Metal Blood World 〜ようこそ選ばれしプレイヤー達〜

風鈴ナツ

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灼熱の太陽 編

第49話 緑紅

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「行きますよサナさん!」

「うん!」

俺達2人は武器を構えるとイバラに向かって走り出す。

「友情イベントなんて面白くないですわ........。」

パチン!

そう言うとイバラは指を鳴らす。すると先程と同じように地面から何十本もの薔薇のツルが生え始める。

「俺達は止められない!!」

ツルが触手のようにうねりながら俺達に向かって先にある棘で攻撃を始める。俺はそれを避けるがツルは勢いのまま地面に突き刺さった。

あんなので串刺しにされたら一溜りもない。

「サナ!これを!」

後ろの方の木の下にきたサファイアがサナさんに向かって何かを投げる。

ガチャ!

「これは.......ボルテックウルフ......ありがとうスララ!」

サナさんはサファイアが投げたものをキャッチすると見つめ始めた。あれがサナさんのパワーアップアイテム。

「あら......それを使うの?また昨日と同じようになる可能性があるのに?」

「いや、まだ私はこれを使って変身しない。私はこう使う!」

そう言うとサナさんはパワーアップアイテムを右腕に付けられたデバイスにかざすとデバイスの画面を操作する。






ボルテック!ブラスト!

サナさんの銃の銃口に緑色の粒子が集まっていき一つエネルギーの集合体になる。

「いけぇぇぇええ!!」

銃の引き金を引く。緑色のエネルギーの集合体を纏った一つの弾丸がものすごい威力で地面を抉りながら発射される。

ゴゴゴゴォォォォォォォォオ


発射された弾丸は地面から生えていたツルを全て吹き飛ばしイバラの身体に当たる。

ドォォォォォオン!!


ボルテックブラスト!!!


「当たった!やったー!」

「あーあ.......右腕が無くなっちゃいましたわ.......。」

奥にいた薔薇のモンスター、イバラの右腕は肩から無くなっていた。断面からは血がポタポタと垂れている。

それなのにイバラは顔一つ変えない、断面をただ見つめていた。

「これ結構治すの面倒くさいんですのよ?」

すると断面から白い物が伸び始めた、「骨」だ。骨が生えてきてその周りに筋肉が形成されていき最後に皮膚が作られた。

「嘘.......なんで腕を一から生やせるの?」

「私は普通のモンスターではないですわ、うふふふオッホホホホホホホホホホホホホホホホゲレゲレ!!!」

完全に腕が戻るとイバラは指を一本一本動かすと高笑いを始める。

「まだだ諦めない!!」

「そうだね!」

俺は炎を纏った剣を振るい炎の斬撃で攻撃を始める。さらにデバイスの画面から技を選択した。


ドラゴン!スラッシュ!

「竜覇斬ッ!!ハァァァアァ!!!」

イバラの目の前まで来ると剣を大きく振るう。炎を纏った剣で彼女の腕を両方を切り落とす。斬るというより焼くに近い気がする。

ジューーー

「熱いですわね......でもすぐ再生するのよ?」

両腕が無くなってすぐに再生が始まる。俺はイバラの腹に剣を刺す。

グスッ..........。

「今ですサナさんこれを受け取ってください!」

イバラの後ろに回っていたサナさんが彼女に銃を構える。俺は腰に付けているホルダーから一枚取り出すとサナさんに渡した。


シュッ!パッ!

「ありがとうリオ君!」

サナさんは俺から受け取ったカードをデバイスにかざすと画面を使って技を選択する。


ディルバマッハー!ブラスト!





サナさんの構える銃の銃口に赤と緑のエネルギーが溜まっていく。俺はすぐにイバラの腹に刺していた剣を抜きイバラから離れる。

「これが私とリオ君の力だよ!!」

そう言うとサナさんはディルバマッハーの力でイバラを中心に円を描くように走り始める。

バン!バン!バン!バン!バン!バン!

円を描きながら弾丸を発射する。赤と緑のオーラを纏った弾丸が炎を噴出しながらイバラにぶつかり爆発していく。

ドガァァアン!ドガァァアン!ドガァァアン!ドガァァアン!ドガァァアン!ドガァァアン!






バ!バ!バ!バーニングブラスト!エンド!!


「きゃぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!!」

「緑紅斬弾撃ィッ!!」


イバラの身体は爆散、爆風の影響で花園の花が散って辺りに花びらが降り注ぐ。


「勝ったの?やったーー!!リオ君勝った!」

「そうですね!」

俺は変身を解除するとサナさんの元へと駆け寄った。

パチン!

2人「イェーイ!」

2人でハイタッチをする。そこにエレアさんやサファイア、メガネ君もやってくる。

「やりましたね!」

「スゴイでしょ!緑紅斬弾撃だってカッコイイ!」

「そうですね!今日はみんなでパーティーですね!」

みんなで笑い合っているとどこからか音がし始める。




パチパチパチパチパチパチパチパチ


誰かが拍手している.....木の後ろの方から音がした。すると木の後ろから出てきたのは1人の女性だ。ピンク色の長い髪でドレスを着ている。薔薇の髪飾りを付けている........まさか....。


「素敵な戦いでしたわ~。」

「その声はイバラ.........どうして。」

真っ赤な瞳が俺達を見つめる。口角がゆっくりと上がっていった。


「私がモンスターじゃないからですわ.....と言っても人間でもエルフでも冒険者でもありませんわ。」

「じゃあ何だって言うの?」

サナさんがそう質問すると「ふふっ」と笑う。

「1つ.....いや2つほど物語を越えれば遠くない未来で教えてあげますわ。」

どう言う意味だ?彼女の言ってる事が分からない。

「俺達と戦うつもり?」

「そんなわけないですわ~もう疲れましたし、それにイイ物を見せてもらえた。「絆」って素敵ですわね♪でも、私は早くソレが壊れるのがみたい..........。」

そう言うと彼女はサナさんをじーーっと見つめ始める。

「なっ何?」

「貴方が鍵になるかも..........じゃあね....私は帰りますわ~。」








彼女はどこかへ立ち去ろうとする。本当に彼女は何を言ってるんだ?サナさんが鍵.........。

「待て!」

エレアさんが止めようしたその時だ。


ゴゴゴゴゴォォォオォォォォォォオ!!!

「何!?」

彼女を追いかけようとしたエレアさんの前に青い炎が壁となる。

「おっと今日はおしまいだ。」

青い炎の中にいるのは真っ黒なモンスター.......青い瞳で俺達を見つめていた。剣を持っている。

「あら、ノワールドラゴン様ではありませんか♪お久しぶりですわ♪」

「ノワールでいい.....モーゼからお前を連れて帰って来いって言われているからな。ほらいくぞ.....。」

「うふふ、それじゃ冒険者の皆様さようなら~♪あとエルフの貴方は良い週末を♪」


「ここで逃してたまるか!お前に殺された仲間の仇を!!森の精霊達よ我が呼び声に応え、剣を赤く染めろ!!!」

エレアさんの剣の刀身が炎を纏う。

ズバァァァァァァ!!

エレアさんは赤い炎の斬撃をノワールいう黒いモンスターに向かって放つ。




「はぁ~。」

ノワールというモンスターはため息をついた後に剣を円のように振るう。すると頭上に青い炎の輪が生まれた。


「なっ!」

「あっあれって.......。」

赤い炎の斬撃はその青い炎の輪に近づいた瞬間に吸収されてしまった。間違いないあれはエレアさんの技「炎環」だ。

でもどうしてあのモンスターが同じ技を......。


「お前......前にも会った事あるか?」

「え?」

「あと、そのなんだ.....詠唱だっけ?あまり好きじゃないんだよな......次いったらどうなるか分からないぞ?」


ノワールというモンスターはそう言うとイバラと共に森の方へと姿を消してしまった。それより!!


「エレアさん大丈夫ですか?」

俺はすぐに駆け寄った。いつもと感じが違う..........。

「思い出した.......。」

「え?」

「あの黒いモンスター.....昔一度だけ会った事がある。幼き頃の記憶.......私の技は彼の技をマネた物だ.........。」






おまけコーナー

エレアさんの外伝読めば分かると思いましが彼女の幼少期に出会った黒いモンスターはノワールです。

イバラは一体何を知っているのでしょう?サナさんが鍵?
彼女はモンスターでも人間でも冒険者でもない。さらに言うと「ラグル族」でもありません。











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