Metal Blood World 〜ようこそ選ばれしプレイヤー達〜

風鈴ナツ

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灼熱の太陽 編

第39話 エルフの森

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「エルフの森?」

「とぼけるな.........エルフの森に立ち入ろうとした侵入者め!」

「俺達は別にこの森に侵入しようとしたんじゃなくて!ジャッジメントに会いに来ただけなんだ!」

俺がそう言うとエルフの女性は目を大きく開く。どうやら驚いているようだ。


「なぜお前らがあの方の名を!!」

すると廊下から物音がした、誰かが近づいてくる足音だ。ゆっくりとだんだん大きくなっていく。


「エレア......彼らは俺に会いに来た来客だ。君の部下にもそう伝えておきなさい.......。」

襖が開き誰かが入ってきた。赤色の髪の身長の高い男性.......浴衣のようなものを着ている。とても優しそうな穏やかな顔をした人。

「で...ですがジャッジメント様!コイツらは!!」

「大丈夫だ......安心しなさい。君は持ち場に戻るといい。」

「.........分かりました.....失礼します。」

エルフの女性は納得のいっていない表情を見せながら襖を開けて帰って行ってしまった。ちょっと待てよ......さっきのエルフの女性はこの人の事を「ジャッジメント様」と言っていた。

つまりこの人がジャッジメント!?
思ってたのと違う!俺は.....もっと凶暴でモンスターみたいなやつを想像していた!


「君達の事は彼女から聞いているよ。」

「彼女?」

「私です。」

横を振り向くとサファイアがじーーっとこちらを見つめていた。
俺は驚いて体勢を崩して床に倒れてしまう。

「うわ!!」

「..........驚かせてすみません」

「話をする前に....そこの2人を起こそうか?」

「ぐぅ~zzzzzzzz」

横の2人をサファイアと一緒に見つめた。

「ははは........そうですね。」






「15分後」

2人共起こして何が起こっているのか話しました。

「あの人がジャッジメント?(小声)」

「そうらしいですね....(小声)」

「思ってたのと違う(小声)」

サナさんと小声で会話する......チラチラと2人であの人の顔を見る。めっちゃニコニコしている。

「おせんべいあるけど食べる?」

2人「食べます!」




「5分後」

「バリボリ!美味しいですねこのおせんべい!」

「それじゃ本題に入ろう.......君達はイデアの使いだね?」

俺達はおせんべいを食べながらジャッジメントさんと会話をする。本当にこのおせんべい美味しいな。

「はい、私達はイデアの使いで参りました。」

「じゃあイデアは俺に用があるんだね。」

「単刀直入で言います、ラグル族が蘇り始めています。貴方の力が必要になりましたので力を貸して欲しいのです。」

確かにジャッジメントさんは強そうだ......きっと心強い存在になってくれるはず!するとジャッジメントさんは少しの間考え事をしたあと返答した。


「それは無理なお願いだ。」

「なぜ....ですか?」

「俺はこの7000年の間でだいぶ力が弱まっている。封印できる可能性はかなり低い。そして俺は人間達を助けるつもりはさらさらない。」

「そんな.........。」

気づかなかった......あの人...笑顔だけど心の中で人間を本当に「憎んでいる」.....サファイアの提案を聞いた瞬間、一瞬だけ笑顔じゃなくなった。

怒り....憎しみ...殺意...悪い感情を一つまとめ上げたような表情。一瞬だけだったけど頭から離れない。


「でも.......君達を鍛える事ならできる。」

「え?」

「俺には戦闘に関するあらゆるデータが入っている。この森で暮らすエルフの守人達は俺が鍛えた。君達......レベルはいくつだい?」

ジャッジメントさんは微笑みながら俺達に聞いてきた。たぶん俺とサナさんとメガネ君の事だろう。

「俺は27」

「私は25......。」

「僕は26ですね。」

レベルを聞いてジャッジメントさんは眉を寄せた。

「うーーーん最低でも30はあって欲しかったんだけど......しょうがない着いてきなさい。」

3人(すみませーん!レベルが低くて!!)

ジャッジメントさんは立ち上がり襖を開ける。俺達もジャッジメントさんに着いていく。廊下を歩いている間、周りの景色を見ていた。

和風だ.........水墨画や獅子脅しがある。渡り廊下は日本の庭園のようだった。

「ここだ、降りなさい。」

俺達は渡り廊下から降りてその庭園に足をつける。地面が綺麗な石がたくさん......平で俺なんかが歩いていいのかと思うくらいだった。

「すごーい!私こういうのテレビで見たことあるよ!」

「少し準備が必要なんだ.....待っていてくれないか?」

「え?あ、はい。」

そう言うとジャッジメントさんはどこかへ行ってしまった。








「準備が終わった.....さぁ始めようか。」

ジャッジメントさんが帰ってきた、俺達は彼が来るまでお茶を飲んでいた。
そう言うと彼は空中に手をかざす。すると空中に三つの赤い魔法陣が現れた。

「赤髪の君は右、茶髪の君は真ん中、青髪の君はここをくぐって。」

「あの......これは?」

「この先に君達の相手をしてくれるエルフがいる。俺の自慢の教え子達だ。君達の力を見せてもらうよ。」

俺達の力を試す試練みたいなもの.......。

「分かりました!頑張ります!」

「そうだね!私も負けてられないもん!」

「僕達の力を見せてあげましょう!」

「あの.........私は......。」

サファイアがひょこっと顔を出す。そういえば魔法陣は3つしかない。

「サファイア...君は仲間達の戦いを見ているんだ。」

「そんな.........。」

「大丈夫だよ!私達すぐに終わらせて帰ってるから!」

サナさんはそう言うと真ん中の魔法陣に入ってしまった。入った瞬間に魔法陣は消える。

「俺たちも!!」

「はい!」

メガネ君と俺は同じように魔法陣に向かって走り出した。








エルフの森 北東部にて

「うわわ!いて!」

魔法陣から飛び出した私は勢いでこけてしまった。

「いてて....どこここ?」

周りを見てみると森だ.......。

「ようやく来ましたか!」

「え?」

振り返ると金髪の耳の長い女の子が弓を背負いながら腕を組んでいた。後ろにはたくさんのエルフの人達がいる。

「貴方は?」

「私の名前はルミージャッジメント様に頼まれて貴方の相手をしてあげるエルフよ!」

「君が!?」

この背の小さい子が私の対戦相手?え......大丈夫なの?でもエルフは長生きだって聞いた事あるし、もしかしたら私より年上!?

「それじゃ試練の内容説明といきましょう!」

彼女は森の奥を指をさす。

「この森の奥には凶暴なミノタウロスが2体います!どちらが先に1体倒せるか!それが勝負の内容です!」

「なるほど.....よぉーし頑張るぞ!」









エルフの森 南東部にて

「ここは.....一体。」

僕が魔法陣をくぐった先は森の中の大きな空間だった。周りの木にはコケが生え妖精がたくさん空を飛んでいた。幻想的な風景......僕が憧れたファンタジーの世界そのままだ。

「あら?もう来たの?」

目の前を見てみると大きな切り株に座って本を読んでいる白い長い髪の女性がいた。たぶんこの人もエルフだろう。

「もう少し本を読んでいたかったのですが.....仕方ありませんね。」

そう言うと彼女は本を閉じ、立ち上がる。

「はじめまして....私はオーロラ。貴方の試練の相手です。試練の内容は私に一撃でも攻撃を与える事。」


彼女はどこかへ歩いて何かを片手で引っ張り上げる。

「嘘.........でしょ?」

「さぁ、はじめましょう。すぐに終わらせて読書を続けたいのです。」

彼女は僕が使っている斧の何倍の大きさの斧を片手で持ち上げた。あの身体からは想像できない筋力を持っている。

僕はただ呆然としていた。










エルフの森 中央部にて

「いて!ここどこ.......。」

転んでしまったがすぐに立ち上がり周りを見渡した。ここは.....街のど真ん中!?辺りには観客らしいエルフ達がたくさんいる。俺はステージの上にいた。

「ははははは!!まさか私の相手がお前とはな!!」

「その声は!」

振り返るとそこには見たことがあるエルフがいた。俺が初めて会ったあの金髪の長い髪のエルフ........。

「私の名はエレア!森を守る守人のリーダーだ!!」

そう言った瞬間に周りから歓声が上がる!

「きゃー!エレア様ー!」

「そんな人間早く倒しちゃってくださーい!」

「あははは.....大人気ですね。」

エレアという女性は観客の女の子たちに手を振りながら笑顔を振りまいたあと、俺を睨んだ。その顔は真剣そのものだ。

「ルールは場外に出る、もしくは武器が攻撃に耐えられず大破する、降参しても構わないぞ?」

彼女は俺に向かって剣先を向ける。

「そんな事絶対にしない!」







ジャッジメントの屋敷にて

「これは........。」

「俺の力で三箇所の映像を君に見せている。」

「剣、弓、斧.......。」

「そうだ、彼らにふさわしい相手だろ?特にエレアは俺の一番の教え子だ。さぁ勝てるかな?」


映像から3人の声が聞こえる。ほとんど同時にあの掛け声が聞こえた。






3人「チェンジ!!!」










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