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第20話「共・闘・開・始」

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ビルから落下し地上に着地した如月はすぐに周囲を見渡す。自分の武器になりそうな鉄でできたものを探し始めた。大きな道路の真ん中、周囲には建設途中のビル、飲食店やコンビニが多く建ち並んでいた。如月はすぐに腕を振り、辺りに散らばった瓦礫や立っている街灯を能力で無理矢理引き抜くと宙に浮かんでいるゴーストに向かって投げつけていく。

「避けてみやがれ!!」

ゴーストは避けず、むしろ投げられた街灯や瓦礫に近づいていく。瓦礫や街灯はゴーストの身体をぶつからずに煙のようにすり抜けていってしまった。

「残念ですが私はゴースト、透けることができ.....ガッ!」

バダッ!!

投げられた街灯や瓦礫はすり抜けた瞬間にゴーストに向かって戻っていきゴーストの背中へと勢いよくぶつかり、ゴーストはそのまま地面に落下して倒れてしまう。

「その透過の技も常時は使えないみたいだな。すぐ解除してくれてありがとよ。」

「クッ......!」

ゆっくり立ち上がるゴーストに向かって如月は走り出し拳を振る。ゴーストはすぐに構えて防ごうとするが如月の拳はゴーストの身体に当たる瞬間に黒く鉄のように硬化しゴーストの骨の装甲を纏った腕を打ち砕く。

ドォォオン!!

「何!?」

「鉄を動かせるだけだと思ったか?残念!古い参考書ばっか読んでるからだよ!」

ゴーストは数メートル飛ばされる。如月が砕いたゴーストの腕はすぐに再生してしまった。

(アイツのあの表情.......私が半年前に身につけた自分の身体・触れた物に鉄の強度を付与する能力を知らなかった。つまり半年前に私が本部に送った更新した資料は読んでいないのか?)

「知らない力ですね......」

「あぁそうだよ、焦ってんのか?」

「いいえ........なぜなら貴方は私の能力を知らないから.....」

不気味に笑うゴーストは指を鳴らし上空に黒い大きな穴を出現させる。そこから30体以上の黒い怪人が雨粒のように降ってきた。

「へー、お前タイマンの意味知らねぇだろ。」

「ふっ....貴方が勝手に言ってただけでしょう?」

「まぁいいや、やってやるぜ。ちょうど試したいことがあったしな。」

「?」

如月は自身の耳につけたイヤホン型の通信機で誰かに連絡を取ると不敵に笑い、腕を大きく上げる。すると辺りに落ちていた瓦礫や街灯、怪人に壊された自動車、工事中のビルから鉄パイプや鉄柱などが次々と上空に浮き上がっていき、十数秒で上空に大きな黒い影が出来上がった。

「なんですかそれは?」

「何って鉄の塊だぜ、今から一気に落とすから受け止めろ。」

パチン

上空約400メートルから落とされる十数メートルの大きな鉄の塊。落下速度を速めながら次第に1つの大きな塊だったものがバラバラに分かれ周囲に流星群のように降り注いでいく。

「ザ・メテオ!」

降り注ぐ鉄の流星群が道路や建物にぶつかり穴を開けながら黒い怪人達の身体を貫通し倒していく。ゴーストは自身の透過能力で全てを透過する。1分ほどで止みゴーストが先程呼び出した黒い怪人達は一掃されてしまった。

「多少は道路とか壊しちまったが呼び出した奴ら一掃できたしプラマイゼロだな。さぁどうする?お友達いなくなっちまったぜ?」

「いいえ、構いませんよ。また作って呼び出せばいいんですから。」

「作る?」

「あの黒い怪人「ストレイズ」は周囲にいる地縛霊や怨霊を無理やり集めて練り合わせて作ったものです。霊5人ほどでやっと1人、ストレイズを作れるのですよ。都市部は霊の数が多くて助かります。」

「なるほど......私お前の能力嫌いだわ。」

如月は先程降り注ぎバラバラになった鉄の塊を再び自分の周りに集め、ゴーストに向かって次々と放っていく。ゴーストはその全てを透過してしまう。如月は前方に向かって走り出しゴーストとの距離を詰めていった。

「近づいても透過するだけですよ!」

ゴーストは如月に向かって手のひらから緑色の炎を吐き出す。如月は瞬時に宙に浮かせている鉄の一部を集め、炎を防ぐ壁を作り出した。その間も残りの鉄の塊はゴーストに攻撃を続ける。しかし、透過され一向にダメージを与えられない。

「オラッ!」

シュッ!

距離を詰めることができた如月は両腕両脚を鉄のように硬化させてゴーストに殴る、蹴ると物理攻撃を繰り返す。しかし、透過され一向に当たらない。ゴーストは再び手のひらから緑色の炎を吐き出すと如月は先程と同じように壁を作りそれを防ぐ。

シュッ!シュシュ!

「先程からそればかりですね!何をしても私は透過するだけですよ?」

(さっきから炎の攻撃ばっか.....自分の身体を透過しているってことはアイツは私に殴る蹴るの直接的な攻撃はできないみたいだな。だが私は攻撃をやめないぜ........そろそろか?)

ドガッ!!

「うっ!!」

「当たった!」

ドンドンドンドンドン!!!

「グハッ!!」

ゴーストの身体に拳がぶつかると同時に如月の周囲を飛び回り、ゴーストの身体に攻撃をしていた鉄の塊が次々とゴーストの身体に当たっていく。しかし30秒ほどで透過して効かなくなってしまった。

「はぁ......はぁ........。」

「1分半ってとこだな。」

「は?」

「お前の透過継続時間だよ、そして30秒インターバルが必要になる。」

「はは.....あぁそうですか.....教えていただきありがとうございます.....」

「じゃ、ここからはもっとハードにいくぜ。」

首をポキポキと鳴らし腕をぐるぐると振り回す。準備運動のストレッチのような動き始めた。そのタイミングでレーテの隊員服を着た誰かこちらに走ってやってきた。

「遅いぜ波流!」

「無茶振りになんとか答えたつもりなんだけど.......うわ、道路ボコボコだ。やっぱりさっき空に浮いてたのって君の仕業だったんだね。言われた通り用意したよ!」

そう言うと波流は背後から次々とダガーを取り出していく。

「何本だ?」

「えー50本くらいかな?」

「上出来だ、」

パチン

如月はニヤッと笑い指を鳴らす。鳴らすと同時に波流が用意した全てのダガーが浮かび上がり刃先が一斉にゴーストに向き始める。如月は右手を銃の形にしゴーストに指を差した。

「バァン」

「!!」

ダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!!!















【新宿・歌舞伎町付近】

「避難できてない人いませんかー!!!避難できてない人いませんかー!!!」

「さすがに全員避難したんじゃねぇのか?」

ユーアとルナはバイクに乗って避難できていない一般人を探していた。

「ここにいまーす!」

「いるの!?」

声がする方へバイクでUターンし戻ると路地裏の方から声がする。ユーアはすぐにバイクから降り、路地裏の中に入っていった。路地裏の奥で白い髪の綺麗な服を着た女の子が足を怪我をしたのか座っている。ユーアはすぐに駆け寄り、腰をかがめ少女と目線を合わせた。

「大丈夫?お母さんやお父さんとはぐれちゃったのかな......お姉ちゃんがすぐに避難先まで連れて行くからね、あなたの名前は?」

「ソフィア......賢者ソフィア」

「賢....者?」

「キラーやっちゃって。」

「ユーア!上だ!!」

路地裏の上を見上げると身体中から腕が生え、生々しいしいツギハギだらけの怪人が落下してきた。

「イェヤァァァァァ!!!」

身体から生えた数本の腕が動き出し身体中に刺さっているナイフを抜き取りユーアに向かって投げ飛ばす。ユーアは後ろに下がることで避けたが投げ飛ばされたナイフは地面のアスファルトに突き刺さりそこからジューという音をたて煙を上げ始めた。

「もしかしてアスファルトが溶けてるの!?」

「そうよー!私の血や体液はなんでも溶かしちゃうの~!アハハハハ!!」

「任せたわ狂戦士キラー。腹立つアイツを溶かしちゃって....」

「りょうかーい♪ソフィア!」

少女は消え、キラーという怪人だけが残った。キラーは再び身体に突き刺さったナイフを抜き取り構える。抜き取った際に身体から血のような雫が落ちアスファルを溶かしていく。

ポタ.....

ジュー!!

「さぁー行くわよー!」

「あの液体ってユーアのアーマーも溶かしちゃう?」

「あの感じだと多分な......」

ユーアは腰のベルトにつけたホルダーに手を置いてどのフォームが一番、キラーに有効なのかを考えた。

バランス重視、肉弾戦・近距離攻撃に長けた「ヒーローフォーム」

空中戦、炎を使った遠距離攻撃が可能な「ホークフォーム」

壁や地面に潜り、水を使った斬撃攻撃が可能な「シャークフォーム」

忍術によって敵を翻弄させ跳躍力、俊敏さに長けた「シノビフォーム」

そして先程初めて使ったスピード重視の高速移動「レーサーフォーム」


「防御力が高そうなフォームは無し......速さで相手の攻撃を避けるならシノビとレーサーかな?」

「...........」

「よし」

ユーアは腰のベルトにつけたサイドのホルダーから青いメモリカセットを取り出す。ドライバーに装填しているピンク色のメモリカセットと入れ替えホイールを3回回転させた。


3!2!1!

ヒーローアップ!正義を勝ち取る!アクセル!フルスロットル!レーサー!!You are HERO!!


ピンク色のバッタのアーマーが外れ青色のレーサー姿のアーマーが装着された。ユーアは波流から受け取ったレーテガンに緑色のメモリカセットを装填する。銃口部分に緑色のオーラが集まり引き金を引くと同時に一発の弾丸が放たれる。


バン!

シノビ!レーテブラスト!!!

バァァァン!!!!


放たれた一発の弾丸が分身し四方八方からキラーに着弾し爆発する。

「効かないよー!!」

爆発の煙からキラーがナイフを握りしめながらユーアに向かって飛び出してきた。ユーアは足についたタイヤを回転させ、高速移動をして避ける。避けられた瞬間にキラーはユーアを追いかけながらナイフを投げ続けた。

「避けてばっかりでつまんないー!」

「貴方の能力が危ないからだよ!?」

「もういい!私怒ったから!!」

背中から生えた腕も動かし、さらに身体に刺さったナイフを抜き取るとそれを全て上へと投げ飛ばした。ナイフの数は十数本、ユーアはすぐに上空を見上げた。その瞬間にキラーはユーアと距離を詰めユーアを羽交い締めにする。

「しまった!」

「ユーア!!」

「上ばっか見て私のこと見ないからだよ?一緒にナイフの雨にあたりましょ♪ブラッディナイフレイン!!」

ナイフが次々と落下していく。このままでは身体に当たってしまいユーアのアーマーが溶けてしまう。数本の落下するナイフがユーアに刺さりそうになったその時だ。




ハンティングエッジ!!!


バリィィィィン!!!


ユーアに刺さりそうになったナイフが緑色の斬撃によって弾かれ、辺りに散らばり落下していった。斬撃がした方へ顔を向けるとそこには黒と緑色の狼のヒーローがこちらに向かって歩いて来る姿があった。

「ハンター........」

「誰よアンタ....」

「ハンターダ、身体中ニ刺サッタナイフ、溶解サセル体液、一体ナンノメモリカセットノ能力ダ?」

「せっかく2人で遊んでたのに....邪魔しないでよ!!?」

キラーはユーアを羽交い締めにするのをやめ、ハンターに向かってナイフを構えると走り出す。ハンターはそれを簡単に避け、右腕に装着した爪形状の武器で後ろからキラーの背中を攻撃をした。

ズバァァァァァ!!!!

「ぎゃー!」

キラーに攻撃したハンターはユーアのそばに駆け寄る。ユーアはハンターの仮面を見つめた。

「貴方は味方なの?」

「サァナ......」

「でも、助けてくれてありがとう!」

「フン......敵ハ同ジダ、力ヲ貸セ。」

「うん、いいよ。よーし!テンション上げていくぜ!」



















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