上 下
31 / 95
流星祭 編

第22話 朝日が君を照らす

しおりを挟む
「無事!クエストをクリアする事ができました!これも皆さまのおかげです(*≧∀≦*)」

ハンドさんは
夜が明け、俺たちの長い夜は終わった。朝日がこんなに安心するものだとは知らなかった。ふとズボンのポケットを触ってみる、入っているのは2枚のカード。「ゴウジンマル」と「ディルバ」のカードだ。

「まだ、少し暖かい.........。」

「どうしたのリオ君?」

「いえ、大丈夫ですよサナさん!それよりメガネ君はどこに行ったんですか?」

みんなが集まっているなか、メガネ君だけ姿がなかった。

「探し物があるってどこかへ行っちゃったよ?」

「そう......ですか。」




一方その頃 メガネ君は

「たぶん、この辺あると思うんだけど............。」

僕はただ1人、森の中を走っていた。あるものを探しているのだ。
僕の手には「あるもの」が握られている。

「!!!............あった。これだ!」

森の中にポツンっと置かれている一つの石の板。コケや汚れがついていない事から毎日丁寧に磨かれていた事が分かる。 
そこには名前が一つだけ彫られている「ローズ・リノ」と...........。

「ギルバ.........貴方のしてきた事は許されない事かもしれません。でも少しだけ.....少しだけ同情しています。」

僕はそう言うと廃城から持ってきたペンとインクで文字を書く、石を彫る事なんてできませんからね。
石の板に「ギルバ・リノ」と書くともう片方の手で持っていたネックレスを石の下へ埋めた。

「さようなら..........。」

もう、みんな解散しているだろう。そう思って城の方へと走り出す。
急いで行かなきゃ、リオ先輩達を待たせてしまうかもしれないからだ。



「届けてくれて、ありがとうね.........。これで迎えに行ける。」



後ろから女性の声が聞こえた気がして振り返るもそこには誰もいなかった。

「え.........気のせい?」

暖かい風が吹いて僕の青い髪が少し揺れる。







「ここは一体どこだ?俺は確か......あの爪にやられて殺されたはず。」

どこまでも続く暗闇の中、ただ1人だけ。リビュエもゴウジンマルも....もちろん「彼女」もいなかった。

「そうか、ここがあの世か。」

そう思ったら笑いがこみ上げてきた。あの世に行けば彼女に会えると思っていたのが馬鹿らしくなったのだ。


「ここに来るのは初めてね。思っていた以上に暗いわ.......。」


この声は......聞き覚えがある懐かしい声。まさか!!
俺は勢いよく振り返る、そこにいたのは薄い金髪の........そう「ローズ」だ。

「ローズ.........どうしてここに!」

「ギルバ、貴方を迎えに来たのよ。はい、これ.......青髪のメガネを掛けた子が届けてくれたわ。」

そう言うとローズは俺の首に死ぬ時に落としたはずのネックレスをかけてくれた。青い髪?.......そうかアイツか。

「さぁ行くわよ。私が来たあの白い光の方へ行けば「みんな」が待っている。」

ローズが指を差す方向には白い光が揺らめいていた。とても眩しくて暖かい光だ。でも............

「ダメだ、俺はそこにはいけない。」

「どうして?」

「俺は........両親や妹達.....たくさんの人を殺してきた。だから君と同じ場所には行けない。」

ローズは少し考えた後にこう言った。

「分かったわ........だったら私ももう少しここにいる。」

「なっなんで..........。」

「ダメ?貴方がいる所だったらどこまでもついて行くわ。」

「...............ふっ......君らしいや。」

涙が溢れ落ちてくる、嬉しいという感情でいっぱいになる。
まるで黒く塗られた心が元の綺麗な心になるかのように........鎖から解放されたかのように.........

「あら?ふふっ......それが貴方の本当の姿?」

「え?」

自分の手を見てみる、そこには化け物としての俺の手ではなく人間だった頃の懐かしい手があった。人間の姿に戻ったのだ。

「あぁ、ありがとう君のおかげだ。」

「これで少しお返しができたわね。」

ただ2人だけ........暗闇さえも怖くは感じなかった。ありがとう...........幸せってこういうのを言うんだな。








7月4日 正午12時 ジェネシスでは

トントン

誰かが俺達のギルドのドアをノックする。もうすぐ料理ができるって言うのに一体誰だろう?そう考えながらドアを開ける。

ガチャ

「はーーい誰ですかー?ってハンドさんとテンさん!?」

「お昼ご飯時にごめんね!はい、これ(^○^)」

ドアの前に立っていたハンドさんは箱を俺に渡す。

「これって?」

「こちらは今ファンタジーモールが作っている試作品のケーキでございます。」

「なんかあのクエストの時に迷惑かけちゃったみたいだからね(>_<)お詫びの気持ち!」


確かに渡された箱からは隙間から甘い匂いがしてくる。これは3時のおやつだな。


「そうだ!メガネ君を呼んできてくれるかい?」

「わっ分かりました!メガネ君!お客様だよ!!」

俺が言うと二階から降りてくる音がする、どうやら二階から聞こえたようだ。メガネ君がすぐにやってきた。

「なんですかリオせんぱ......あれ?ハンドさんとテンさん?」

「やぁ!メガネ君!君にはこれ!」

ハンドさんはメガネ君に会うとスーツのポケットからカードを一枚取り出して名刺交換のように渡す。

「こっこれって..........。」

緑色のカード......鎌が描かれていた。

「もっもらっていいんですか!(これはギルバのカード........)」

「あぁ、もちろんさ(^○^)」

「でも!ギルバはハンドさんが倒したから.........。」

「いや!なんでか分かんないけど君に渡した方が良い気がするんだ.......たぶん使う機会も少ないだろうし。」

俺は少し話について行けていない。ギルバって誰!?もしかしてメガネ君が言っていた「僕と似たカマキリのモンスター」の事かな?

「それじゃ!渡したし僕達はこれで!」

「あっあと、ポストに手紙が入っていましたよ。」

テンさんは俺に手紙を渡すと2人で帰っていってしまった。
メガネ君はカードを渡された後、無言ですぐに自分の部屋へ戻ってしまった。

「メガネ君!もうすぐ料理できるよ!........って行っちゃった。」

そういえばこの手紙、誰からのだろう?
差し出し人の名前を見てみる。

「これは.........ギルド「アヴァロン」......アーサー達だ!!」

俺はすぐに手紙の封筒を開け、内容を確認する。
内容はこうだ。


ギルド「ジェネシス」へ

お前達に頼みがある、すぐに俺達のいる「スピカの街」へ来て欲しい。
これはクエストだ。
詳しい事は街に着いたら教える

ギルド「アヴァロン」 リーダー アーサーより


「何があったって言うんだ........早くサナさんに伝えなきゃ!」





その夜 あの廃城では

1人の青髪の青年が杖を持って廃城の周りを歩いていた。
そう、ギルバをカマキリのモンスターへと変えたあの術師の青年だ。

「ふーーん、ここにいた3匹のギガモンスター.....死んじゃったんだ。」

仮面をつけていた青年は仮面を取り外し、笑みを浮かべる。

「まぁいっか。別に期待してたわけじゃないし......でも誰が倒したんだろ?プレイヤー達かな?」

独り言を言いながら森の中を歩き続ける。

「もう、ここに用はないかな......転移魔法「ワープ」」

青年がそう言うと杖から魔法陣が出現し青年はその中へと入っていった。

「次は......確か「スピカの街」かな。あそこにいる子は面白いんだよね.........なんせ僕の「能力」を分けてあげたんだから.......ね。」

魔法陣をくぐると彼の姿は消えていた。





おまけコーナー「裏話」

一つ目
廃城編でCグループとDグループは活躍をする事ができなかったのでソード オブ ベルサイユのウィルター達は少し反省しています。

ウィルター「活躍できなくてすみません..........。」


二つ目
ローズは死後ずーーーっと死者が暮らす世界を旅していました。
それはギルバの人間だった頃の家族を探す為です。ギルバから聞いた数少ない情報を頼りに探していました。

そしてローズは家族を見つける事ができたのです。ローズは家族に「ギルバの事を許してほしい」と頼んでいました。家族や妹の旦那は「もちろん許す決まっている、それより自分達が謝りたい」と言っていました。

特にギルバの下の妹は涙を流しながら言っていました。
「自分のせいだ。」「あの時ひどい事を言ってしまった事を謝りたい」

ギルバが自分の罪を許す事ができたなら、きっと死者の世界で両親やローズと共に望んでいた平和な人生を送る事ができるのでしょう。



































しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

CoSMoS ∞ MaCHiNa ≠ ReBiRTH

L0K1
SF
機械仕掛けの宇宙は僕らの夢を見る――  西暦2000年―― Y2K問題が原因となり、そこから引き起こされたとされる遺伝子突然変異によって、異能超人が次々と誕生する。  その中で、元日を起点とし世界がタイムループしていることに気付いた一部の能力者たち。  その原因を探り、ループの阻止を試みる主人公一行。  幾度となく同じ時間を繰り返すたびに、一部の人間にだけ『メメント・デブリ』という記憶のゴミが蓄積されるようになっていき、その記憶のゴミを頼りに、彼らはループする世界を少しずつ変えていった……。  そうして、訪れた最終ループ。果たして、彼らの運命はいかに?  何不自由のない生活を送る高校生『鳳城 さとり』、幼馴染で彼が恋心を抱いている『卯月 愛唯』、もう一人の幼馴染で頼りになる親友の『黒金 銀太』、そして、謎の少女『海風 愛唯』。 オカルト好きな理系女子『水戸 雪音』や、まだ幼さが残るエキゾチック少女『天野 神子』とともに、世界の謎を解き明かしていく。  いずれ、『鳳城 さとり』は、謎の存在である『世界の理』と、謎の人物『鳴神』によって、自らに課せられた残酷な宿命を知ることになるだろう――

イシュタル

平 一
SF
『女神、再臨。』 かつて人類の文明化を助けた、異星種族。 銀河系を分ける大戦の中、地球を訪れた目的は!? 長編『Lucifer(ルシファー)』第二章を、次の作品に感動して口語化しました。 イラスト:『千早』 https://www.pixiv.net/artworks/61620952 『如月千早』 https://www.pixiv.net/artworks/79171941 『アルベド』 https://www.pixiv.net/artworks/68033001 『不死者之王』 https://www.pixiv.net/artworks/100680706 『星を繋いで』 https://www.pixiv.net/artworks/96842614 『紫霧』 https://www.pixiv.net/artworks/93033388 『Lily』 https://www.pixiv.net/artworks/45203956 『百合姫』 https://www.pixiv.net/artworks/98922201 動画:『千早 kokoro』 https://www.nicovideo.jp/watch/sm5842944 (コメントは右下吹き出しをクリックで消えます) 『約束』 https://www.nicovideo.jp/watch/sm21988300 『悠久の旅人』 https://www.nicovideo.jp/watch/sm1375891 『月下儚美』 https://www.youtube.com/watch?v=3m0x-Xfi6Xg 『FairyTaleじゃいられない』 https://www.youtube.com/watch?v=3ZMdF3bhJR0 『M@STERPIECE』 https://www.youtube.com/watch?v=LULl-LJiRVw 素敵な刺激を与えてくれる、素敵な文化的作品に感謝します。 人類の歴史や神話を題材にした、壮大な物語が書きたいと思いました。 あくまでも星間帝国の興亡を描いた、SFです。 昔、私的な問題に悩みネカフェ通いを楽しみにしていた私は、 様々な動画に感動し、『古代の宇宙人』説による暗めの小説を書きました。 しかし動画の素晴らしい芸術性ゆえか、どんどん話が建設的になり、 とうとう社会に役立つ(と思う)文明論まで考えることができました。 ご興味がおありの方は『Lucifer』シリーズの他作品や、 『文明の星』シリーズのエッセイもご覧いただけましたら幸いです。

後天スキル【ブラックスミス】で最強無双⁈~魔砲使いは今日も機械魔を屠り続ける~

華音 楓
SF
7歳で受けた職業診断によって憧れの狩猟者になれず、リヒテルは失望の淵に立たされていた。 しかし、その冒険心は消えず、立入禁止区域に足を踏み入れ、そこに巣食う機械魔に襲われ、命の危機に晒される。 すると一人の中年男性が颯爽と現れ、魔砲と呼ばれる銃火器を使い、全ての機械魔を駆逐していった。 その姿にあこがれたリヒテルは、男に弟子入りを志願するが、取り合ってもらえない。 しかし、それでも諦められず、それからの日々を修行に明け暮れたのだった。 それから8年後、リヒテルはついに憧れの狩猟者となり、後天的に得た「ブラックスミス」のスキルを駆使し、魔砲を武器にして機械魔と戦い続ける。 《この物語は、スチームパンクの世界観を背景に、リヒテルが機械魔を次々と倒しながら、成長してい物語です》 ※お願い 前作、【最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~】からの続編となります より内容を楽しみたい方は、前作を一度読んでいただければ幸いです

神水戦姫の妖精譚

小峰史乃
SF
 切なる願いを胸に、神水を求め、彼らは戦姫による妖精譚を織りなす。  ある日、音山克樹に接触してきたのは、世界でも一個体しか存在しないとされる人工個性「エイナ」。彼女の誘いに応じ、克樹はある想いを胸に秘め、命の奇跡を起こすことができる水エリクサーを巡る戦い、エリキシルバトルへの参加を表明した。  克樹のことを「おにぃちゃん」と呼ぶ人工個性「リーリエ」と、彼女が操る二十センチのロボット「アリシア」とともに戦いに身を投じた彼を襲う敵。戦いの裏で暗躍する黒幕の影……。そして彼と彼の大切な存在だった人に関わる人々の助けを受け、克樹は自分の道を切り開いていく。  こちらの作品は小説家になろう、ハーメルン、カクヨムとのマルチ投稿となります。

小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です  2024年6月中旬に第一巻が発売されます  2024年6月16日出荷、19日販売となります  発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」 中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。 数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。 また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています 戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています そんな世界の田舎で、男の子は産まれました 男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました 男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります 絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて…… この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです 各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております

追放された最強令嬢は、新たな人生を自由に生きる

灯乃
ファンタジー
旧題:魔眼の守護者 ~用なし令嬢は踊らない~ 幼い頃から、スウィングラー辺境伯家の後継者として厳しい教育を受けてきたアレクシア。だがある日、両親の離縁と再婚により、後継者の地位を腹違いの兄に奪われる。彼女は、たったひとりの従者とともに、追い出されるように家を出た。 「……っ、自由だーーーーーーっっ!!」 「そうですね、アレクシアさま。とりあえずあなたは、世間の一般常識を身につけるところからはじめましょうか」 最高の淑女教育と最強の兵士教育を施されたアレクシアと、そんな彼女の従者兼護衛として育てられたウィルフレッド。ふたりにとって、『学校』というのは思いもよらない刺激に満ちた場所のようで……?

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

可愛いけど最強? 異世界でもふもふ友達と大冒険!

ありぽん
ファンタジー
[お知らせ] 書籍化決定!! 皆様、応援ありがとうございます!!      2023年03月20日頃出荷予定です!! 詳しくは今後の刊行予定をご覧ください。  施設で暮らす中学1年生の長瀬蓮。毎日施設の人間にいいように使われる蓮は、今日もいつものように、施設の雑用を押し付けられ。ようやく自分の部屋へ戻った時には、夜22時を過ぎていた。  そして自分お部屋へ戻り、宿題をやる前に少し休みたいと、ベッドに倒れ込んだ瞬間それは起こった。  強い光が蓮を包み込み、あまりの強い光に目をつぶる蓮。ようやく光が止んできたのが分かりそっと目を開けると…。そこは今まで蓮が居た自分の部屋ではなく、木々が生い茂る場所で。しかも何か体に違和感をおぼえ。  これは蓮が神様の手違いにより異世界に飛ばされ、そこで沢山の友達(もふもふ)と出会い、幸せに暮らす物語。 HOTランキングに載せていただきました。皆様ありがとうございます!! お気に入り登録2500ありがとうございます!!

処理中です...