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武道家 編
No.3 破壊王の手袋
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「天使、なるべく人目につかないように仕留めたい」
『はい。ではモンスターを連れ出した後、皆さんには目眩ましの術を施しておきます。いないのに いるかのような錯覚が起きます』
「そうか」
オレは ふわふわと歩き出して目的の人物の前に立つ。
「あら。ムツキ君、どうしたの?」
「本日はオレのために ありがとうございました」
「ううん。私にとってもムツキ君は大切な人だから当たり前のことをしたまでよ」
くったくなく笑う。
「実は沙耶先輩にお礼のプレゼントがあるんです」
「ええ!?もらえないよ!!皆、皆でやったことだもん」
慌てるふりをしていても目が嬉しそうだ。
「もう用意してあるので もらってもらわないと無駄になってしまうんですよ」
「…………なら、もらい、ます」
はにかみながら笑う笑顔がキラキラしている。
これが魅了の呪術か……。
頭の遠くの方で そんな風に思った。
「あ、そうだ」
二人きりになった部室で少し上擦った先輩の声。
「この前ムツキ君が言ってたこと、ずっと気になっててね」
「この前?」
思い当たることがなく首を傾げる。
「ほ、ほら!狩沢君と お似合いですねって言ってた……」
「ああ」
そんなことも言ったなと頷く。
「な、なんか皆、勘違いするんだけど私たち そんな関係じゃないから!」
「…え?」
「狩沢君は別に好きな子がいるみたいだし、わ、私も他に ちゃんと好きな人がいるから!」
え……?
『騙されてはいけません!!魅了されてしまいますよ!!』
天使の言葉に我にかえる。
「危なかった……」
そっと手袋を擦る。
「私、こんな見た目だし、ムツキ君 本気にしてくれなかったけど、あの時 言ったことは本心だったんだよ?」
「あの時?」
オレが再度 首を傾げると、いつも落ち着いた大人の雰囲気はなく、視線を泳がせながら真っ赤になる先輩がいた。
「ムツキ君が死んじゃうかもって思った時、死ぬほど怖かった。ムツキ君が大変な時に何もできないことが辛くて……だから」
目に涙を溜めて、これ以上 真っ赤になれないくらい顔を赤くして先輩がオレを見つめる。
「私、ムツキ君のこと……」
『きますっ!!手袋に宿りし破壊王よ!!魔物を討伐しなさい!!』
天使が叫ぶとオレの頭は真っ白になった。
『はい。ではモンスターを連れ出した後、皆さんには目眩ましの術を施しておきます。いないのに いるかのような錯覚が起きます』
「そうか」
オレは ふわふわと歩き出して目的の人物の前に立つ。
「あら。ムツキ君、どうしたの?」
「本日はオレのために ありがとうございました」
「ううん。私にとってもムツキ君は大切な人だから当たり前のことをしたまでよ」
くったくなく笑う。
「実は沙耶先輩にお礼のプレゼントがあるんです」
「ええ!?もらえないよ!!皆、皆でやったことだもん」
慌てるふりをしていても目が嬉しそうだ。
「もう用意してあるので もらってもらわないと無駄になってしまうんですよ」
「…………なら、もらい、ます」
はにかみながら笑う笑顔がキラキラしている。
これが魅了の呪術か……。
頭の遠くの方で そんな風に思った。
「あ、そうだ」
二人きりになった部室で少し上擦った先輩の声。
「この前ムツキ君が言ってたこと、ずっと気になっててね」
「この前?」
思い当たることがなく首を傾げる。
「ほ、ほら!狩沢君と お似合いですねって言ってた……」
「ああ」
そんなことも言ったなと頷く。
「な、なんか皆、勘違いするんだけど私たち そんな関係じゃないから!」
「…え?」
「狩沢君は別に好きな子がいるみたいだし、わ、私も他に ちゃんと好きな人がいるから!」
え……?
『騙されてはいけません!!魅了されてしまいますよ!!』
天使の言葉に我にかえる。
「危なかった……」
そっと手袋を擦る。
「私、こんな見た目だし、ムツキ君 本気にしてくれなかったけど、あの時 言ったことは本心だったんだよ?」
「あの時?」
オレが再度 首を傾げると、いつも落ち着いた大人の雰囲気はなく、視線を泳がせながら真っ赤になる先輩がいた。
「ムツキ君が死んじゃうかもって思った時、死ぬほど怖かった。ムツキ君が大変な時に何もできないことが辛くて……だから」
目に涙を溜めて、これ以上 真っ赤になれないくらい顔を赤くして先輩がオレを見つめる。
「私、ムツキ君のこと……」
『きますっ!!手袋に宿りし破壊王よ!!魔物を討伐しなさい!!』
天使が叫ぶとオレの頭は真っ白になった。
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