、君が望むなら、このままここにいてもいいって」
「……え?」
「ここで子どもたちの面倒見るのも、立派な務めだし、あっちは気苦労も多いだろうからって――――」
「それは、ノヴァ様からですか?」
ラウラは表情を強張らせる。
「私は、不用だということでしょうか」
ラウラは唇を噛みしめた。
みるみるうちに、目元と鼻が赤くなり、大きな瞳いっぱいに涙が溜まっていく。
「ち、ちがうよ!」
カイは慌てて否定する。
「いや言ったのはたしかにノヴァだけど!そうじゃなくて!君が不用とか、それはまじで絶対にない!」
「でも――――」
「でもじゃない!ありえない!それにおれは君に戻ってきてほしいし!」
カイはつい自分の口をついた本音に、しまった、と眉をしかめる。
「あー……くそ……」
カイは自らの失態を誤魔化すように乱暴に頭を搔きむしりながら言う。
「まじで嫌じゃない?戻ってくるの」
ラウラは涙がこぼれる前に拭いとり、はっきりと頷いた。
ラウラはノヴァに与えられたこの暇を、挽回するための猶予でもある、と思い込んでいた。
カイや丙級の候補生の伸びしろが悪いことに強く責任を感じていた彼女は、自らの修練とともに彼らがどうしたら成績を伸ばすことができるか、それだけを考えてこのひと月を過ごしていた。
その成果を発揮する機会も得られぬまま教官を降りることは、すべての努力が水の泡となる、耐えがたいものだったのだ。
ラウラの意志を確認したカイは、今度は建前を抜きに話し始めた。
「正直、よかった。おれも、丙級のみんなも、やっぱラウラに戻ってきてほしかったからさ」
「閣下……」
「今の先生が嫌とかじゃないよ?今のひともいい人だし。でもやっぱ、ラウラにしごかれてるときの方がやりがいあったし、楽しかったし。先生と生徒じゃ立場違うけど、同じクラスの仲間だと思うからさ、おれたち。霊堂にいたら、ラウラが忙しくて大変ってことはわかってるけど、でもやっぱ、帰ってきてほしいよ」
ラウラはまた瞳に涙を浮かべる。
「私、帰っていいんですか?役に立ちますか?」
「当然!むしろこっちからお願いしたいくらいだよ!でもその……本当に辛くないか?そっちの方が心配で……」
ラウラは涙を拭った。カイにこれ以上いらぬ心配をかけないため、明るい声と笑顔で言った。
「ここにいる方が辛いです。みなさんの修練が気になって、夜も眠れないくらいでしたから」
カイはラウラが見せた強がりを支えるように、同じ明るさで応じた。
「言ったな!?帰ったらびっくりさせてやるよ、おれらあれからめちゃくちゃ成長したんだからな!」
二人が笑い声をあげると、それまで絶え間なく響いていたシェルティの演奏がやんだ。
「話はおわったかい?」
シェルティは手を振りながら、ラウラとカイに声をかける。
ラウラとカイは手を振り返してそれに答える。
「待たせて悪かったな!」
「演奏、とってもお上手でした」
「ありがとう。――――それじゃあすぐに出発しようか。はやくしないと霊堂に着く前に暗くなってしまうからね」
シェルティの言葉に、子どもたちが騒ぎ立てる。
「もう帰るの?!」
「やだ!まだいて!」
「まだ遊ぶ!!」
シェルティは笑顔で子どもたちを窘める。
「ごめんね。でもほら、先生たちも帰ってきたし、君たちももう夕飯の時間だろう?」
市場から戻ってきた中年の女性二人が、子どもたちを引きとりに駆け寄ってくる。
二人はシェルティに深く礼をすると、子どもたちに学舎に戻るよう促す。
しかし子どもたちは騒ぎ続ける。
シェルティはどうしたものかと考えを巡らせ、ふと思いついたように、片目を閉じて言った。
「あのお兄さんはね、夜に僕と遊ばないと眠れないんだ。それもその遊びはとっても騒がしいから、とても人には聞かせられない。だから僕たちは自分たちの家に帰らないといけないんだよ」
何も知らない子どもたちはきょとんとして顔を見合わせる。
しかし世話人である女たちはこれでもかたいうほど目を大きく開き、カイとシェルティを交互に見る。
「え……!?おふたりはまさか……」
カイは大声で訂正する。
「遊びってあれね!盤双六のことね!!あはは、まったく紛らわしい言い方すんなよな!」
子どもたちの手前、カイはそれ以上の暴言は吐かなかったが、代わりに踵でシェルティのつま先を強く踏みつけた。
シェルティは顔色一つ変えなかった。
「照れなくていいのに」
「お前は少しは恥を知れ!」
「恥じることなんてなにもないだろう?」
「この野郎……」
カイは羞恥に歪んだ顔をラウラに向ける。
「ほんとまじで、君がいないとシェルティのアレに拍車がかかるんだよ。帰って来てくれるのすげえ助かるよ」
ラウラは困った笑顔を浮かべた。
カイとシェルティは、すこし見ない間に、またさらに仲を深めたようだった。
西方霊堂が管理、運営するこの学舎は、身寄りのない子どもたちの養護兼教育施設である。
誰でも入れるというわけではなく、知能、霊操が特別に優れた孤児のみが入舎を許可される、技師の養成所であった。
幼いころ両親を亡くしたカーリーとラウラの兄妹は、この学舎が創設されると同時に入所を果たした。
彼らの両親は著名な技師であり、その才を受け継いでいるだろうと見込まれたためだ。
そして事実、兄は類まれなる頭脳を、妹は卓越した霊操能力を有していた。
二人は高い教育と厳しい修練を経て、その才能を見事開花させた。
現在収容されている五歳から十歳までの十人の子どもたちもまた、将来を嘱望されている、金の卵だった。
ラウラは五つの天幕からなる学舎をカイに案内して歩いた。
「ここが座学を行うところで、あっちの奥にあるのが子どもと先生方それぞれの寝所です。向こうにあるのが倉庫と食堂を兼ねています」
「なるほどなあ、ここで君は育ったわけか」
カイはラウラの異動について、休暇を兼ねた里帰りのようなものだ、とだけ聞かされていた。
「ひさびさの我が家はどうだった?」
カイは屈託のない笑顔で訊ねる。
「すこしは休めた?いっぱい遊べた?」
「違いますよ」
ラウラはカイの言葉をやんわりと訂正する。
「私は休むためにここにきたんじゃありません。子どもたちの指導に来たんです。それに、たしかに私は学舎育ちですが、場所も変わりましたし、先生方もわたしの知っている人は皆いなくなってしまっていましたから、我が家という感覚はありません」
「え、そうなの?」
「はい。西堂学舎はもとは西方霊堂に付属していました。今は候補生の宿舎に使われている建物がそうです。当時の建物も、面倒を見てくれた人たちも、今は候補生の相手をしているので、どちらかといえば霊堂の方が私にはなじみ深い場所なんです」
「……そうだったのか」
学舎をひと回りしたカイとラウラは、湖の岸辺に腰を降ろした。
夕暮れ時だが、太陽の光は強いままで、長い影を大地に引いていた。
子どもたちは少し離れたところにある巨木の根元に集まり、シェルティが奏でる弦楽器に合わせて童謡を歌っている。
「殿下は本当に器用な方ですね。楽器まで弾けるなんて」
「おまけに子どもにも好かれるからなあ。スペック高すぎだよ、あいつ」
どこか誇らしげに不満をこぼすカイに、ラウラは思わず笑ってしまう。
「ふふ、大使閣下も、みんなに懐かれていたじゃないですか」
カイは苦笑いを浮かべる。先ほど子どもたちに質問攻めにされ、体中を触られたばかりだったのだ。
「あれは珍しい生き物を見つけて興奮してただけだと思うけど……。でも、ここ一か月ずっとひとりであいつらの相手してたんだろ?大変だったな」
「いえ、今日は一人ですが、いつもはもう二人、別の先生がいますから」
「その二人はどこいってんだ?」
「今日は市場まで買い出しに」
「そっか。――――でも大変なことには変わりないよな。あいつら元気ありあまってるし。勉強とか修練の面倒もずっと見てたんだろ?」
労わるカイに、苦ではありませんと、ラウラは返した。
「あの子たちは妹弟同然ですから、面倒を見るのは当然です。それにここにいる間は久しぶりに自分の修行に時間を使うことができました。だから、暇を頂けたことは、とても感謝しています」
カイはその言葉を聞いて、力の抜けた笑顔を見せる。
「君はどこにいても真面目なんだな。でもそれを聞けてよかった。――――これは言伝なんだけどさ、君が望むなら、このままここにいてもいいって」
「……え?」
「ここで子どもたちの面倒見るのも、立派な務めだし、あっちは気苦労も多いだろうからって――――」
「それは、ノヴァ様からですか?」
ラウラは表情を強張らせる。
「私は、不用だということでしょうか」
ラウラは唇を噛みしめた。
みるみるうちに、目元と鼻が赤くなり、大きな瞳いっぱいに涙が溜まっていく。
「ち、ちがうよ!」
カイは慌てて否定する。
「いや言ったのはたしかにノヴァだけど!そうじゃなくて!君が不用とか、それはまじで絶対にない!」
「でも――――」
「でもじゃない!ありえない!それにおれは君に戻ってきてほしいし!」
カイはつい自分の口をついた本音に、しまった、と眉をしかめる。
「あー……くそ……」
カイは自らの失態を誤魔化すように乱暴に頭を搔きむしりながら言う。
「まじで嫌じゃない?戻ってくるの」
ラウラは涙がこぼれる前に拭いとり、はっきりと頷いた。
ラウラはノヴァに与えられたこの暇を、挽回するための猶予でもある、と思い込んでいた。
カイや丙級の候補生の伸びしろが悪いことに強く責任を感じていた彼女は、自らの修練とともに彼らがどうしたら成績を伸ばすことができるか、それだけを考えてこのひと月を過ごしていた。
その成果を発揮する機会も得られぬまま教官を降りることは、すべての努力が水の泡となる、耐えがたいものだったのだ。
ラウラの意志を確認したカイは、今度は建前を抜きに話し始めた。
「正直、よかった。おれも、丙級のみんなも、やっぱラウラに戻ってきてほしかったからさ」
「閣下……」
「今の先生が嫌とかじゃないよ?今のひともいい人だし。でもやっぱ、ラウラにしごかれてるときの方がやりがいあったし、楽しかったし。先生と生徒じゃ立場違うけど、同じクラスの仲間だと思うからさ、おれたち。霊堂にいたら、ラウラが忙しくて大変ってことはわかってるけど、でもやっぱ、帰ってきてほしいよ」
ラウラはまた瞳に涙を浮かべる。
「私、帰っていいんですか?役に立ちますか?」
「当然!むしろこっちからお願いしたいくらいだよ!でもその……本当に辛くないか?そっちの方が心配で……」
ラウラは涙を拭った。カイにこれ以上いらぬ心配をかけないため、明るい声と笑顔で言った。
「ここにいる方が辛いです。みなさんの修練が気になって、夜も眠れないくらいでしたから」
カイはラウラが見せた強がりを支えるように、同じ明るさで応じた。
「言ったな!?帰ったらびっくりさせてやるよ、おれらあれからめちゃくちゃ成長したんだからな!」
二人が笑い声をあげると、それまで絶え間なく響いていたシェルティの演奏がやんだ。
「話はおわったかい?」
シェルティは手を振りながら、ラウラとカイに声をかける。
ラウラとカイは手を振り返してそれに答える。
「待たせて悪かったな!」
「演奏、とってもお上手でした」
「ありがとう。――――それじゃあすぐに出発しようか。はやくしないと霊堂に着く前に暗くなってしまうからね」
シェルティの言葉に、子どもたちが騒ぎ立てる。
「もう帰るの?!」
「やだ!まだいて!」
「まだ遊ぶ!!」
シェルティは笑顔で子どもたちを窘める。
「ごめんね。でもほら、先生たちも帰ってきたし、君たちももう夕飯の時間だろう?」
市場から戻ってきた中年の女性二人が、子どもたちを引きとりに駆け寄ってくる。
二人はシェルティに深く礼をすると、子どもたちに学舎に戻るよう促す。
しかし子どもたちは騒ぎ続ける。
シェルティはどうしたものかと考えを巡らせ、ふと思いついたように、片目を閉じて言った。
「あのお兄さんはね、夜に僕と遊ばないと眠れないんだ。それもその遊びはとっても騒がしいから、とても人には聞かせられない。だから僕たちは自分たちの家に帰らないといけないんだよ」
何も知らない子どもたちはきょとんとして顔を見合わせる。
しかし世話人である女たちはこれでもかたいうほど目を大きく開き、カイとシェルティを交互に見る。
「え……!?おふたりはまさか……」
カイは大声で訂正する。
「遊びってあれね!盤双六のことね!!あはは、まったく紛らわしい言い方すんなよな!」
子どもたちの手前、カイはそれ以上の暴言は吐かなかったが、代わりに踵でシェルティのつま先を強く踏みつけた。
シェルティは顔色一つ変えなかった。
「照れなくていいのに」
「お前は少しは恥を知れ!」
「恥じることなんてなにもないだろう?」
「この野郎……」
カイは羞恥に歪んだ顔をラウラに向ける。
「ほんとまじで、君がいないとシェルティのアレに拍車がかかるんだよ。帰って来てくれるのすげえ助かるよ」
ラウラは困った笑顔を浮かべた。
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