悪役令嬢が転生してきました

冷暖房完備

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少女期

ミレイユ、出国する。

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前世では、婚約破棄されるまで大切にされていました。
優しく慈しむように愛されていたと思います。
学園に入り心変わりされてからも 会うことが極端に減りましたが、それでも辛く当たられたなどと言うことは ありませんでした。
 
ただ、心変わりされただけ……。
愛する相手が変わっただけ。
 
 
恋とは落ちるもの。
王家のしきたりや自分の立場などとは比べ物にならないほどの強い想い。
それにワタクシは負けたのです。
 
 
 
 
 
 
 
「龍巻 遥さま。お待ちしておりました」
空港には使いの者が来ると聞いていたが、予想に反して日本人だった。
肩までの黒髪と ちょっと神経質そうなメガネ美人。
二十歳くらいだろうか?
年齢以上の経験を積んでいそうな雰囲気が年齢不詳にさせる。
「こちらの車に お乗りください」
身分証と龍巻家の家紋を確認して乗り込む。
 
一度 誘拐されかけた過去があるのに知り合いでもない者を迎えに こさせるなんて……。
 
2つ年上の忍さまは、すでに こちらに渡り学園に通っている。
きっと迎えに来るのは彼だと思っていた。
 
なんで そんな風に思っていたのかしら。
 
幾度となく味わった胸の痛みに自嘲する。
彼は最初からワタクシなど見てはいませんでした。
『闇夜の神子と龍の受け皿』は魂の繋がりを持つと習いました。
なにがあっても惹きあうのだと……。
しかし、彼が選んだのはワタクシでは ありませんでした。
学園内で身の回りの世話をするという黒髪の侍女に目をやる。
 
もしワタクシの姿がミレイユのままなら忍さまはワタクシを愛してくださったのかしら……。
 
のっぺりとした凹凸のない遥の顔を触る。
可愛らしいと思う気持ちは変わらない。
けれど、そう思ってしまう恋心を許してほしい。
日本にいるとき同じ空間にいるのに彼の視線は、想いは、ワタクシなど そこにあるのかとも思われていない状態でした。
彼のは ただ1人、艶やかな黒髪の凛とした美しさを持つ美貌の従姉妹に向けられていた。
 
なぜ侍女までも黒髪なのかしら。
 
小さくため息をつく。
「お疲れ様でございますか?」
「……ううん。大丈夫ですわ」
「学園の宿舎に着きましたら、学園長と寮長との顔合わせを経て、宿舎横のレストランにて忍さま達と 会食になっております」
 
忍さま《たち》
 
その言葉が重く、ワタクシの心にのし掛かるのでした。
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