15 / 15
秘密
2
しおりを挟む
「あんた、楓と仲いいよね」
「えっ···と···どなた···?」
「私?愛花っていうの。よろしく」
「はい···と、とりあえず···楓とは仲いい···と思いますけど···どうしました?」
頭がくらくらして気持ち悪い。
少し目眩もしてきた。
「私、楓のこと好きなの。」
「···?はい···」
「だから楓とくっつくのやめてほしい。」
「え···」
予期せぬことに、困惑する。
「楓といっしょにいるのは私だけでいいから。じゃ、帰るわね。さよなら。」
「ちょ、ちょっとまって!」
その言葉に、振り向くことはなかった。
「······はぁ···はぁ···どういうこと···?」
気持ち悪さなんか忘れるくらい、嫌な予感でいっぱいだ。
すぐに保健室から出て、待ち合わせ場所に向かった。
いつもの場所に楓の姿はなかった。
帰り道を必死に辿る。あの女の人が連れて行ってしまったのだろう。時々吐き気がして嘔吐しそうになり、何度か立ち止まった。
頭も痛い。あんな状態で飛び出してきたからだ。
先生もきっと心配している。
でも、楓のことばかり浮かんできて、そのことは忘れてしまう。
「はぁっ···はぁ······」
息を切らしながら走り続けた。
「···いた···!」
少し遠いが、家の近くの公園にいる楓を見つけた。
しかし、隣にはあの女の人が。
「えっ···」
自然と声が漏れる。
楓は愛花に四葉のクローバーを渡していた。
優しく、愛しいものを見るように微笑み、温かい眼差しが向けられていた。
こちらに気づく様子はなく、何かを話している。
「っ······!」
急激な吐き気と脱力感に襲われる。体が動かない。遠くを見ているかのように、視界の前方がぼやけて見えない。
そんな状況に苦しんでいると、楽しそうな話し声が聞こえてきた。
「ありがとう、楓」
はっ、として楓たちを見る。愛花という女は、楓に懐く犬のように体に寄っていた。
「四葉のクローバー···」
回らない頭で、一生懸命記憶を巡らす。
そういえば、この前見た花の本に、
【四葉のクローバーの花言葉 約束 私のものになって】
そう、示してあるのを、
思い出した。
「·········」
声が出ない。視線は楓たちを見たまま動かない。足は動き出そうとするが、強張って前に進まない。
「いや······だ···」
ここで倒れたら、もう一生楓と話すことがなくなってしまう。
「かえ······で······」
視界は暗闇に沈んで、見えなくなった。
「えっ···と···どなた···?」
「私?愛花っていうの。よろしく」
「はい···と、とりあえず···楓とは仲いい···と思いますけど···どうしました?」
頭がくらくらして気持ち悪い。
少し目眩もしてきた。
「私、楓のこと好きなの。」
「···?はい···」
「だから楓とくっつくのやめてほしい。」
「え···」
予期せぬことに、困惑する。
「楓といっしょにいるのは私だけでいいから。じゃ、帰るわね。さよなら。」
「ちょ、ちょっとまって!」
その言葉に、振り向くことはなかった。
「······はぁ···はぁ···どういうこと···?」
気持ち悪さなんか忘れるくらい、嫌な予感でいっぱいだ。
すぐに保健室から出て、待ち合わせ場所に向かった。
いつもの場所に楓の姿はなかった。
帰り道を必死に辿る。あの女の人が連れて行ってしまったのだろう。時々吐き気がして嘔吐しそうになり、何度か立ち止まった。
頭も痛い。あんな状態で飛び出してきたからだ。
先生もきっと心配している。
でも、楓のことばかり浮かんできて、そのことは忘れてしまう。
「はぁっ···はぁ······」
息を切らしながら走り続けた。
「···いた···!」
少し遠いが、家の近くの公園にいる楓を見つけた。
しかし、隣にはあの女の人が。
「えっ···」
自然と声が漏れる。
楓は愛花に四葉のクローバーを渡していた。
優しく、愛しいものを見るように微笑み、温かい眼差しが向けられていた。
こちらに気づく様子はなく、何かを話している。
「っ······!」
急激な吐き気と脱力感に襲われる。体が動かない。遠くを見ているかのように、視界の前方がぼやけて見えない。
そんな状況に苦しんでいると、楽しそうな話し声が聞こえてきた。
「ありがとう、楓」
はっ、として楓たちを見る。愛花という女は、楓に懐く犬のように体に寄っていた。
「四葉のクローバー···」
回らない頭で、一生懸命記憶を巡らす。
そういえば、この前見た花の本に、
【四葉のクローバーの花言葉 約束 私のものになって】
そう、示してあるのを、
思い出した。
「·········」
声が出ない。視線は楓たちを見たまま動かない。足は動き出そうとするが、強張って前に進まない。
「いや······だ···」
ここで倒れたら、もう一生楓と話すことがなくなってしまう。
「かえ······で······」
視界は暗闇に沈んで、見えなくなった。
10
お気に入りに追加
15
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

お前ら、、頼むから正気に戻れや!!
彩ノ華
BL
母の再婚で俺に弟が出来た。義理の弟だ。
小さい頃の俺はとにかく弟をイジメまくった。
高校生になり奴とも同じ学校に通うことになった
(わざわざ偏差値の低い学校にしたのに…)
優秀で真面目な子と周りは思っているようだが…上辺だけのアイツの笑顔が俺は気に食わなかった。
俺よりも葵を大事にする母に腹を立て…家出をする途中、トラックに惹かれてしまい命を落とす。
しかし目を覚ますと小さい頃の俺に戻っていた。
これは義弟と仲良くやり直せるチャンスなのでは、、!?
ツンデレな兄が義弟に優しく接するにつれて義弟にはもちろん愛され、周りの人達からも愛されるお話。

告白ゲームの攻略対象にされたので面倒くさい奴になって嫌われることにした
雨宮里玖
BL
《あらすじ》
昼休みに乃木は、イケメン三人の話に聞き耳を立てていた。そこで「それぞれが最初にぶつかった奴を口説いて告白する。それで一番早く告白オッケーもらえた奴が勝ち」という告白ゲームをする話を聞いた。
その直後、乃木は三人のうちで一番のモテ男・早坂とぶつかってしまった。
その日の放課後から早坂は乃木にぐいぐい近づいてきて——。
早坂(18)モッテモテのイケメン帰国子女。勉強運動なんでもできる。物静か。
乃木(18)普通の高校三年生。
波田野(17)早坂の友人。
蓑島(17)早坂の友人。
石井(18)乃木の友人。

嫌われものの僕について…
相沢京
BL
平穏な学校生活を送っていたはずなのに、ある日突然全てが壊れていった。何が原因なのかわからなくて気がつけば存在しない扱いになっていた。
だか、ある日事態は急変する
主人公が暗いです

主人公は俺狙い?!
suzu
BL
生まれた時から前世の記憶が朧げにある公爵令息、アイオライト=オブシディアン。
容姿は美麗、頭脳も完璧、気遣いもできる、ただ人への態度が冷たい冷血なイメージだったため彼は「細雪な貴公子」そう呼ばれた。氷のように硬いイメージはないが水のように優しいイメージもない。
だが、アイオライトはそんなイメージとは反対に単純で鈍かったり焦ってきつい言葉を言ってしまう。
朧げであるがために時間が経つと記憶はほとんど無くなっていた。
15歳になると学園に通うのがこの世界の義務。
学園で「インカローズ」を見た時、主人公(?!)と直感で感じた。
彼は、白銀の髪に淡いピンク色の瞳を持つ愛らしい容姿をしており、BLゲームとかの主人公みたいだと、そう考える他なかった。
そして自分も攻略対象や悪役なのではないかと考えた。地位も高いし、色々凄いところがあるし、見た目も黒髪と青紫の瞳を持っていて整っているし、
面倒事、それもBL(多分)とか無理!!
そう考え近づかないようにしていた。
そんなアイオライトだったがインカローズや絶対攻略対象だろっ、という人と嫌でも鉢合わせしてしまう。
ハプニングだらけの学園生活!
BL作品中の可愛い主人公×ハチャメチャ悪役令息
※文章うるさいです
※背後注意
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

楓の散る前に。
星未めう
BL
病弱な僕と働き者の弟。でも、血は繋がってない。
甘やかしたい、甘やかされてはいけない。
1人にしたくない、1人にならなくちゃいけない。
愛したい、愛されてはいけない。
はじめまして、星見めうと申します。普段は二次創作で活動しておりますが、このたび一次創作を始めるにあたってこちらのサイトを使用させていただくことになりました。話の中に体調不良表現が多く含まれます。嘔吐等も出てくると思うので苦手な方はプラウザバックよろしくお願いします。
ゆっくりゆるゆる更新になるかと思われます。ちょくちょくネタ等呟くかもしれないTwitterを貼っておきます。
星見めう https://twitter.com/hoshimimeu_00
普段は二次垢におりますのでもしご興味がありましたらその垢にリンクあります。
お気に入り、しおり、感想等ありがとうございます!ゆっくり更新ですが、これからもよろしくお願いします(*´˘`*)♡

林檎を並べても、
ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。
二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。
ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。
彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる