Worlds of Fate〜世紀末の戦士は異世界に挑む!〜

宇宙星

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第12話 大乱戦。バトルロイヤル

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次の授業は乱戦を予測した戦闘訓練が始まろうとしていた。

広大な魔法フィールドは、鬱蒼とした密林、きらめく水域、焼けつくような砂漠地帯、工業地帯の廃墟、空中庭園など、あらゆる地形を再現し、参加者たちの適応力と戦術を試すために巧妙に設計されている。

16名のクラスメイトが集合し、緊張感が漂う中、ノルン三姉妹のヴェルサンディが冷酷な眼差しで全員を見渡した。彼女は学園を仕切る3人のうちの学長の1人である。

「ここで自由に乱戦を繰り広げてもらう。私は常に監視している。」

その声は無機質で冷たく、まるで彼女が感情を持たないかのように響き渡った。

「ルールは一つだけ。フィールドで死んだ場合、試合終了後、命が尽きる前に巻き戻る。それだけだ。」

……つまりこの授業で死んでも生き返るって事か。

“死”という単語がフィールドに漂うと、瞬く間にクラスメイトたちの表情はさまざまな感情に染まった。

シンヤの脳裏には過去に目にした数々の死者の姿がよぎり、冷徹な記憶が蘇る。しかし彼は冷静にこの訓練を評価した。これは実戦に近い条件で、しかも生き返る余地があるなら、試すには理想的だ。だが、本当に命が巻き戻るというのか?

「この状況は、地上での混乱した戦場と似ている。指揮官不在の中でのサバイバル、その経験が今生かされる時だ」

「そうなんだ!僕はこういう緊迫した状況は初めてだから、少し怖いよ。でも、シンヤがいてくれれば心強い!」とユージーンが笑顔で言った。

一方で、ジャックはヴェルサンディの言葉など無視し、彼にとって可愛いモモを守るための執念を燃やしていた。

「死から生き返るというのは本当か?」

「ああ、本当だ。試しに見せてやる。」

彼女はジャックの隣にいたモモに冷たい視線を向ける。モモは突然注目され、怯えたような声を漏らす。

「えっ、僕…?」

ーーズシャ!!!

一瞬の出来事だった。ヴェルサンディの手から放たれた氷の槍が、躊躇なくモモの胸を貫いた。彼は驚きの表情を浮かべたまま声を発する間もなく、その場に倒れ込む。

「モモーー!!」

ジャックは怒りに震え、鋭い爪を振りかざしてヴェルサンディに襲いかかろうとするが、彼女は冷静にそれを受け流した。

「焦るな、ジャック。見ていろ。」

次の瞬間、モモの身体が淡い光に包まれ、その光は徐々に傷を癒し、彼の命を取り戻した。モモは深く息を吸い込みながら、ゆっくりと立ち上がる。まるで、時が巻き戻ったかのように。

「…生き返った…?」

「これで分かっただろう。死は一時的なものに過ぎない。ただし、痛みと恐怖は現実だ。」

モモは身体の震えを抑えながらも、ジャックに助けを求めるような目を向けた。ジャックはモモの肩に手を置き、彼を守る決意を固めた。

一方、シンヤは信じられないという表情を浮かべつつも、この状況を冷静に受け止めていた。

「あれも魔法か…どこまで無茶苦茶なんだよ」

「でも安全って事だよね?」

半聖霊であるユージーンは、慎重に周囲を見回していた。その横でシリウスは沈黙を守りつつも、その超自然的な存在としての鋭い感覚で、周囲の異変を敏感に察知していた。

「……これ程までの魔法を操るとは。」

黒髪の魔法使いミヤビは薄く笑みを浮かべながら、計画を練っていた。彼の瞳が赤く光る。彼の目的はただ一つ、月の女神ルナを手に入れるため、すべてを踏み潰すことだ。

「面白くなってきたじゃないか。」

「殺し放題♡という事ですのね。」

「ああ…『命が尽きる前に巻き戻る』というなら、じっくりと猛毒を用いればどうなるだろう。さらにはゆっくりと四肢をもぎ取ってしまえばいい。」

「ああ…ミヤビ様、素敵な考え。楽しみですわ…♡」

その悪意に満ちた波動は、半聖霊であるユージーンや、聖なる存在であり賢明なペガサスであるシリウスによって見透かされることとなる。

シリウスは即座にアロマにその危機をテレパシーで伝達する。

「アロマ、ミヤビたちは本気で殺そうとしています。気をつけて下さい。」

「……なんですって……」

ーーヒラヒラヒラヒラ

アロマはその警告を受け、すぐに蝶を飛ばして仲間たちに警告を伝える。彼女の蝶たちは思念を伝え、仲間たちに危険を知らせた。

「それでは、行け。最後まで戦え」

ヴェルサンディの言葉と共に、16名のクラスメイトたちは冷酷なフィールドへと散っていった。シンヤとユージーンは鬱蒼とした森林地帯へ向かい、過酷な戦場で生き残るための戦闘準備を整えた。

試練の幕は切って落とされ、乱戦が始まった。

フィールドに足を踏み入れると、シンヤはその瞬間、全神経が研ぎ澄まされたように感じた。緑深い密林、遠くで響く川のせせらぎ、冷たい風が砂漠から吹き抜ける音――全てが彼の戦闘本能を刺激していた。

彼はただの戦闘員ではない。17歳にして特殊部隊のエリート、数々の死線をくぐり抜けた経験が彼を他のクラスメイトとは一線を画す存在にしている。

「油断はできない…誰が敵になるかも分からない状況だ。」

彼は冷静にフィールドを見渡し、戦術を頭の中で組み立てた。この広大な魔法フィールドは、ただの乱戦訓練以上の何かを含んでいることを感じ取っていた。

ヴェルサンディの冷酷な言葉、モモを即座に殺して生き返らせた魔法――これは単なる遊びではなく、本当に命が試される試練だと感じた。

「大丈夫かな…これ、冗談じゃないよね?」

シンヤは一瞬ユージーンを見やったが、すぐに顔を正した。ユージーンは半聖霊で、戦闘力は決して低くはない。

「心配するな。俺たちは既に戦場に立っている。あとは、どう生き残るかだ。」
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