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1章
11話 召喚獣に命名
しおりを挟む気がつくと、既に森の中へと移動していた。
『主様、なんだか先程よりも力が増した気がするのですか、主様は何かご存知ありませんか?』
『ちから!すっごいよおー!!!』
俺が戻ってきたことに安堵していると、二体の召喚獣たちがそんなことを言ってきた。先程の育成ポイントの振り分けで力が上がったのを感覚で理解しているようだ。
『ああ、ちょっとな!』
俺はどうやって説明したものかと悩むのも面倒だったので適当にはぐらかすことにした。てか言ったところでそうですかとかしかならないだろうしな。
ただそれだけ聞いただけなのに二体は、俺が何かして自分たちが強くなったことに対してかなり喜んでいる様子だ。
俺はそんな二体を撫でてやる。
っと、そんなことより、早速やることがあったんだった。
「う゛ーー、ごほんっ!!」
俺は念話で話すのに何故か咳払いをして喉の調子を確認する。全く意味無いと分かったのはやった後だ。
『えー、ちょっとおまえらに話があるんだが..............』
俺がそう切り出すと、二体が首を傾げながら反応する。
『はい、何でしょうか?』
『ますたあー、なんですかー?』
『えっとだな、おまえらに名前を..........』
俺が名前と言った瞬間に、二体がビクンッと体を震わせて俺に食いつくように問いただしてくる。
『ますたあー!!!!いま!!!名前っていいましたか!?!?』
『あ、主様.....まさか......あ、ありえないとおもいますが.......ま、まさか私たちに名前をくださる.........と......いうのですか........?』
二体は想像してたよりもかなり驚愕したように俺に聞いてくる。ま、まさか名前つけられるのがいやなのか..........。
『そ、そんな!滅相もありません!!!私たちに名前を与えてくれるということが嬉しいのです!!!名前......名前.........』
『ますたあーからなまえをつけていただけるなんて!!うまれてきてよかったですう!!!』
どうやら嫌ではないようだ。
ふうー、よかった。
じゃあ、早速名前をつけようか。
『もう名前は決めてあるんだけど、早速発表してもいいかな?』
『『おねがいします!』』
念話でハモる二体に和みながら、一度気を引き締めて先程あの部屋の中で決めた名前を告げる。
『レッサーウルフ。お前の名前は、今からフェルだ。』
レッサーウルフは狼の魔物だ。狼で有名なやつといえば、北欧神話に登場するフェンリル。そんな伝説の狼から名前を借りてそう名付けた。
『フェル.............フェル.............わたしは今日から.......フェル。ありがとうございます!主様!』
レッサーウルフ改め、フェルが俺に感謝の言葉を言いきったその時だった。
フェルの体が、突然真っ白な光で覆われる。
「なっ!?!?!?フェル!?!?」
俺は突然の出来事に、思わず驚愕し、フェルの名前を叫んで光に手を伸ばす。が、手は光に弾かれてしまう。
一体、どうなって.............。
どうすることも出来なくてあたふたしていると、光が次第に弱まり、中から白いなにかが出現してきた。
いや、なにかではない。今出てきたのは、こいつは、フェルだ。
『主様、ご心配をおかけしました。フェル、ただいま帰還しました。』
そう俺に念話を飛ばしてきたフェルは、先程よりも大きくなっていた。俺よりは少し小さいがそれでも体長は1.6メートル程ある。そして毛艶も心做しか先程よりも艶が増してる気がする。爪も先程より鋭利になった。先程よりも明らかに強そうだ。
『ああ、おかえりフェル。』
俺はそう返すと同時に、フェルに向かって鑑定を使う。
フェル(ホワイトウルフ) レベル1
HP 90/90 70UP
MP 58/58 50UP
物攻 68 55UP
物防 33 35UP
魔攻 37 30UP
敏捷 67 50UP
魔耐 23 20UP
スキル
『疾走:レベル4』『噛み付き:レベル3』『水魔法:レベル1』『氷魔法:レベル1』
ふぇっ!?!?!?!?
俺はあまりに早い急成長に驚きを隠せなかった。
いや、予想の数倍強くなってるから仕方ないじゃんか。
名前もレッサーウルフだったのがホワイトウルフになってるし。
これ少なくとも二段階くらい一気に進化してるよな?
名付けやべぇーーーー................。
これ、ぽんぽんぽんぽん名付けしてたらなんかやばめじゃないのか......?レッサースネークの方は一旦中止しようか.......。
そう思って、レッサースネークの方を見てみると、まだかまだかと名付けをしてもらうのを待っている様子が見えた。
ああ、やっぱダメだよな。ここで中止なんて言ったらレッサースネークは拗ねるどころじゃないだろう。俺に愛想を尽かされてもおかしくない。
うん、別に俺の仲間が強くなるだけだし、別にいいだろう。この世界のパワーバランスとか知らねえし。身内だけに留めておけばなんも問題ないっしょ!てっぺんとるっ〇ょ!!!!!
いやふざけてる場合じゃない。
さて、じゃあレッサースネークの方も名前をつけるか......。
『次は、レッサースネークだな。お前は今日から、ラーナだ。』
『らーな!らーな!わたしはらーな!!!!ありがとうございます!!らーな!らーな!やったあ!!!』
俺が名を告げると何度も自分の名前を連呼しながらより喜びだす。なんだこの子、可愛すぎるんだけど!?!?
ちなみに、ラーナの由来は、人型の蛇モンスターの、ナーガとラミアを文字っただけだ。これには微かに何れはそのどちらかの魔物に進化して欲しいという願望もあったりする。まあ、進化したらこの幼女ボイスとはおさらばしなければいけなくなるんだろうけど.......俺はロリコンではないので特段問題は無い。ただ、無邪気さだけは無くさないでほしいとは微かに願うのみだ。
っと、こんなことを考えているとラーナが、先程のフェルの時同様に白い光に全身を包まれた。
さあ、鬼が出るか蛇が出るか........。いや、絶対蛇だろうけどね?
そんなアホなことを思っているあいだに、光は徐々に輝きを亡くし、その場には、レッサースネークではなくなり、新たな体を得たラーナがいた。
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