2 / 16
P.2
しおりを挟む当時、うちの高校の吹奏楽部はあまりメジャーな部活じゃなかった。活動の主な発表場所は文化祭、それと六月の三年生追い出し演奏会くらいで、何かコンクールに出場するとか運動部の応援に花を添えるとかはしていなかった。
中学時代、スパルタで有名な、全国中学吹奏楽コンクール上位常連校出身の反町にとっては多分クソみたいな部活だったと思う。
何と言っても顧問が来ない。予算もないから楽器もボロくて貧相で。やはり中学時代に吹奏楽をやってて尚且つマイ楽器を持っている部員の主張が強く、曲選びやら練習日程やらはそのメンバー達が有無を言わせず決めて行くとか何とか。色んな軋轢もあったらしいけど、取り敢えず反町に関して言うなら、一年からずーっと、文句も言わずに部活動に勤しんでいた。
「やり甲斐あんの?」
「それなりにな。それに弦バス触れる場所なんて学校くらいしか思い浮かばん」
そうだな。自宅にマイ・コントラバスを所有している高校生はそうそうおらんわな。
テスト期間以外はただ黙々と重低音を奏でる反町の姿を、顔を出す数分前から見詰めるのが俺の日課。一年の春夏秋冬、二年の春夏秋冬、そして三年の春が過ぎて夏を待ち侘びる梅雨も。
もうすぐこの日課が終焉を迎えるのかと、じっとりと纏わりつく空気の中で、じっとりと見詰めながら考えていた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
台風の目はどこだ
あこ
BL
とある学園で生徒会会長を務める本多政輝は、数年に一度起きる原因不明の体調不良により入院をする事に。
政輝の恋人が入院先に居座るのもいつものこと。
そんな入院生活中、二人がいない学園では嵐が吹き荒れていた。
✔︎ いわゆる全寮制王道学園が舞台
✔︎ 私の見果てぬ夢である『王道脇』を書こうとしたら、こうなりました(2019/05/11に書きました)
✔︎ 風紀委員会委員長×生徒会会長様
✔︎ 恋人がいないと充電切れする委員長様
✔︎ 時々原因不明の体調不良で入院する会長様
✔︎ 会長様を見守るオカン気味な副会長様
✔︎ アンチくんや他の役員はかけらほども出てきません。
✔︎ ギャクになるといいなと思って書きました(目標にしましたが、叶いませんでした)
浮気性のクズ【完結】
REN
BL
クズで浮気性(本人は浮気と思ってない)の暁斗にブチ切れた律樹が浮気宣言するおはなしです。
暁斗(アキト/攻め)
大学2年
御曹司、子供の頃からワガママし放題のため倫理観とかそういうの全部母のお腹に置いてきた、女とSEXするのはただの性処理で愛してるのはリツキだけだから浮気と思ってないバカ。
律樹(リツキ/受け)
大学1年
一般人、暁斗に惚れて自分から告白して付き合いはじめたものの浮気性のクズだった、何度言ってもやめない彼についにブチ切れた。
綾斗(アヤト)
大学2年
暁斗の親友、一般人、律樹の浮気相手のフリをする、温厚で紳士。
3人は高校の時からの先輩後輩の間柄です。
綾斗と暁斗は幼なじみ、暁斗は無自覚ながらも本当は律樹のことが大好きという前提があります。
執筆済み、全7話、予約投稿済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる