見えない「愛情」と「幸せ」を求めて。

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秘密

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「あんた、楓と仲いいよね」


「えっ···と···どなた···?」


「私?愛花っていうの。よろしく」


「はい···と、とりあえず···楓とは仲いい···と思いますけど···どうしました?」


頭がくらくらして気持ち悪い。
少し目眩もしてきた。

「私、楓のこと好きなの。」


「···?はい···」


「だから楓とくっつくのやめてほしい。」


「え···」


予期せぬことに、困惑する。

「楓といっしょにいるのは私だけでいいから。じゃ、帰るわね。さよなら。」


「ちょ、ちょっとまって!」



その言葉に、振り向くことはなかった。


「······はぁ···はぁ···どういうこと···?」


気持ち悪さなんか忘れるくらい、嫌な予感でいっぱいだ。


すぐに保健室から出て、待ち合わせ場所に向かった。




いつもの場所に楓の姿はなかった。


帰り道を必死に辿る。あの女の人が連れて行ってしまったのだろう。時々吐き気がして嘔吐しそうになり、何度か立ち止まった。


頭も痛い。あんな状態で飛び出してきたからだ。

先生もきっと心配している。


でも、楓のことばかり浮かんできて、そのことは忘れてしまう。


「はぁっ···はぁ······」



息を切らしながら走り続けた。


「···いた···!」


少し遠いが、家の近くの公園にいる楓を見つけた。

しかし、隣にはあの女の人が。


「えっ···」


自然と声が漏れる。


楓は愛花に四葉のクローバーを渡していた。

優しく、愛しいものを見るように微笑み、温かい眼差しが向けられていた。



こちらに気づく様子はなく、何かを話している。

「っ······!」


急激な吐き気と脱力感に襲われる。体が動かない。遠くを見ているかのように、視界の前方がぼやけて見えない。


そんな状況に苦しんでいると、楽しそうな話し声が聞こえてきた。


「ありがとう、楓」

はっ、として楓たちを見る。愛花という女は、楓に懐く犬のように体に寄っていた。


「四葉のクローバー···」

回らない頭で、一生懸命記憶を巡らす。


そういえば、この前見た花の本に、

【四葉のクローバーの花言葉 約束 私のものになって】

そう、示してあるのを、


思い出した。


「·········」


声が出ない。視線は楓たちを見たまま動かない。足は動き出そうとするが、強張って前に進まない。



「いや······だ···」

ここで倒れたら、もう一生楓と話すことがなくなってしまう。



「かえ······で······」



視界は暗闇に沈んで、見えなくなった。



















 











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