見えない「愛情」と「幸せ」を求めて。

外の世界を知りたいだけなのに。

2

重い瞼をゆっくりと開く。


目の前は何も見えず、何かが当たっている感触があるだけだ。


身体も動かせない。


「あ、起きた？ごめんね。結構強い睡眠薬使ったから、まだ少し怠いかも。」


睡眠薬···あれのことだろう。



「···大丈夫。···楓···？」


俺を逃がさないと言わんばかりに抱きついてくる。


「はぁ···無事で良かった···もう逃げないでって、言ったよね。···頼むから、俺から離れないで···」




「···うん、ごめん。俺、外の世界が知りたくて···」


「···っ、！だめ！その話はしたらだめだ！」


外の世界、？






夕焼け空。放課後で誰もいない教室。何人かの人に囲まれている。


床は赤く染まる。体中にかかる衝撃。



「い゛だっ、ぃ、···ごめ゛っ、ん、···ゆるし゛で、」





···え？何だ、今の。


「うぁ゛ぁぁっ、！！いやだっ、！な゛に、これっ、！だずげっ、てぇ！」


パニックで身体が大きく痙攣する。


「ごめん、ごめん！大丈夫だから···！忘れてっ、！」


息ができないほど強く身体を抱きしめられる。頭が鈍器で殴られたように痛い。


そのまま、俺は意識を飛ばしてしまった。












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あれはいつのことだったのだろう。



楓と出会った、あの日のこと。