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1章
37話 商いになりました
しおりを挟むギルドマスターのビルさんから長い長いギルドの説明を聞かせてもらった。
商いには、販売形態が色々とあるということとか、商業ギルドがどういったサポートを商いに行っているのかとか......。
うん、全部聞き終わるのに小一時間程はかかったね。
まあ、結果から言うと、俺の販売形態は、店舗を持って行う店舗型販売。
販売する商品は、基本的に先程見せた指輪などの防具にもなるアクセサリ類と創造で創れる地球の便利品とかだ。ちなみに後者の商品についてはここでは明かしていない。これは企業秘密だからね。
で、店舗型販売をするに当たって、空き店舗の紹介だとか、仕入先の紹介だとか、従業員の紹介だとか色々と商業ギルドからサポートを受け入れられるということだったのだが、全部断ってしまった。
なんで断ったのかって? それは俺が一番聞きたいことだ。
サポートを受けれるなら受けるべきだと俺は思ったのだが、そこら辺の話は昨日の酔っ払った俺が既にべルート公爵に話していたらしい。
曰く、店舗は自分で建てるとか。
曰く、従業員がいるほどデカい商売はしないだとか。
曰く、仕入は自分独自のルートで行うから必要ないだとか。
うんうん、そこまで聞けば分かってしまったよ。
これ多分、店舗も仕入も全部創造チート一択で行うってことだよね?
いや、てか絶対そうだよ。でなければ断る理由なんてないもんな。
いやー、そっかそっか。昨日の俺は今の俺に無茶振りしまくりだよなー。まあ、昨日の俺も俺だから仕方ないんだけどさ。
とまあ、そんな自分だけの世界を作っているうちに、俺の代わりにべルートがビルさんの相手をして全ての話し合いが終わる。
「それでは、通商手形の発行手数料として大銀貨五枚頂きますがよろしいですか?」
大銀貨五枚といえば、この世界では五万ゴル。日本では五十万の大金だ。
俺はその問いに重々しく頷くと、先程貰った大量のお金の中から大銀貨5枚を探し、出そうとして、べルート公爵に止められる。
「レイ、何をやっているんだ? ここでの金は私に任せてくれるって話だったろうが。それはしまって置け。」
べルート公爵がそう言うと、俺の出そうとしたお金を無理やりしまわせ、代わりにべルート公爵が大銀貨五枚をテーブルの上に出した。
「はい。これできっちり大銀貨五枚をお受け取りしました。これで正式に今日からレイさんは商業ギルドのメンバーとなり、商いになりました。それに伴って、毎年必ず手形更新料として、大銀貨一枚を頂きますのでよろしくお願いします。」
俺はその場で起こったことについていけないまま更に話が進んでいく。なんで、べルート公爵がお金払ってるんだ? どゆこと?
あっ、なんか大事なこと言ってる。えっと、年間更新料は大銀貨一枚ね。はいはい。
「っと、それでは改めました。ようこそ、商業ギルドへ。これからよろしくお願いします」
「えっ? あっ、よ、よろしくお願いします.......?」
結局べルート公爵がなんでお金を払ってくれたかわからないままに話が全て終わった。
うん、いや、何となくだけど、こうなった理由はきっと昨日の俺が原因なんじゃないかと察した。いや、てかそれ以外ありえないよね。
本当に、昨日の俺はべルート公爵に厚かましすぎるお願いをしまくっているな。これで終わりだといいんだけどな..........。
これで終わりだよね?
これ、振りじゃないからね?
そんな盛大な振りを心の中でかまし、俺はビルさんから手形を受け取り、べルート公爵と共に商業ギルドをあとにするのだった。
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