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1章
6話 ゴブリン再び
しおりを挟む召喚獣たちを存分に愛でて楽しんだところで、俺は早速森から出るでく行動を開始する。
まずは今いる場所がどんな所かを確認するために取得したスキル、『周辺地形図把握』を使ってみる。
使用することを頭の中で念じると、目の前にゲーム画面でよくあるマップみたいなウィンドウが目の前に出現した。
やっぱりゲームみたいな世界だなと思いつつ、出現したマップ画面を見てみる。
う........うーん..........。
マップ画面を確認してみると、森からの抜け道は見当たらない。ていうか、俺を中心として半径二百メートルの範囲、全て木々が生い茂ってるただの森だ。水場すらない。
まっ、最初からそんなトントン拍子に進む程甘くないか.....。これはゲームじゃないんだもんな............。
とりあえず、動かないと始まらないか。
『レッサーウルフ、レッサースネーク、ここから移動するからついてきてくれ。』
俺は召喚した二体の召喚獣に念話を送り、移動することを伝える。ちなみに俺も召喚獣も念話スキルは持っていないが何故か使えるという謎状況なのはもう気にしないことにした。便利な物は使ってなんぼというものだ。
『ますたあー、わかりましたあー!』
『主様、了解しました。我々は周りを警戒しておくので何か気づいたことがあればお伝えします。』
ちなみに、最初に喋った舌っ足らずな幼女風ボイスなのが、レッサースネークで、凛々しく堅い口調な美人秘書風ボイスはレッサーウルフだ。
『ありがとうレッサーウルフ。じゃあ出発だ!』
俺は心の中で大きくそう宣言して、その場から歩き始める。
.........................。
.............................................。
.....................................................。
数分程何事もなく歩いてあることに気付く。
この森............広くね!?!?!?!?
いや、そもそも森自体そんな狭いところなんてないのは分かってるんだけどさ、それにしても何もねえなおい!
せめて川とか洞窟みたいなちょっと一休みできるような場所とかないの?
くそ、川のこととか考えてたら急に喉も乾いてきたし......。
こんなことなら生活魔法か水魔法でも取得しておけばよかったよ..........。
あー、ダメだ。だんだんとネガティブ思考になっている。このままじゃあ体力も気力も持たなくなる可能性もあるか?
よし、一旦休憩するか..........。
『レッサーウルフ、レッサースネーク。一旦ここで休憩しようか』
俺が二体の召喚獣に休憩を促した、その時だった。
『主様!!!右斜め前方にゴブリン一体発見しました!!!』
右側を警戒するように促しておいたレッサーウルフからゴブリンを見つけたと念話が入る。
俺は慌てずに、まずはゴブリンの位置を確認する。
ゴブリンは右斜め前、大体二十メートル程離れた場所にいた。
まだこっちには気づいていないっぽいけど、どうしようか....。
とりあえず鑑定してどれくらいの強さかまず確認してみるか。
ゴブリン レベル1
HP 20/20
MP なし
.........................。
えっ?なんで?
攻撃力とか他のステータス値が何故か表示されない。
レベルとHP、MPしか表示されないことに一瞬戸惑うが、すぐに冷静に戻る。
きっとまた、念話とかと一緒で自分や召喚獣たちには鑑定スキルの効果上昇ボーナスみたいがついているのだろう。
さて、攻撃力などの値は分からないが、HPだけで比較しても俺の半分以下だ。それに今なら三体一の数的優位もある。ここは強くなるためには狩る一択だろう。
俺がそんなことを考えていると、二体の召喚獣たちから念話が送られてくる。
『ますたあー、やっちゃいましょー!』
『主様、ここはやつを我々の経験値にするのが得策かと愚考します。』
二体の召喚獣たちは既に臨戦態勢に入っていて、とてもヤル気に満ちている。こんな可愛い見た目なのに戦闘狂のようだ。まあ、そんなところも可愛いんだけどね。
よし、じゃあ、やっちゃいますか!
俺たち三位一体のデビュー戦といこうじゃないか。
俺は早速念話で二体に司令を出す。
『まずは俺が飛び出すから、お前達は後に回り込んで後から挟み撃ちにしろ!』
『『はい!!!』』
俺は司令を出してすぐに、ゴブリンがいる場所めがけて駆ける。
そして、あることに気づいた。
ん?俺ってこんな早く走れたったけ?
この世界に来てから初めて全速力で駆けて気づいた違和感に注意を割いていると、ほぼ一瞬の内にゴブリンの元まで到着する。
ってやばい!止まれねえ!!!!!!!ええいままよ!!!このまま体当たりだ!!!!!!
俺は思わぬ失態を隠すために、そのまま速度を緩めずに、ゴブリン目掛けて突撃する。ほとんど一瞬の内に近づいたこともあり、ゴブリンは未だにこちらに気づいていない。
くらえ!!!!
ショルダァーーーータアーーーックルッ!!!!!!
俺は肩に思いっきり力を込めて、ゴブリンにショルダータックルをぶち込む。
「グギァァッ!!!!」
まともに後ろからショルダータックルをくらったゴブリンは、激しい悲鳴を上げて数メートル先に吹っ飛んでいく。そしてその勢いのまま前方にあった大きな木に体を打ち付けられる。そしてそのままピクピクと数回程、痙攣したあと今度はピクリとも動かなくなった............。
罠..........か?
誘ってるのか............?
俺は何かあるかもしれないので、そのまま二体には警戒しながら距離を保てと念話を送り、目の前の死んだフリをしているゴブリンを鑑定する。
ゴブリン レベル1
HP 0/20
MP なし
あっ、死んでた..................。
えっ?うそ?まじで?今の一撃で死ぬってこいつどんだけ弱いんだよ??嘘でしょ!?!?
俺は呆気ない戦闘の終わりに思わずその結果を疑う。
【八の経験値を取得しました。レベルアップに必要な経験値には達していないのでレベルアップは出来ません。】
と、頭の中で本日二度目の声が流れ込んできた。
うん、まあレベルアップ出来ないとは思ってたけど、その説明いるか!?!?レベルアップする時だけでいいだろその説明文!
てか、薄々感づいていたけどこの声イリスじゃねえか!!
くそ、イリスは一体何者なんだよ............。
っと、今はそんなこと考えている場合じゃない。
『えっと.......今の一撃でどうやろゴブリンは死んだようだ。警戒を解いてこっちにきて大丈夫だよ。』
『おおお!!!さすがますたあ!!』
『今の一撃だけであれだけの威力とは.....さすが、主様です!』
両者共に俺のことをベタ褒めしてくれる。
おいおい、照れるからやめてくれよもう!
そしてレッサーウルフよ、そこは出来れば流石です!お〇様!だろう?
それにしてもなまじ声が女の子だから、なんだか無駄に嬉しさを感じてしまうな。ここ数年はまともに女の子と話したことなんてなかったからなんだかハーレムを築いているんじゃないかと錯覚してしまうな。いや、この二体は召喚獣で魔物で人間じゃないから全くハーレム要素はないんだけどね。
そんなくだらないことを考えていると、死んだゴブリンが、最初に殺したゴブリン同様に黒いモヤに包まれ、やがて牙と魔石だけを残して跡形もなく消えていった.........。
うん、やはりこの現象は謎だ。
まあ、気にしたところでイリスに聞いてもどうせ答えてくれないんだから気にするだけ損だし、無駄だな。
俺はゴブリンからドロップした二品のアイテムを拾ってポケットにしまう。
『ふう。よし、今度こそきゅうけ.............』
と、再度休憩を促そうとしたその時だった.....。
「「「「「グギャアァアアァア!!!」」」」」
複数のゴブリンが咆哮を上げて、こちらに向かって猛突進してくる光景が、眼前数十メートル先にに見えてしまった........。
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