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第5話 意外な結果
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ヴェルサンディに連れられて、実技に向けて広いフィールドに移動した。
俺は胸の中で高鳴る鼓動が止まらなかった。実技のルールはシンプルだ。隣の席の者と戦い、勝者が次の相手と対峙していく。倒れるか、ギブアップするまで。
俺の隣にはアロマ――俺より背の低い華奢な妖精の少女。戦う相手としては軽いと感じた。
準備は万端だ。最新の武器に身を包み、戦闘の経験は豊富だ。勝利を確信し、軽く片付けてやる。
それぞれの生徒がフィールドで向かい合う。俺とアロマもその中にある。アロマは目を合わせずに俯き、気まずそうにしている。
ピーーーッ!
笛が鳴った瞬間、戦場に一斉に火花が散る。アロマは蝶の羽をはばたかせ、空中に舞い上がった。
だが俺も、すぐに追いつける。足元の機動装置が火を吹き、アロマの目の前に一気に迫る。
ギチッ…
俺の手が彼女の細い首にかかり、勝利を確信した。
「観念しろ」
細いアロマの首を俺のゴツい腕で締め上げるように握った。ドクドク、とアロマの動脈が俺の手に伝わる。
アロマの桃色の瞳が揺れ、胸の谷間に汗が滴り落ちる。
アロマのスカートはめくれ、下からはピンクのパンティに包まれた形の良いヒップが丸見えになる。
「うぐ…」
「お前を痛めつける気はねぇんだ。」
「…シ…ンヤ…」
アロマは驚いたように桃色の大きな瞳を見開くと、その瞬間、俺の世界は真っ白に…包まれて…
桜だ。俺は桜の木の下に立っていたー
初めてみる景色。幻想的な桜並木に包まれて、桃色の花びらが、俺の周囲をひらひらと舞う。
暖かい。感じたことの無い優しい光が俺を包み、俺は深呼吸して目を閉じた。
そう、この時は、戦いのことなんてすっかり忘れちまっていたんだ。
__________
目が覚めると、俺は保健室のベッドに横たわっていた。隣にはアロマが、ボロボロの姿で眠っている。彼女の足には包帯が巻かれ、痛々しい姿が目に飛び込んできた。
「おい…なんだここは。起きろ」
「うーん……」
気だるそうにアロマは起きる。
アロマのその寝姿はとても無防備なもので、胸元ははだけて薄い桃色のブラジャーが見えている。スカートは捲り上られ、ツヤのある太ももが露わになっていた。
「何があったんだ」
アロマは気まずそうに微笑んで答えた。
「私が試合で貴方に幻術をかけたら、貴方はずっと眠っちゃってたから心配になって…授業が終わった後に保健室で起きるのを待ってたの」
「何だって?!俺がずっと寝ていただと?!」
シンヤは時計を見る。午後6時。授業が終わり、学生寮に戻る時間だ。
「どうしてお前はそんなにボロボロなんだ?」
「最後まで試合をしたからよ」
なんだと、状況がよくわからない。混乱する俺にアロマは静かに声をかける。
「良かった…目覚めて」
「それで、結果は?結果はどうなんだ?」
アロマは気を遣って何も言わない。
「結果はどうあれ、貴方のお友達が心配していたわよ。御免なさい。こんなに眠るとは思わなくて」
「お前が…幻術使いだとはな。これが異世界の奴らの力か」
俺はこの女に敗北しただけでなく、気遣われている事がどうにも気に食わない。
「…そろそろ寮に戻るわね」
「おい、ちょっと待てよ、術の仕組みを俺に教えろ」
「ええ。もちろん。なんでも教えるわね」
ーーガラガラ
そこにペガサスの翼を持つシリウスが現れる。白髪のショートヘアに冷たい青い瞳をしている。クラスの学力テストで一位を取っていた奴だ。
「アロマ、そんな者に構っていたのですか。全く…」
シリウスは俺を軽蔑するように見て言い放つ。
「シリウス、そんな事言わないで。私の幻術が招いた結果なのよ」
と言い足を引きずって保健室を出る。シリウスはアロマを支えながら2人で寮に戻ろうとする。俺もベッドから立ち上がり、同じ道を歩く。
その時、シリウスは俺を激しく睨みつけた。
「おい、言いたい事があるならハッキリ言えよ」
「私達は、貴方とは違うんです」
「はぁ!?ふざけんな!!」
見下すような態度に無性に腹が立った俺は、シリウスに掴みかかろうとする。
「これはアロマの慈悲です。貴方を先に眠らせる事で、貴方が後で袋叩きにされるのを回避させたのですよ。全く…人間は…」
つまり俺は慈悲をかけられた上に、負けたってことなのか…?
シンヤの心は、屈辱と混乱が渦巻いていた。
「俺が負けた?」
信じたくなかった。アロマの優しげな微笑み、そして彼女の力…一見弱々しく見えたあのふわふわした妖精が、俺をあっさり倒したのだ。それも、“慈悲”とやらをかけられた上で。
俺は戦いには慣れていた。軍隊で、地球で、幾度となく死線をくぐり抜けてきた。戦場では常に勝者であり、倒れるのはいつも相手だった。だが今、異世界で初めての実技で、俺は幻術の前に敗れ、無力さを感じた。
そして、シリウスの冷たい言葉。「人間は…」と言われるたびに、胸の奥にある劣等感が燃え上がる。
異世界の住人たちは俺たちとは異なる力を持っている。俺がどれだけ鍛え上げても、その力の前ではただの無力な”人間”に過ぎないのか?
悔しさが体中に広がる。アロマの優しさが、余計に俺を追い詰めるようだった。
俺は負けた――しかも、誰かに守られる形で。そんな屈辱に耐えられるわけがない。
「俺は…もっと強くならなきゃいけない…」
俺は胸の中で高鳴る鼓動が止まらなかった。実技のルールはシンプルだ。隣の席の者と戦い、勝者が次の相手と対峙していく。倒れるか、ギブアップするまで。
俺の隣にはアロマ――俺より背の低い華奢な妖精の少女。戦う相手としては軽いと感じた。
準備は万端だ。最新の武器に身を包み、戦闘の経験は豊富だ。勝利を確信し、軽く片付けてやる。
それぞれの生徒がフィールドで向かい合う。俺とアロマもその中にある。アロマは目を合わせずに俯き、気まずそうにしている。
ピーーーッ!
笛が鳴った瞬間、戦場に一斉に火花が散る。アロマは蝶の羽をはばたかせ、空中に舞い上がった。
だが俺も、すぐに追いつける。足元の機動装置が火を吹き、アロマの目の前に一気に迫る。
ギチッ…
俺の手が彼女の細い首にかかり、勝利を確信した。
「観念しろ」
細いアロマの首を俺のゴツい腕で締め上げるように握った。ドクドク、とアロマの動脈が俺の手に伝わる。
アロマの桃色の瞳が揺れ、胸の谷間に汗が滴り落ちる。
アロマのスカートはめくれ、下からはピンクのパンティに包まれた形の良いヒップが丸見えになる。
「うぐ…」
「お前を痛めつける気はねぇんだ。」
「…シ…ンヤ…」
アロマは驚いたように桃色の大きな瞳を見開くと、その瞬間、俺の世界は真っ白に…包まれて…
桜だ。俺は桜の木の下に立っていたー
初めてみる景色。幻想的な桜並木に包まれて、桃色の花びらが、俺の周囲をひらひらと舞う。
暖かい。感じたことの無い優しい光が俺を包み、俺は深呼吸して目を閉じた。
そう、この時は、戦いのことなんてすっかり忘れちまっていたんだ。
__________
目が覚めると、俺は保健室のベッドに横たわっていた。隣にはアロマが、ボロボロの姿で眠っている。彼女の足には包帯が巻かれ、痛々しい姿が目に飛び込んできた。
「おい…なんだここは。起きろ」
「うーん……」
気だるそうにアロマは起きる。
アロマのその寝姿はとても無防備なもので、胸元ははだけて薄い桃色のブラジャーが見えている。スカートは捲り上られ、ツヤのある太ももが露わになっていた。
「何があったんだ」
アロマは気まずそうに微笑んで答えた。
「私が試合で貴方に幻術をかけたら、貴方はずっと眠っちゃってたから心配になって…授業が終わった後に保健室で起きるのを待ってたの」
「何だって?!俺がずっと寝ていただと?!」
シンヤは時計を見る。午後6時。授業が終わり、学生寮に戻る時間だ。
「どうしてお前はそんなにボロボロなんだ?」
「最後まで試合をしたからよ」
なんだと、状況がよくわからない。混乱する俺にアロマは静かに声をかける。
「良かった…目覚めて」
「それで、結果は?結果はどうなんだ?」
アロマは気を遣って何も言わない。
「結果はどうあれ、貴方のお友達が心配していたわよ。御免なさい。こんなに眠るとは思わなくて」
「お前が…幻術使いだとはな。これが異世界の奴らの力か」
俺はこの女に敗北しただけでなく、気遣われている事がどうにも気に食わない。
「…そろそろ寮に戻るわね」
「おい、ちょっと待てよ、術の仕組みを俺に教えろ」
「ええ。もちろん。なんでも教えるわね」
ーーガラガラ
そこにペガサスの翼を持つシリウスが現れる。白髪のショートヘアに冷たい青い瞳をしている。クラスの学力テストで一位を取っていた奴だ。
「アロマ、そんな者に構っていたのですか。全く…」
シリウスは俺を軽蔑するように見て言い放つ。
「シリウス、そんな事言わないで。私の幻術が招いた結果なのよ」
と言い足を引きずって保健室を出る。シリウスはアロマを支えながら2人で寮に戻ろうとする。俺もベッドから立ち上がり、同じ道を歩く。
その時、シリウスは俺を激しく睨みつけた。
「おい、言いたい事があるならハッキリ言えよ」
「私達は、貴方とは違うんです」
「はぁ!?ふざけんな!!」
見下すような態度に無性に腹が立った俺は、シリウスに掴みかかろうとする。
「これはアロマの慈悲です。貴方を先に眠らせる事で、貴方が後で袋叩きにされるのを回避させたのですよ。全く…人間は…」
つまり俺は慈悲をかけられた上に、負けたってことなのか…?
シンヤの心は、屈辱と混乱が渦巻いていた。
「俺が負けた?」
信じたくなかった。アロマの優しげな微笑み、そして彼女の力…一見弱々しく見えたあのふわふわした妖精が、俺をあっさり倒したのだ。それも、“慈悲”とやらをかけられた上で。
俺は戦いには慣れていた。軍隊で、地球で、幾度となく死線をくぐり抜けてきた。戦場では常に勝者であり、倒れるのはいつも相手だった。だが今、異世界で初めての実技で、俺は幻術の前に敗れ、無力さを感じた。
そして、シリウスの冷たい言葉。「人間は…」と言われるたびに、胸の奥にある劣等感が燃え上がる。
異世界の住人たちは俺たちとは異なる力を持っている。俺がどれだけ鍛え上げても、その力の前ではただの無力な”人間”に過ぎないのか?
悔しさが体中に広がる。アロマの優しさが、余計に俺を追い詰めるようだった。
俺は負けた――しかも、誰かに守られる形で。そんな屈辱に耐えられるわけがない。
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