見えない「愛情」と「幸せ」を求めて。

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外の世界を知りたいだけなのに。

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「ぅ···あれ···?」

「あぁ、良かった···目覚めた?」

「うん···」

「ちょっと水飲んだほうがいいね。声が枯れかけて掠れてるから。」

もう慣れたけど、何を飲む、食べるにしても全て口移しだ。抵抗はとうの前に無くなっている。

「んっ···んぅ······」

口を少し開けると、温かくなった水が入ってきた。それをごくりと飲み込む。

「ふぅ······落ち着いてきた···?」

「うん···」

何を聞かれても、俺には否定する権利なんて無くて、どのみち肯定しないといけない。

もうこれにも慣れてしまった。

「ねぇ······どうして逃げようとしたの···?なにか嫌なことがあるならすぐ直してあげるけど···」

「···この目隠しが嫌で···。周りぐらい自分で見たいなって思って···あと、外の景色見たいなって思ったの···」

「うん···そっか···ごめんね。目隠しは···俺が居るときは外してあげるけど、その時以外は···奏の安全のために付けさせて。」

「なんで···!?俺別に何も危ないことしないよ···!?」
       .   .   .   .   .   .
「違うんだ···何か思い出すと···奏が苦しんじゃうんだ···だから···」

「もう···!苦しんだっていいのに···!」

俺がそう言った瞬間、楓は声のトーンが誰でもわかるぐらい低くなって、

                                               .   .
「だめ。奏が苦しむのはもう見たくない。」

「何!?『もう』って!何があったの!?ねえ!教えてよ!」

「取り敢えず、今は俺が居るから、目隠しとってあげるね。」

結局こういう感じで流されてしまうのだ。俺が泣いて教えてと縋っても、絶対に教える気はないのだろう。

久しぶりに部屋の中が見える。特に何かあるわけでもない、ごく普通の部屋だ。当然だけど。何故ならここは楓の部屋だから。

照明は付いていて、明るいのだけど、ずっと目隠しされ続けていた俺には少し眩しい。

「あ、眩しいか。ごめん、ちょっと暗くするから、待ってて。」



部屋が暗くなる。何も見えないという程ではないけれど、一般家庭よりは暗いかな、という感じだ。

「······ありがと。」

「嗚呼、本当に奏は可愛いな···毎日、俺とするとき、喘いで、泣いてよがって···あれもすごく可愛いけど、普段の奏も、綺麗で···」


何かと思えば、俺のことを喋っている。楓は俺の頬を両手で包み込むようにして触れてきた。

「···んっ···びっくりした···」


「絶対、俺が幸せにするから。誰にも邪魔はさせない。···此処に閉じ込めて、俺のことだけ見て···俺のためだけに···笑って。」



やっぱり、俺はここから出ることは出来ない。


許されない。









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