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片思いちゅ
No.6 サービスエリアの女王
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「だいたいな!!今時の若いヤツらは我慢てのを知らなさ過ぎる!!ちょっと怒られたからって すぐ辞めて、そんなんじゃ人として成長もしないし どこ行っても長続きなんてしね~よ!!」
突如 説教モード突入の新垣さん。
う、うぜ~(泣)
「つうか新垣さん。そんだけ分かってて私への対応ひど過ぎませんか?私も今時の若者なので いきなり辞めちゃうかも知れませんよ?」
つか、好きなのも辞めちゃおうかしら(泣)
説教くどい(泣)
「はぁ?お前は辞めないよ」
新垣さんは、面倒くさそうに答える。
「分からないじゃないですか!!」
すでに辞めてやろうかと思ってますよ?
「お前は怒られても めげないし、同じ失敗をしないようにメモを取ったりしてる。それに今、この仕事をかなり楽しいと思っている。だから絶対に辞めない!!」
見下すように断言する新垣さん。
「…メモ取ってるって言いましたっけ?」
「見てれば分かるだろ。まぁ俺からすれば頭の中にメモっとけって話だがな」
ふふんと笑って私の目を覗きこむ。
「お前は絶対 辞めない。そして、就職先もここにして俺の右腕となり、馬車馬のように働いて俺を楽させるんだよ」
ぎゃー!!
「せ、洗脳する気ですか!!」
「あほか!!」
頭を軽く小突くと、新垣さんが立ち上がった。
「さて、休憩終わりだな。午後も俺の査定のために頑張れよ」
就職するなら うちに来いと言ってくれてたのは、そういう意味だったのか。
私の恋心、軌道修正が必要かもしれない…。
そうなると この話の題名も変わるな~(泣)
いや、ある意味そのままでも通じるか?
「神楽ちゃん、焼き肉あがったよ~」
「あ、は~い!!」
いけない。仕事、仕事!!
「おう、神楽。あいかわらずチビっこいな!!オムツは取れたか?」
「オッチャン…。ご飯おかわりナシね」
「マジか!!ここは、それが売りだろ!!」
「絶対おかわりナシ!!」
サービスエリアがテレビで特集を組まれる時代。
さして目玉となるようなものもなく両隣?がご当地メニューで有名とくれば、我が国は過疎化の一途をたどりそうなもんだけど だからこそ穴場だとトラック運ちゃん達が来てくれる。
顔馴染みゆえの気楽さで 近所の定食屋か!?ってくらいフランクなやり取りも普段の風景だ。
「神楽ちゃん、もうすぐ卒業なのよ~」
オバチャンが味噌汁を片手に寄ってきた。
「マジか!!もう、そんなになるのか…」
ええ、オムツは取れてますよ?
「大学いくのか?」
「ううん、就職だよ」
「おお!!ならまだ神楽で遊べるんだな~」
オッチャンがニコニコしながら焼き肉定食のトレイを持つ。
「…なんで ここに就職するかのような発言に なってんの?」
「違うのか?お前もう ここのヌシだろ?」
ちっが~う!!
「だいたいヌシなら、はまり役な人がいるでしょ!!」
あいつ、あいつと顎でしゃくる。
オッチャンは振り返り、無表情で売り場の品出しを指示している新垣さんを見る。
「フロマネ?」
変に略すな。
「あの人ほど適任な人はいないでしょ?」
血が通ってるのか疑わしい、自分のためだけに我が道を行く鬼軍曹。
「そうか?確かに仕切ってるのはフロマネだし、一見怖そうでもあるけどヌシじゃね~だろ」
「そうね~。責任者って意味なら新垣さんだけど、ヌシって言われたら神楽ちゃんだろうね~」
オ、オバチャン。変な援護射撃いらないから!!
「だって神楽ちゃん来てからフロア全体が変わったからね~」
え?
「だよな。前はもっと事務的だったし、雰囲気も殺伐としてたからな~」
「うんうん。働きにくかったって事はなかったけど、神楽ちゃんの笑顔につられて皆も笑っちゃうから、部署の垣根を越えて仲良くなっちゃったのよね~」
「たしかに雰囲気いいよな。だからオレも ちょっと足伸ばしてでも飯はここで食おうと思うんだよ。きっと他の連中も そうじゃね~かな?」
見渡せば、見知った顔がゴハン食べてる。
いつも同じ所に配達に行く訳じゃない、しかも ここは高速道路だ。
二人の言うことにヨイショが含まれてるにしても数ある中から ここを選んでくれる理由に私のことが含まれてると言われたら素直に嬉しい。
「オッチャン、おかわり大盛にしてあげる」
「お?やったね~」
本格的な就職活動なんてしてないけど、ここを候補に入れてもイイかな?なんて ふと思った。
フライヤーの火を消してガスの元栓をチェック。
蛇口の水漏れがないか確認しながら厨房を出ようとしたらフロアの真ん中にいる新垣さんと目があった。
やばっ!!
昨日まで盲目的に恋しちゃってた相手ですが、さり気なく踵を返して そうっと出口へ向かう。
「お前、目があったのに無視かよ」
ギャー!!
やはりバレてた~(泣)
そっと振り向くとスゴい速さで私の傍に来た。
こ、殺される~!!(泣)
「火傷、大丈夫か?」
新垣さんは優しい声音で昨日のことを聞いてきた。
「あ、はい。大丈夫で、す」
私が答えると、そうかと爽やかに笑った。
キュン!!
ああ、やっぱり格好いい!!
「そうだ。事務所に貰い物のチョコがあるんだが食べるか?」
「いいんですか!?」
チョコ大好きです!!
浮き足立って事務所のソファに座り、それは美味しいチョコを何個も堪能。
新垣さん自らコーヒーまで入れてくれて、ここは天国!?なぁんて思っていたら
「明日の朝一までにいる書類なんだが、一枚ずつ二つ折りにして100部。もちろん手伝ってくれるよな?」
地獄の門番かと見間違えるような黒い笑顔で新垣さんが言った。
突如 説教モード突入の新垣さん。
う、うぜ~(泣)
「つうか新垣さん。そんだけ分かってて私への対応ひど過ぎませんか?私も今時の若者なので いきなり辞めちゃうかも知れませんよ?」
つか、好きなのも辞めちゃおうかしら(泣)
説教くどい(泣)
「はぁ?お前は辞めないよ」
新垣さんは、面倒くさそうに答える。
「分からないじゃないですか!!」
すでに辞めてやろうかと思ってますよ?
「お前は怒られても めげないし、同じ失敗をしないようにメモを取ったりしてる。それに今、この仕事をかなり楽しいと思っている。だから絶対に辞めない!!」
見下すように断言する新垣さん。
「…メモ取ってるって言いましたっけ?」
「見てれば分かるだろ。まぁ俺からすれば頭の中にメモっとけって話だがな」
ふふんと笑って私の目を覗きこむ。
「お前は絶対 辞めない。そして、就職先もここにして俺の右腕となり、馬車馬のように働いて俺を楽させるんだよ」
ぎゃー!!
「せ、洗脳する気ですか!!」
「あほか!!」
頭を軽く小突くと、新垣さんが立ち上がった。
「さて、休憩終わりだな。午後も俺の査定のために頑張れよ」
就職するなら うちに来いと言ってくれてたのは、そういう意味だったのか。
私の恋心、軌道修正が必要かもしれない…。
そうなると この話の題名も変わるな~(泣)
いや、ある意味そのままでも通じるか?
「神楽ちゃん、焼き肉あがったよ~」
「あ、は~い!!」
いけない。仕事、仕事!!
「おう、神楽。あいかわらずチビっこいな!!オムツは取れたか?」
「オッチャン…。ご飯おかわりナシね」
「マジか!!ここは、それが売りだろ!!」
「絶対おかわりナシ!!」
サービスエリアがテレビで特集を組まれる時代。
さして目玉となるようなものもなく両隣?がご当地メニューで有名とくれば、我が国は過疎化の一途をたどりそうなもんだけど だからこそ穴場だとトラック運ちゃん達が来てくれる。
顔馴染みゆえの気楽さで 近所の定食屋か!?ってくらいフランクなやり取りも普段の風景だ。
「神楽ちゃん、もうすぐ卒業なのよ~」
オバチャンが味噌汁を片手に寄ってきた。
「マジか!!もう、そんなになるのか…」
ええ、オムツは取れてますよ?
「大学いくのか?」
「ううん、就職だよ」
「おお!!ならまだ神楽で遊べるんだな~」
オッチャンがニコニコしながら焼き肉定食のトレイを持つ。
「…なんで ここに就職するかのような発言に なってんの?」
「違うのか?お前もう ここのヌシだろ?」
ちっが~う!!
「だいたいヌシなら、はまり役な人がいるでしょ!!」
あいつ、あいつと顎でしゃくる。
オッチャンは振り返り、無表情で売り場の品出しを指示している新垣さんを見る。
「フロマネ?」
変に略すな。
「あの人ほど適任な人はいないでしょ?」
血が通ってるのか疑わしい、自分のためだけに我が道を行く鬼軍曹。
「そうか?確かに仕切ってるのはフロマネだし、一見怖そうでもあるけどヌシじゃね~だろ」
「そうね~。責任者って意味なら新垣さんだけど、ヌシって言われたら神楽ちゃんだろうね~」
オ、オバチャン。変な援護射撃いらないから!!
「だって神楽ちゃん来てからフロア全体が変わったからね~」
え?
「だよな。前はもっと事務的だったし、雰囲気も殺伐としてたからな~」
「うんうん。働きにくかったって事はなかったけど、神楽ちゃんの笑顔につられて皆も笑っちゃうから、部署の垣根を越えて仲良くなっちゃったのよね~」
「たしかに雰囲気いいよな。だからオレも ちょっと足伸ばしてでも飯はここで食おうと思うんだよ。きっと他の連中も そうじゃね~かな?」
見渡せば、見知った顔がゴハン食べてる。
いつも同じ所に配達に行く訳じゃない、しかも ここは高速道路だ。
二人の言うことにヨイショが含まれてるにしても数ある中から ここを選んでくれる理由に私のことが含まれてると言われたら素直に嬉しい。
「オッチャン、おかわり大盛にしてあげる」
「お?やったね~」
本格的な就職活動なんてしてないけど、ここを候補に入れてもイイかな?なんて ふと思った。
フライヤーの火を消してガスの元栓をチェック。
蛇口の水漏れがないか確認しながら厨房を出ようとしたらフロアの真ん中にいる新垣さんと目があった。
やばっ!!
昨日まで盲目的に恋しちゃってた相手ですが、さり気なく踵を返して そうっと出口へ向かう。
「お前、目があったのに無視かよ」
ギャー!!
やはりバレてた~(泣)
そっと振り向くとスゴい速さで私の傍に来た。
こ、殺される~!!(泣)
「火傷、大丈夫か?」
新垣さんは優しい声音で昨日のことを聞いてきた。
「あ、はい。大丈夫で、す」
私が答えると、そうかと爽やかに笑った。
キュン!!
ああ、やっぱり格好いい!!
「そうだ。事務所に貰い物のチョコがあるんだが食べるか?」
「いいんですか!?」
チョコ大好きです!!
浮き足立って事務所のソファに座り、それは美味しいチョコを何個も堪能。
新垣さん自らコーヒーまで入れてくれて、ここは天国!?なぁんて思っていたら
「明日の朝一までにいる書類なんだが、一枚ずつ二つ折りにして100部。もちろん手伝ってくれるよな?」
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