8 / 15
執事のお話(ロキ)
しおりを挟む
私はソイビアント家の執事のロキでございます。当主のルマンジェス様にはとてもご恩があり、弟であるロイとロンと共にルマンジェス様に仕えております。
ルマンジェス様は幼い頃から奥様のレーナ様のことを一途に愛されていらっしゃいます。そして、レーナ様もルマンジェス様のことを愛しており、相思相愛、理想のご夫婦そのものでございます。はぁ、羨ましいことでございますね。私にはそんな相手はいないもので………ああ、少ししゃべり過ぎました。申し訳ございません。はぁ、ため息はいけませんよね?ですが……はぁ………弟のルマンジェス様への不敬を考えるとため息が止まりません。まったく……はぁ、ロイはルマンジェス様にとても馴れ馴れしく話し掛けるわ、軽口をたたくわ、本当にどうしようもないんですよ。ルマンジェス様にいつ不敬罪で訴えられてしまうのか私はいつもハラハラしております。ですが…ルマンジェス様は見かけによらず……いえ……見かけ通り大変お優しく、口では不敬罪で訴えると言いつつもいっこうにロイを訴える気配がございません。なんて慈悲深く優しいのでしょうか。ふふふ、ふふふふふふふ。
「執事長大変です。」
一人のメイドがこちらに向かって駆けてくる。
「?」
「どうかしましたか?」
「それが…………」
「?!それは大変です!今すぐ行かなくては」
メイドから急を要する連絡を受けロイも呼ぶことにした。
「貴方はロイを呼んで来なさい!」
「は、はい!執事長!」
「兄さーん、僕に用ってなに?」
「ロイ!!仕事中は執事長と呼びなさい!」
「あー、はいはい、了解しました。執事長ー」
「で、用件はなんですか?執事長」
「………実はルマンジェス様がソージュレンス様の部屋に入ったきりまったく出てこないらしいのです。」
「執事長、それっていいことなんじゃないですかー、だって親子だしー、」
「…………………」
「…ルマンジェス様はレーナ様が体調を崩してしまわれたことで大変気が立っているんです。言ってはなんですが、レーナ様はソージュレンス様を産まれたことで体調を崩してしまわれた………」
「ここまで言えばロイ、貴方でもわかりますよね?」
「うん?…えっと、ソージュレンス様のこと恨んでるってことだよね?」
「………そこまでは言っていません。ですが、もしも、の場合があるのです。」
「ですので、ロイ、貴方がルマンジェス様のところまで行き、何かあったら、ルマンジェス様を止めて下さい」
「……わかったよー、面倒くさいけどソージュレンス様のためだからねー、行ってくるよ」
「そうして下さい。私はレーナ様のところまで行って医者と話しをしなければなりません。」
「あと、敬語…忘れないで下さいよ?ロイ」
「あー、はいはい、承知いたしました。」
「では、」
「はい、はい」
こうして、ソージュレンスは凍え死ぬことなく、助かったのであった。
ルマンジェス様は幼い頃から奥様のレーナ様のことを一途に愛されていらっしゃいます。そして、レーナ様もルマンジェス様のことを愛しており、相思相愛、理想のご夫婦そのものでございます。はぁ、羨ましいことでございますね。私にはそんな相手はいないもので………ああ、少ししゃべり過ぎました。申し訳ございません。はぁ、ため息はいけませんよね?ですが……はぁ………弟のルマンジェス様への不敬を考えるとため息が止まりません。まったく……はぁ、ロイはルマンジェス様にとても馴れ馴れしく話し掛けるわ、軽口をたたくわ、本当にどうしようもないんですよ。ルマンジェス様にいつ不敬罪で訴えられてしまうのか私はいつもハラハラしております。ですが…ルマンジェス様は見かけによらず……いえ……見かけ通り大変お優しく、口では不敬罪で訴えると言いつつもいっこうにロイを訴える気配がございません。なんて慈悲深く優しいのでしょうか。ふふふ、ふふふふふふふ。
「執事長大変です。」
一人のメイドがこちらに向かって駆けてくる。
「?」
「どうかしましたか?」
「それが…………」
「?!それは大変です!今すぐ行かなくては」
メイドから急を要する連絡を受けロイも呼ぶことにした。
「貴方はロイを呼んで来なさい!」
「は、はい!執事長!」
「兄さーん、僕に用ってなに?」
「ロイ!!仕事中は執事長と呼びなさい!」
「あー、はいはい、了解しました。執事長ー」
「で、用件はなんですか?執事長」
「………実はルマンジェス様がソージュレンス様の部屋に入ったきりまったく出てこないらしいのです。」
「執事長、それっていいことなんじゃないですかー、だって親子だしー、」
「…………………」
「…ルマンジェス様はレーナ様が体調を崩してしまわれたことで大変気が立っているんです。言ってはなんですが、レーナ様はソージュレンス様を産まれたことで体調を崩してしまわれた………」
「ここまで言えばロイ、貴方でもわかりますよね?」
「うん?…えっと、ソージュレンス様のこと恨んでるってことだよね?」
「………そこまでは言っていません。ですが、もしも、の場合があるのです。」
「ですので、ロイ、貴方がルマンジェス様のところまで行き、何かあったら、ルマンジェス様を止めて下さい」
「……わかったよー、面倒くさいけどソージュレンス様のためだからねー、行ってくるよ」
「そうして下さい。私はレーナ様のところまで行って医者と話しをしなければなりません。」
「あと、敬語…忘れないで下さいよ?ロイ」
「あー、はいはい、承知いたしました。」
「では、」
「はい、はい」
こうして、ソージュレンスは凍え死ぬことなく、助かったのであった。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
ひねくれ師匠と偽りの恋人
紗雪ロカ@失格聖女コミカライズ
恋愛
「お前、これから異性の体液を摂取し続けなければ死ぬぞ」
異世界に落とされた少女ニチカは『魔女』と名乗る男の言葉に絶望する。
体液。つまり涙、唾液、血液、もしくは――いや、キスでお願いします。
そんなこんなで元の世界に戻るため、彼と契約を結び手がかりを求め旅に出ることにする。だが、この師匠と言うのが俺様というか傲慢というかドSと言うか…今日も振り回されっぱなしです。
ツッコミ系女子高生と、ひねくれ師匠のじれじれラブファンタジー
基本ラブコメですが背後に注意だったりシリアスだったりします。ご注意ください
イラスト:八色いんこ様
この話は小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿しています。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
男女比がおかしい世界にオタクが放り込まれました
かたつむり
恋愛
主人公の本条 まつりはある日目覚めたら男女比が40:1の世界に転生してしまっていた。
「日本」とは似てるようで違う世界。なんてったって私の推しキャラが存在してない。生きていけるのか????私。無理じゃね?
周りの溺愛具合にちょっぴり引きつつ、なんだかんだで楽しく過ごしたが、高校に入学するとそこには前世の推しキャラそっくりの男の子。まじかよやったぜ。
※この作品の人物および設定は完全フィクションです
※特に内容に影響が無ければサイレント編集しています。
※一応短編にはしていますがノープランなのでどうなるかわかりません。(2021/8/16 長編に変更しました。)
※処女作ですのでご指摘等頂けると幸いです。
※作者の好みで出来ておりますのでご都合展開しかないと思われます。ご了承下さい。
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる