Worlds of Fate〜世紀末の戦士は異世界に挑む！〜

第１８話 バトルロイヤル⑦ 決着

「やれよ…」

フレアの褐色の手足はジャックの体内に完全にロックされている。
命尽きるその時まで戦いぬく。それがドラゴン族の戦士だ。しかし足掻こうにも噛み付こうにもフレアの口はジャックのどこにも届かない。フレアはなす術もなく呟いた。

ードスッ

その瞬間、フレアの意識は完全に飛んだ。
ジャックは、フレアを痛めつけることなく、彼女の意識を奪うために峰打ちをしたのだ。

「ドラゴン族の女戦士よ。よく我と戦った。敬意を表そう。お主は燃えさかる太陽の如く堂々としていたぞ」

ジャックは彼女の倒れる身体を優しく受け止め、そっと地面に横たえた。その行動は、ジャックの内にある尊敬と優しさを表していた。

しかし、フレアとの戦いに夢中になっていたジャックは、肝心のモモを見失ってしまった。

「モ…モモ！！我、モモ見失った！我の…大事な友人！」

戦いの最中に、モモがどこかへと移動してしまったのだ。

ジャックはフレアをかつぎ、急いでモモの居場所を探し始める。
しかし、モモは既にその場を離れ、アロマを探して別の場所へと向かっていた。

ジャックの心に焦りが生じる。モモを守るために戦ってきたが、肝心のモモを見失ってしまったことで、自身の無力さを感じた。彼は素早く周囲を見渡し、モモの行方を追うべく、次の行動に移ろうと決意する。


一方、モモは…

「げ…激戦なのだ…僕はこうしちゃいられない。アロマを探さないと」

モモはフレアとジャックの激しい戦いを横目に、その場を離れる決断を下した。鼻を利かせてアロマの匂いを探そうとしたが、この状況では匂いが掻き消され、まるで何も感じ取れない。

さらに、アロマからの危機を知らせるメッセージも気になり、彼はすぐに行動に移した。

「どこなんだ、アロマぁ」

モモは素早く森の中へと移動し、木の幹を駆け上り、高所から周囲を見渡す。森の緑に覆われた大地を眺めながら、彼は必死にアロマの姿を探した。

「なにか聞こえてくるぞ」

モモの兎の耳は敏感に周囲の音を拾い始めた。風に揺れる葉の音、遠くで響く魔法の衝突音、そして、交戦するクラスメイトたちの声が聞こえてくる。

だが、モモは兎の耳を澄ませながら奇妙なことに気づいた。クラスメイトは全部で16人のはずだが、聞こえてくる戦闘音はそれ以上だ。

彼の心に疑念が生まれる。
「もしかして、あの砂漠で感じた冷たく禍々しいオーラが関係しているんじゃないか…？」
モモは、砂漠で遭遇した異様な存在を思い出した。あの得体の知れない力が、今この森の中でクラスメイトたちに影響を与えているのかもしれないと考えた。