Metal Blood World 〜ようこそ選ばれしプレイヤー達〜

風鈴ナツ

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星空の誓い 編

第72話 「乗り越えたその先にあるもの

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「おぉサナさんかっこいい!」

バン!!

サナは数メートル距離をとると銃をリロードすると弾丸を肉の塊へと向かって撃ち放つ。弾丸が肉の塊にぶつかった瞬間にそこに大きな風穴が空いた。

「うっうわあ我ばぁぁ助ぁぁぁけぁあて!!」

肉の塊が大きな口で泣き叫ぶ。目から涙を流している。肉の塊は触手の量を増やしサナに向かって伸ばし始める。

「サナさん危ない!」

「リオ先輩!後ろにシャドウが!」

銃にセットしたガジェットキーのボタンを押す。そして再び引き金をを引く、すると弾丸はサナの胸部のクリスタルに衝突した。

「うぉぉお!!」

シャーク!クロコダイル!タイガー!サバイブブラスト!!!

彼女の両腕のアーマーが変化しクローになる。肉の塊から伸びてきた数本の長い触手をそのクローを使って全てぶった斬るとサナは姿を消した。

「あっあれ?サナさんどこ!?!」

「なっなんか下から音がするぞ!」

「うわ!」

地面が水面のような波紋を起こす。全員が下を見下ろした瞬間バシャン!!とものすごい勢いで何かが飛び出した。

「サナさん!?」

「ハァ!!」

シャドウの首を両脚で挟むと身体を回転させシャドウを勢いよく投げ飛ばす。投げ飛ばされたシャドウは他のシャドウにぶつかり数体が倒れてしまった。

「クロー&ファング!デスロール!!よし決まった!かーらーのー」

再び銃にセットされたガジェットキーのボタンを押して引き金を引く。すると後ろから大きな緑の魔法陣が出現する。

ホーネット!スコーピオン!サバイブブラスト!!

「いっけぇぇ!!ポイズン・ホーネットネスト!!」

バン!

緑の大きな魔法陣から大軍の蜂がサナが弾丸を放つと同時に一斉にブンブンブンブン羽の音を立てながらシャドウ目掛けて飛んでいった。まるで体育祭の競技の始まりの合図のピストルの音のようだった。

ブーンブーン!!

蜂の大群は数体のシャドウを取り囲み数秒後にはシャドウは全て綺麗に消え去ってしまった。

「どうやらあの蜂型の弾丸......猛毒のようですね」

「うわ怖ー」

サナが残りのシャドウを銃を使って倒していると路地裏の奥から声が聞こえる。その方へ顔を向けると遠くにいるからよく見えないがピンク色の長髪の女性が微笑んでいた。

「サナちゃんサナちゃん」

「え?誰?」

「シャドウを倒してもすぐに復活するわ。まずはあの肉の塊を倒すのよ。目がたくさん集まってるところ....あそこが弱点だか」

「そうかありがとう教えてくれて!......ってあれ?この声どこかで.....っていない!」

「サナさん後ろ!」

「え?」

バン!!

リオがそう言った瞬間にサナは振り返り後ろにいたシャドウを打ち倒す。

(すごい....この銃一発でシャドウを簡単に倒せちゃう。これ....本当にスララが作ったの?)

サナは再び銃にセットされたガジェットキーのボタンを押す。そして引き金を引くと弾丸がサナの胸部のクリスタルに吸収された。

チーター!ホッパー!エレファント!サバイブブラスト!!!

「いちについてーよーいどん!おりゃあああ!!」

チーターの能力で高速移動したサナは冒険者やシャドウ達の間をくぐり抜けていって肉の塊に近づいていく。

「ディ者死ぁぁニ亞タクなァァイがぁぁ!!!!」

肉の塊はスライムのようにべとべとと逃げるように動きながら再び大量の触手を伸ばす。しかも太く大量のトゲのようなものが生えている。触手が現れた瞬間にサナは銃をリロードして触手に弾丸を放っていく。障害物をパルクールのように飛び越えていく。そして肉の塊まで近づいたサナはバッターで脚力強化した脚で数メートル飛び跳ね肉の塊の目が集中してる部分めがけて蹴り技を放つ。

「ハイスピード!エレファントスマッシュ!!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


ドガァァァアン!!

足裏が肉の塊に触れた瞬間に深くまでめり込み肉の塊から大量の血飛沫がプシャーーーーーーと上がる。そして数秒後に激しい爆発が起こり肉の塊は完全に消え去ってしまった。

「見ろ!シャドウも消えていくぞ!」

「勝ったぁぁあぁぁ!!」

ソードオブベルサイユの団員達が大喜びをしている。リオとメガネくんは変身を解除しサナに近づいていった。

「サナさんお疲れ様です!」

「リオくんもお疲れ様!」

「「イエーーイ!!メガネくんお腹空いた!!」」

「はいはい、何がいいですか?」

「「せーーーの....ハンバーグ!!」」

3人は仲良くサファイアが待つギルドジェネシスに帰っていったそうだ。それ以降サナの心の中にもう1人のサナは現れなくなったらしい。






一方その頃

「モーゼお前の実験は失敗に終わったようだな。お前も見ただろ、なんの才能も能力もない人間に俺たち「ラグル族の血」を与えれば細胞が暴走して原型を留められなくなる」

「そうだね~まぁいい暇つぶしになったかな.......無意味なんかじゃなかったし....ねぇ君もそう思うでしょ?」

モーゼが画面に向かって笑顔で話しかける。すると画面に誰かの姿が映し出された。サナの中にいた黒髪のサナ、もう1人の彼女の姿だった。


「おかえりゼロちゃん、どうだったサナちゃんの身体は?」

「まぁまぁかな、これで私の役割は果たしたぜ。ガジェットキーの設計図だ良かったな。それじゃ私は「決行日」までゆっくり休ませてもらうとするかな」

「君のための新しいボディも完成したしね。それじゃおやすみー」

モーゼが手を振ると画面が暗くなり次の瞬間にガジェットキーの設計図が映し出された。モーゼはキーボードを使って入力を始める。ジンブはその場から離れてしまった。

「モーゼの考えている事が一向に分からん......」

すると廊下の角から誰かがやってきた。大きな杖を持った凛々しいヒゲを持つ白髪の老人だ。

「のっノア様!」

「久しいなジンブ........モーゼはどこだ。話がある」

「ノア様!なぜモーゼを止めないのです!アイツは.......」

ジンブが何かを話そうとしたがノアという老人のラグル族はそれを静止させた。

「もうワシらではあの者は止められん。ワシはもうあの者の事は7000年前から諦めておる。きっとワシらが何言っても聞く耳は持たない。モーゼは異常じゃ、これ以上あの者についていく者は現れんじゃろう。」

ノアはそう言うとモーゼがいる研究室に向かおうとしたが怒りを隠せないジンブがノアの胸ぐらを掴んだ。

「本当にそれでいいのですかッ!?7000年前のあの日俺はモーゼがラグル族を導いてくれると言ってくれたから信じたんだ!!それなのに.......アイツは仲間のラグル族も自分のおもちゃにしやがった!!脳をいじくり回してそれで何人が死んだ!?何人が廃人になった!?俺は許せない!!ノア様俺はアンタを心の底から尊敬していた!!強き者として認めていた!それなのに....それなのに........」

ジンブの瞳から涙がこぼれ落ちる。

「ジンブよ、すまないワシの身体にはあの者を止められるほどの力は残っておらぬのじゃ.......ワシらではモーゼは止められない。だがあの者には近いうちに必ず天罰が下るじゃろう。「神」による天罰が........」

ノアは再びモーゼの研究室へと歩き始めた。





イバラの部屋にて

彼女はただひたすらに画面を見つめていた。その画面に映し出されていたのは主人公が古代から蘇った未確認生命体から人々の笑顔を守る為に変身して戦うヒーローのドラマだった。横にある画面には見たことのないベルトの設計図の作りかけが映し出されている。

「どおりで初めて出会った頃からサナちゃんの事変だなと思ったのよ......チッ....あのモーゼの野郎.....サナちゃんの頭の中にもう一つ別の人格プログラムをスパイとして入れていたのね......それを使ってガジェットキーのデータを元に設計図を盗んだ!私が作ったガジェットキーのデータをッ!!」

ダン!!

イバラは何度も舌打ちしながら画面に映し出された敵の怪人と戦うヒーローの姿を見つめ続ける。

「どうやら彼はガジェットキーは人工知能のイデアが作ったものだと思ってるようだけど.....残念......私が作ったのよ。ふふ......いいわ「神」による天罰ってやつを与えてやろうじゃない....ねぇ、貴方もそう思うでしょ?」

彼女がそう言うと画面の中のヒーローがサムズアップをした。

「ふふっ....そうよね.....やっぱり私好きよ日本のヒーローが......」

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