2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件

後藤蓮

文字の大きさ
上 下
38 / 57
1章

37話 商いになりました

しおりを挟む


 ギルドマスターのビルさんから長い長いギルドの説明を聞かせてもらった。

 商いには、販売形態が色々とあるということとか、商業ギルドがどういったサポートを商いに行っているのかとか......。

 うん、全部聞き終わるのに小一時間程はかかったね。

 まあ、結果から言うと、俺の販売形態は、店舗を持って行う店舗型販売。
 販売する商品は、基本的に先程見せた指輪などの防具にもなるアクセサリ類と創造で創れる地球の便利品とかだ。ちなみに後者の商品についてはここでは明かしていない。これは企業秘密だからね。

 で、店舗型販売をするに当たって、空き店舗の紹介だとか、仕入先の紹介だとか、従業員の紹介だとか色々と商業ギルドからサポートを受け入れられるということだったのだが、全部断ってしまった。

 なんで断ったのかって? それは俺が一番聞きたいことだ。
 サポートを受けれるなら受けるべきだと俺は思ったのだが、そこら辺の話は昨日の酔っ払った俺が既にべルート公爵に話していたらしい。
 
 曰く、店舗は自分で建てるとか。
 曰く、従業員がいるほどデカい商売はしないだとか。
 曰く、仕入は自分独自のルートで行うから必要ないだとか。


 うんうん、そこまで聞けば分かってしまったよ。

 これ多分、店舗も仕入も全部創造チート一択で行うってことだよね?
 いや、てか絶対そうだよ。でなければ断る理由なんてないもんな。


 いやー、そっかそっか。昨日の俺は今の俺に無茶振りしまくりだよなー。まあ、昨日の俺も俺だから仕方ないんだけどさ。


 とまあ、そんな自分だけの世界を作っているうちに、俺の代わりにべルートがビルさんの相手をして全ての話し合いが終わる。


「それでは、通商手形の発行手数料として大銀貨五枚頂きますがよろしいですか?」

 大銀貨五枚といえば、この世界では五万ゴル。日本では五十万の大金だ。
 俺はその問いに重々しく頷くと、先程貰った大量のお金の中から大銀貨5枚を探し、出そうとして、べルート公爵に止められる。

「レイ、何をやっているんだ? ここでの金は私に任せてくれるって話だったろうが。それはしまって置け。」

 べルート公爵がそう言うと、俺の出そうとしたお金を無理やりしまわせ、代わりにべルート公爵が大銀貨五枚をテーブルの上に出した。

「はい。これできっちり大銀貨五枚をお受け取りしました。これで正式に今日からレイさんは商業ギルドのメンバーとなり、商いになりました。それに伴って、毎年必ず手形更新料として、大銀貨一枚を頂きますのでよろしくお願いします。」

 俺はその場で起こったことについていけないまま更に話が進んでいく。なんで、べルート公爵がお金払ってるんだ? どゆこと?

 あっ、なんか大事なこと言ってる。えっと、年間更新料は大銀貨一枚ね。はいはい。


「っと、それでは改めました。ようこそ、商業ギルドへ。これからよろしくお願いします」

「えっ? あっ、よ、よろしくお願いします.......?」

 結局べルート公爵がなんでお金を払ってくれたかわからないままに話が全て終わった。

 うん、いや、何となくだけど、こうなった理由はきっと昨日の俺が原因なんじゃないかと察した。いや、てかそれ以外ありえないよね。


 本当に、昨日の俺はべルート公爵に厚かましすぎるお願いをしまくっているな。これで終わりだといいんだけどな..........。


 これで終わりだよね?


 これ、振りじゃないからね?




 そんな盛大な振りを心の中でかまし、俺はビルさんから手形を受け取り、べルート公爵と共に商業ギルドをあとにするのだった。

しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。 突然足元に魔法陣が現れる。 そして、気付けば神様が異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 もっとスキルが欲しいと欲をかいた悠斗は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――― ※チートな主人公が異世界無双する話です。小説家になろう、ノベルバの方にも投稿しています。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

処理中です...