2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件

後藤蓮

文字の大きさ
上 下
12 / 57
1章

11話 召喚獣に命名

しおりを挟む


 気がつくと、既に森の中へと移動していた。

『主様、なんだか先程よりも力が増した気がするのですか、主様は何かご存知ありませんか?』

『ちから!すっごいよおー!!!』

 俺が戻ってきたことに安堵していると、二体の召喚獣たちがそんなことを言ってきた。先程の育成ポイントの振り分けで力が上がったのを感覚で理解しているようだ。

『ああ、ちょっとな!』

 俺はどうやって説明したものかと悩むのも面倒だったので適当にはぐらかすことにした。てか言ったところでそうですかとかしかならないだろうしな。
 ただそれだけ聞いただけなのに二体は、俺が何かして自分たちが強くなったことに対してかなり喜んでいる様子だ。

 俺はそんな二体を撫でてやる。



 っと、そんなことより、早速やることがあったんだった。


「う゛ーー、ごほんっ!!」

 俺は念話で話すのに何故か咳払いをして喉の調子を確認する。全く意味無いと分かったのはやった後だ。

『えー、ちょっとおまえらに話があるんだが..............』

 俺がそう切り出すと、二体が首を傾げながら反応する。

『はい、何でしょうか?』

『ますたあー、なんですかー?』

『えっとだな、おまえらに名前を..........』

 俺が名前と言った瞬間に、二体がビクンッと体を震わせて俺に食いつくように問いただしてくる。

『ますたあー!!!!いま!!!名前っていいましたか!?!?』

『あ、主様.....まさか......あ、ありえないとおもいますが.......ま、まさか私たちに名前をくださる.........と......いうのですか........?』

 二体は想像してたよりもかなり驚愕したように俺に聞いてくる。ま、まさか名前つけられるのがいやなのか..........。

『そ、そんな!滅相もありません!!!私たちに名前を与えてくれるということが嬉しいのです!!!名前......名前.........』

『ますたあーからなまえをつけていただけるなんて!!うまれてきてよかったですう!!!』

 どうやら嫌ではないようだ。

 ふうー、よかった。

 じゃあ、早速名前をつけようか。

『もう名前は決めてあるんだけど、早速発表してもいいかな?』

『『おねがいします!』』

 念話でハモる二体に和みながら、一度気を引き締めて先程あの部屋の中で決めた名前を告げる。

『レッサーウルフ。お前の名前は、今からフェルだ。』

 レッサーウルフは狼の魔物だ。狼で有名なやつといえば、北欧神話に登場するフェンリル。そんな伝説の狼から名前を借りてそう名付けた。

『フェル.............フェル.............わたしは今日から.......フェル。ありがとうございます!主様!』

 レッサーウルフ改め、フェルが俺に感謝の言葉を言いきったその時だった。

 フェルの体が、突然真っ白な光で覆われる。

「なっ!?!?!?フェル!?!?」

 俺は突然の出来事に、思わず驚愕し、フェルの名前を叫んで光に手を伸ばす。が、手は光に弾かれてしまう。


 一体、どうなって.............。


 どうすることも出来なくてあたふたしていると、光が次第に弱まり、中から白いなにかが出現してきた。


 いや、なにかではない。今出てきたのは、こいつは、フェルだ。

『主様、ご心配をおかけしました。フェル、ただいま帰還しました。』

 そう俺に念話を飛ばしてきたフェルは、先程よりも大きくなっていた。俺よりは少し小さいがそれでも体長は1.6メートル程ある。そして毛艶も心做しか先程よりも艶が増してる気がする。爪も先程より鋭利になった。先程よりも明らかに強そうだ。

『ああ、おかえりフェル。』

 俺はそう返すと同時に、フェルに向かって鑑定を使う。


フェル(ホワイトウルフ) レベル1


HP    90/90  70UP
MP    58/58    50UP
物攻      68  55UP
物防      33  35UP
魔攻      37  30UP
敏捷      67  50UP 
魔耐         23  20UP

スキル
『疾走:レベル4』『噛み付き:レベル3』『水魔法:レベル1』『氷魔法:レベル1』


 ふぇっ!?!?!?!?

 俺はあまりに早い急成長に驚きを隠せなかった。

 いや、予想の数倍強くなってるから仕方ないじゃんか。

 名前もレッサーウルフだったのがホワイトウルフになってるし。

 これ少なくとも二段階くらい一気に進化してるよな?


 名付けやべぇーーーー................。


 これ、ぽんぽんぽんぽん名付けしてたらなんかやばめじゃないのか......?レッサースネークの方は一旦中止しようか.......。

 そう思って、レッサースネークの方を見てみると、まだかまだかと名付けをしてもらうのを待っている様子が見えた。


 ああ、やっぱダメだよな。ここで中止なんて言ったらレッサースネークは拗ねるどころじゃないだろう。俺に愛想を尽かされてもおかしくない。


 うん、別に俺の仲間が強くなるだけだし、別にいいだろう。この世界のパワーバランスとか知らねえし。身内だけに留めておけばなんも問題ないっしょ!てっぺんとるっ〇ょ!!!!!



 いやふざけてる場合じゃない。



 さて、じゃあレッサースネークの方も名前をつけるか......。



『次は、レッサースネークだな。お前は今日から、ラーナだ。』

『らーな!らーな!わたしはらーな!!!!ありがとうございます!!らーな!らーな!やったあ!!!』


 俺が名を告げると何度も自分の名前を連呼しながらより喜びだす。なんだこの子、可愛すぎるんだけど!?!?

 ちなみに、ラーナの由来は、人型の蛇モンスターの、ナーガとラミアを文字っただけだ。これには微かに何れはそのどちらかの魔物に進化して欲しいという願望もあったりする。まあ、進化したらこの幼女ボイスとはおさらばしなければいけなくなるんだろうけど.......俺はロリコンではないので特段問題は無い。ただ、無邪気さだけは無くさないでほしいとは微かに願うのみだ。


 っと、こんなことを考えているとラーナが、先程のフェルの時同様に白い光に全身を包まれた。

 さあ、鬼が出るか蛇が出るか........。いや、絶対蛇だろうけどね?



 そんなアホなことを思っているあいだに、光は徐々に輝きを亡くし、その場には、レッサースネークではなくなり、新たな体を得たラーナがいた。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。 突然足元に魔法陣が現れる。 そして、気付けば神様が異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 もっとスキルが欲しいと欲をかいた悠斗は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――― ※チートな主人公が異世界無双する話です。小説家になろう、ノベルバの方にも投稿しています。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

処理中です...