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1章
38話 120坪の土地で
しおりを挟む俺は今、120坪ある土地のど真ん中に独りぼっちでいる。
なぜ、こんなところに独りでいるのか。その原因を今一度考えるため、少し前の時間まで遡る.........。
手形を受け取り、べルート公爵らと共に商業ギルドの外に出た俺たちは、そのまま来た時に乗っていた馬車に乗り込んだ。
俺は商業ギルドを出たらそのままお別れだと思っていたのだが、俺に案内する場所があるとのことだったので、俺は何も言わずにそのまま馬車に同乗したわけだが.......おすすめの宿でも紹介してくれるのかな? そんな呑気なことを思っていた過去の自分を殴ってやりたい気分だ。
そして、案内された場所というのが、今いるこの120坪の更地の土地だ。
そして、今現在、というか先程からこの土地の所有者は俺になった。
意味がわからないだろ? 俺も同じだよ!!!
とは言っても一応べルート公爵から説明はされている。
『昨日の話で説明した通り、レイに土地を用意した。レイの要望通り、商業区域ではなく、民家のある場所に用意したがここで問題ないよな? それと、レイは最初この土地を売って欲しいとの事だったが、さっき買った指輪の代金の残り分としてここを売るから金はいらんからな。では、我々は仕事もあるしこれで失礼する。レイ、本当に本当にありがとう。また何か頼みたいことがあれば、いつでも話を聞くからな。それでは、またな』
うん、一つの話に凝縮されすぎて俺は脳内処理が追いつかなかったよ。
だから俺はその場で返せた言葉は一言だった。
『何から何まで用意していただいてありがとうございます。これからここで頑張ります』
そう、自然と何故かそんな言葉を出していたんだ。
そしてその言葉を無意識に紡いで俺は決心したんだ。
『この土地で新たな人生を歩んでいこう』
ってね。
まあ、さっき七百万ゴル貰ったのに、こんな広い土地をさっきの指輪の残り代金として与えられたこととか、昨日の俺はなんで商業区ではなく、平民区で商売をすることにしたのかとか、分からないことはいっぱいある。
でも、もう気にしないことにした。
俺はこの世界に来てあることを学んだ。というか、その言葉を座右の銘的なものにしようと決めた。
その言葉とは........。
『なるようになる。』
だ。
うん、今の俺には一番お似合いの言葉だな。
さて、異世界での生き方は決まった。なら早速行動に移らないとだな。いつまでも広大な土地の真ん中で棒と突っ立っていても何も始まらない。
兎にも角にも、今すべきことはただ一つ。
家造りだ!!!
とは意気込んでみたものの、本当に創造で家なんて創れるんだろうか?
いや、女神様から貰ったチートスキルだし、大丈夫か?
うーん、まあとりあえず試してみればわかるか。
まずは、どれくらいの大きさのお店にするかだけど.......まあそんなに大きすぎないでいいよな? あんまり大きい店にしても、そもそもお客さんが来なかったら無駄だしね。
土地は120坪あるし、とりあえず30坪ちょっとくらいでいいかのな? そもそもお店なんて持ったことないからどれくらいがいいとかわかんないしな。てかそもそも中学生で家の土地の広さとか気にしないし。
大きさは決まったけど、あとは建てる場所だな。
商店になるんだから、恐らく道路沿いに建てるのは確定として、後は......まあ、土地の角にでも建てれば今はいいか。
そう思い、俺は創造するために家のイメージを練る。
大きさは30坪で、造りは異世界だし石造りだな。
階数は.....二階建てで、地下ありの三階構造。
一階の間取りは40畳をお店に使う。残りの20畳は、休憩室とか、在庫置き場にトイレに使おう。後は廊下と二階に上がるための階段部分もね。
二階は、15畳の広さの部屋を2つ。10畳の広さの部屋を2つ。残りは、トイレとか物置部屋その他ってところだな。
で、地下は、45畳を使って大浴場にして、残りの部分は脱衣場とかトイレ、それに化粧台スペースとかに使う。
後は、まあそれぞれの部屋に照明器具にエアコン、2階の15畳をの部屋にだけはキッチンも備え付けてあればOKかな?
よし、こんなもんか? まあこれは実験みたいなものだから初めての家の創造は、失敗ありきで考えた方がいいかな。
まあ、とりあえずやってみないことには始まらないってことで、早速実行しようか。
じゃあ、具体的な家の造りをイメージして、いざ!!!
「『創造』」
さて、どうなる?
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