Worlds of Fate〜世紀末の戦士は異世界に挑む!〜

宇宙星

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第4話 初めての授業

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最初の授業は座学だ。共通語と数学。

「皆の者、席につくのじゃ。これから授業を始めよう。」

尖った耳の老人の教師が、髭を撫でながら教壇に立つ。

そこにエルフの王子で美しい少年レオが手を上げた。
「先生、何でこのクラスにたかが人間がいるんですか?」

その隣の席の銀髪と赤い目が特徴のヴァンパイアであるヴィクターも同調する。
「同意だ。人間ごとき脆弱な種族…我々の餌でしかない」

チッ…ここで反発するのは授業の妨げになる。
俺は実力で示すんだと、ぐっとこらえる。

そこに隣のアロマが心配そうにシンヤに声をかけた。
「私も人間だった前世があるのよ。それに人間には偉大な人が沢山居るわ。」

俺はその可憐な少女の慰めに、ついムキになってしまう。
「慰めのつもりか?俺は実力で示す。」

「…そっか」

アロマは親切心で言ったことを突っぱねられて、しゅんとした。少し唇を尖らせてシンヤから目を背けて窓の外を見る。

最初に世界共通語と数学のテストが開始された。テストが配られるとシンヤはスラスラと解きはじめる。そしてテストが終わると回収され魔法により一瞬で採点された。

そして結果がすぐに開示される。

「ふぉっふぉっふぉ。賢者シリウスが一位か。まあ予想通りの結果じゃな。むむ、人間のシンヤが3位とな…!?これは予想外じゃよ」

クラス16名中、共通語と数学の総合順位でシンヤは3位。1位はペガサス族のシリウス。2位はドラゴン族で勇者のルーク。堂々たるメンバーの中で3位に入った。

アロマはというと共通語は満点に近いが、数学が大きく足を引っ張っている様子で、もじもじと、隣で静かに赤くなっていた。

「あの人間、世界共通語と数学できんだな。やるじゃん。」

「でもまだまだ科目はあるぜ。これから見ものだな。」

などとシンヤに注目する声がヒソヒソと轟く。

少し前に座っているユージーンがシンヤに振り向きガッツポーズを送る。

シンヤは当たりめえだろと思いながらもニヤリと微笑み返した。

その後は共通語と数学の授業が行われた。シンヤから見て隣のアロマはと言うとぼんやりと窓の外を見ている。

窓から入るそよ風に、アロマの髪の毛が揺れる。

形が良くはりがよい胸の谷間がチラリと見える。

…全く。舐め腐っているな。俺はやるからには真剣だっつうのに。まあ、いいけど。

「むむ……はぁ~。」
数学の時間、アロマは解けない問題に苦戦して諦めていた。
「そこの人間の隣の妖精よ。この公式を答えてみなさい」
「ひゃ、ひゃい。わ、私ですか?」

途中アロマが教師に名前を呼ばれると、たじろぎ困った様子をしていたので、なぜだか俺は自分のノートをこっそり見せてやった。

俺はスッとノートを見せてやる。アロマの桃色の瞳が揺れた。

えーっと、これは助け舟じゃなくて。
朝、人間ってことをフォローされた借りを返したかったとかじゃなく、哀れで見てられなかったからだ。…と俺は自分に言い聞かす。

アロマが静かな声でシンヤに告げる。
「シンヤ、ありがとう。とても頼りになるのね」

ぺこり、と小さくお辞儀をする。その瞬間、スカートがひらりとめくれた。アロマの大事な部分を包むピンク色のレースのパンツが露わになる。

「さっきから窓の外ばかり見てねえで授業に集中しろや」

「あっ、えっ、ええ…」

アロマは顔を真っ赤にして片手で自身の頬を触った。

ったく。…なんか調子狂うぜ。

なんか、赤くなると同時にコイツの周りに蝶がパタパタ舞ってる…けど、アロマって奴の普通の女子っぽい反応に拍子抜けした。


◇◇◇◇◇

共通語と数学の授業が終わり、皆で食堂でランチを食べる。そこには全学年が集まり、多種多様な種族が集まっていた。

本日のメニューはスパゲティとサラダ、そしてバゲットにスープが付いている。こんな豪華な食事、俺は産まれてから一度も食べた事がない。

シンヤに好意的だった好青年、半精霊のユージーンと、兎耳をぴょこぴょこさせた半獣人のモモが話しかけてきた。

「すごいやシンヤ!!3位だって?」

「僕なんか、ほぼ最下位なのだ!」

「お前ら…俺は気合いが違うからな」

「どういう事だい?」
ユージーンは興味がありそうに俺の顔を覗き込む。

「まぁ俺は軍隊で諜報活動する様に鍛えられていたから、勉強も得意なんだ。」

「すごいのだ!シンヤ、かっこいいのだ!」
とモモが興奮気味に言う。

「別に…普通の事だ。」

異世界の中でも、穏便で和やかな2人に囲まれて過ごした初めての食事は悪くなかった。

俺が居た軍で出される食事は完全栄養食。カロリーを摂取するだけの長細い固形物だからな。それを黙々と食べ、水で胃袋に流し込むだけの日々だったから。

黙々と食事を済ませて、俺達は教室に向かった。

教室に戻ると、白いローブを纏った長い白髪の美女、ヴェルサンディが再び姿を現す。

「次は実践に向かう。クラス全員でランクマッチを行い順位をつける。まずは隣の席の者と戦い、勝った方がまた勝者と戦う。」

シンヤは来た…!!と待ちに待った実践に胸を躍らせる。軍隊やゲリラ戦仕込みの、武器の扱いや身体の使い方に慣れている。

「武器や防具の持ち込みは自由だ。必要であれば私に声をかけよ」

俺はどんな敵が相手だろうと、地球では必ず勝ってきたのだ。異世界でそれを試せる機会。さらに武器や防具の持ち込み自由。こんな好機に胸が躍らないわけがない。

シンヤは教室で実践クラスの準備を整えながら、ヴェルサンディに視線を向けた。彼女はノルン三姉妹の一人で、彼を導いた過去と運命を操る女神。

「おい、ヴェルサンディ。地球で使っていた武器をここに持ってこれるか?」

「可能だ。それらを頭に思い描くと良い」

ヴェルサンディは静かに頷き、手を広げて呪文を唱え始めた。彼女の周りに薄い光が漂い始め、次第に強さを増していく。

そして彼女の言葉に応じるように、シンヤの頭の中で地球の武器や装備の一つ一つが鮮明に蘇っていく。

「お前が思い浮かべたもの全てが、直ぐにここに届くだろう」

ヴェルサンディの声が静かに響く。シンヤは目を閉じ、軍で使い慣れた武器、サイバーウェア、そして防具の一つ一つを思い描いた。

全ての装備が頭の中に浮かび上がり、彼の記憶に鮮烈に刻まれた感覚が甦ってきた。次の瞬間、空気が揺らぎ、目の前に何かが現れた。

光の中から、シンヤの手元に一つ一つの武器が姿を現す。最初に現れたのは、愛用していたアサルトライフル。黒い光沢を放つボディ、精密なスコープ、そして自分で調整したトリガー。

次に現れたのはナイフセット。軍隊仕込みの近接戦闘用の武器で、手にしっかりと収まるようにカスタマイズされたグリップが握りやすい。

さらに、サイバーウェアが光の中から形を取り始めた。瞬時に視覚情報を拡張するゴーグル、そして強化された防御力と反応速度を誇るエクソスーツ。他にも使い慣れた剣や、手榴弾、弾丸などが全て現れた。

シンヤは一つ一つを確認しながら、胸に込み上げる興奮を抑えきれなかった。

「転送魔法…すげえな。よしこれで、準備は整った。異世界での戦闘、やってやるぜ!」
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