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20 毒
しおりを挟む「ごほっ」
また血を吐いた……。
元王太子、アレックスの体は毒に侵されていた。
毒を飲ましたのは母上だった。
僕がフィリアの元へ向かうのを阻止するためか、本当に殺そうとしたのかは分からない。
だが母上が送ってきたワインには、毒が入っていた。
毒入りワインを持ってきた使用人は、僕が飲んだのを確認するとそのワインとグラスを片付け、口から血を吐く僕をじっと見ていた。
凍てつくような目で──。
飲んだ瞬間、喉が熱くなり息ができなくなった。
血も大量に吐いた。
フィリアも、こんな苦しい思いをしていたのか……
フィリアの元へ行きたくとも、毒のせいで歩くこともできず、声も失ってしまった。かろうじて使えるのは手だけだ。
フィリアに……会いたい……
「ーーーー。」
ボロボロと涙が溢れ落ちるが、声を失い、一人静かに泣くだけだ。
誰も助けてはくれない。
フィリア……フィリア……会いたい……君に……
アレックスは、最後までフィリアを想い続けた。
完
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