見えない「愛情」と「幸せ」を求めて。

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思い出せば、それは苦しく、辛くて。

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あれからまた日は過ぎて。


俺は目隠しをいつでも外された状態になった。


何故、急にそうしたのかはわからない。でも、楓の笑顔が、前に比べ、少し引き攣っているように見えた。

勿論、いつも見ていないと気が付かない程度の差だ。


何かあったのだろう。


「······ねえ、何か悩みでもある···?」

「え、なんで?特に何も無いよ?」

「そう······」

「どうして、そう思ったの?」

「いや···最近、前より笑顔じゃない時が増えたし······笑顔も引き攣ってる気がして···」

それを聞いた楓は、優しい表情が少しばかり曇った。


目には光るものが浮かんでいる。

「えっ······ごめん···!何か変なこと言った···!?」


楓は声を上げずに泣きながら俺の首筋に顔を埋めてきた。

「·········奏は何も悪くないよ···いや、厳密に言えば奏のせいだけど···」

「···?」

「俺の些細な変化にも気づいてくれたってことだよね。ありがとう。···それが嬉しかったの···」

小さな子供がお母さんに甘えるときのように顔を擦りつけてくる。

「······ってことは、何かあったんだよね···」

「···うん」

「何があったの···?はっきり教えてよ···俺、楓に会って仲良くなったときからの記憶がすっぽり引き抜かれたみたいに無くなってて···」

俺はできる限り楓を傷つけないように、でも強い口調で問い詰める。


「········」


楓からの返事はない。

「嫌だ···俺このまま楓といっしょに居ても、楽しくないよ···!頼むから教えて···!」


「······本当にいい?」

冷たいというか、暗いというか。そんな口調だった。

「え···?」

「···これも覚えてないか。」
             ·   ·   ·   ·   ·
何を言ってるのだろう。『  覚えてない?』

「···前にも、奏は同じことを俺に聞いたんだよ。その時は話したんだけどね。」

「···うん、」

「でも、話したら、奏は途端におかしくなっちゃったの。『嫌だ』って、何かに怯えてた。それで、俺がぎゅってしたら、過呼吸になってて、そのまま気絶した。」


···全く覚えがない。そもそもいつのことなのか。

「それで、奏は一ヶ月、目を覚まさなかった。でも、時々苦しそうに唸る時があって。」

「······」

楓はこう続ける。

「···奏のあんな姿は、俺はもう見たくない。···だから、本当は教えたくない。でも、奏がどうしてもって言うなら、教えてあげる。」

「······本当に、そんなことあったの···?」

「······俺は嘘つくの嫌いだから。」


本当にそんなことあったのか。記憶が無くなっているだけなのかもしれないけど、俺は監禁されてからの記憶は全てあると思ってた。


でも、俺に何があろうと、教えてほしい。

半ば好奇心で、俺は食いつくように言った。

「······俺は、何があったのか、知りたい。」

「···そう。」


楓は声を低くして話し出した。














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