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「リゼ、キミとの婚約関係を破棄させてもらう」

「え……」

 貴族の集まりの場で、レイ様から告げられる。
 
「な、何故ですか……決められた婚約を破棄してしまうなんて……」

「俺はずっと不満だった。なぜ平民出身のお前と一生を過ごさねばならないのかと。なぜ俺の隣にいるのがお前なのだと。だが」

 レイ様の後ろにいる女性を目で呼ぶ。
 その女性とは、

「このカテリーナこそ、俺の隣に相応しい。気品も、地位も、優秀さも!! 全て俺に相応しい存在だ!!」

「な、なんで……!?」

「ごめんなさいね、リゼ”さん”」

「っ!!」

 私の親友で、いつも私の力になってくれたリゼがレイ様の隣にいた。
 嫌味のある言葉と表情でこちらを見るリゼ。
 レイ様が聖女様を捨てた!? と周りの貴族はざわざわしている。

「レイから好意を向けられるのが嬉しかったの。だから、私は受け入れたわ」

「なんで、私達友達なのに……!!」

「触らないでっ!!」

「きゃっ」

 リーナの行動に理解ができず、私はリゼに突っかかる。
 が、それを払いのけられ、私は地面へと倒れ込んでしまう。

「もう私達、友達じゃないでしょう?」
「うっ……うう……」

 レイ様だけでなく、リーナまで私を。
 耐えきれず、その場で涙を流す。

「あら、泣いてしまったのね。かわいい事」

「お前はただのリゼになったんだ。もう俺に関わるな」

「レイ、この際ですわ。婚約関係だけでなく、地位も家も財産も全て奪いません?」

「それはいい考えだ。しかし、聖女である彼女から貴族の地位を剥奪できるのか?」

「大丈夫です、その辺りは私におまかせを」

「ふっ、頼りになるな」

 嫌だ、もうこんな所から逃げたい。
 私は立ち上がり素早くこの場を去る。
 出ていく時の周りの貴族達の冷ややかな視線が印象的だった。

 こうして、レイ様は私との婚約を破棄してしまった。

「さて、リゼさんを追いかけなくては。地位を剥奪する為には彼女の存在が必要ですから」

「あぁ、頼んだ」

 だけどレイ様は知らない。
 これが仕組まれた婚約破棄であり、損をしているのはレイ様ただ一人だけだという事実に。
 だってリーナは私の友達だもの。
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