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執事のお話(ロキ)

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私はソイビアント家の執事のロキでございます。当主のルマンジェス様にはとてもご恩があり、弟であるロイとロンと共にルマンジェス様に仕えております。
ルマンジェス様は幼い頃から奥様のレーナ様のことを一途に愛されていらっしゃいます。そして、レーナ様もルマンジェス様のことを愛しており、相思相愛、理想のご夫婦そのものでございます。はぁ、羨ましいことでございますね。私にはそんな相手はいないもので………ああ、少ししゃべり過ぎました。申し訳ございません。はぁ、ため息はいけませんよね?ですが……はぁ………弟のルマンジェス様への不敬を考えるとため息が止まりません。まったく……はぁ、ロイはルマンジェス様にとても馴れ馴れしく話し掛けるわ、軽口をたたくわ、本当にどうしようもないんですよ。ルマンジェス様にいつ不敬罪で訴えられてしまうのか私はいつもハラハラしております。ですが…ルマンジェス様は見かけによらず……いえ……見かけ通り大変お優しく、口では不敬罪で訴えると言いつつもいっこうにロイを訴える気配がございません。なんて慈悲深く優しいのでしょうか。ふふふ、ふふふふふふふ。


「執事長大変です。」
一人のメイドがこちらに向かって駆けてくる。
「?」
「どうかしましたか?」
「それが…………」
「?!それは大変です!今すぐ行かなくては」
メイドから急を要する連絡を受けロイも呼ぶことにした。
「貴方はロイを呼んで来なさい!」
「は、はい!執事長!」


「兄さーん、僕に用ってなに?」
「ロイ!!仕事中は執事長と呼びなさい!」
「あー、はいはい、了解しました。執事長ー」
「で、用件はなんですか?執事長」
「………実はルマンジェス様がソージュレンス様の部屋に入ったきりまったく出てこないらしいのです。」
「執事長、それっていいことなんじゃないですかー、だって親子だしー、」
「…………………」
「…ルマンジェス様はレーナ様が体調を崩してしまわれたことで大変気が立っているんです。言ってはなんですが、レーナ様はソージュレンス様を産まれたことで体調を崩してしまわれた………」
「ここまで言えばロイ、貴方でもわかりますよね?」
「うん?…えっと、ソージュレンス様のこと恨んでるってことだよね?」
「………そこまでは言っていません。ですが、もしも、の場合があるのです。」
「ですので、ロイ、貴方がルマンジェス様のところまで行き、何かあったら、ルマンジェス様を止めて下さい」
「……わかったよー、面倒くさいけどソージュレンス様のためだからねー、行ってくるよ」
「そうして下さい。私はレーナ様のところまで行って医者と話しをしなければなりません。」
「あと、敬語…忘れないで下さいよ?ロイ」
「あー、はいはい、承知いたしました。」
「では、」
「はい、はい」
こうして、ソージュレンスは凍え死ぬことなく、助かったのであった。
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