Worlds of Fate〜世紀末の戦士は異世界に挑む!〜

宇宙星

文字の大きさ
上 下
3 / 24

第3話 ノルン世界魔法学園

しおりを挟む
目を開けた瞬間、俺の前に広がったのは、まるで物語の中の世界のような光景だった。

美しい宮殿のような建物がそびえ立ち、その周りには色とりどりの花が咲き乱れ、青空の下で様々な種族の人々が行き交っている。

エルフのような美しい女性、毛むくじゃらの獣人、そして背中に羽を持つ妖精たちが、楽しそうに談笑していた。

その中で、俺は自分が異世界に来たことを実感した。驚きと興奮が入り混じり、心臓が高鳴る。そんな中、ふと気づくと、握りしめていた手紙が手からふわりと浮かび上がり、宙を漂い始めた。

「あぁ、なんだ……?」

その手紙は、まるで自分の意思を持っているかのように、俺の目の前でくるくると回りながら、やがて一方向に向かって進んでいく。俺はその後を追うように足を進めた。

手紙は、宮殿の中心にある大きな教室へと導いていく。教室の前には、さまざまな種族の生徒たちが集まっている。

教室の扉がゆっくりと開かれると、中から柔らかな光が漏れ出してきた。手紙はその光の中に消え、俺はドアの前で立ち尽くした。

「これが、異世界なのか…?」

勇気を振り絞り、俺は扉を押し開けた。

中には、教壇の前に立つ女神のような存在がいた。彼女は白く美しいローブをまとい、長い白髪に白い瞳をしている。その存在が周囲の空気を一層神秘的に感じさせる。

女神は俺に微笑みかけ、優しく手を差し伸べた。

「ようこそ、シンヤ・ホシミ。待っていた。お前の力が必要だ」

俺が、この世界に必要だと…?

「私はノルン三姉妹、ヴェルサンディだ。ここに来たものは皆、運命の定めにある。さぁ、クラスメイトに挨拶を済ますといい」

俺は少し混乱しながらも教壇の前に立って口を開く。

「シンヤ・ホシミと言います。…俺は、人間だ。」

アッシュブラウンの髪に、夕焼け色の鋭い瞳、そしてギザギザした歯が特徴のその少年は皆の前で簡潔に自己紹介を済ませた。

それぞれ自己紹介が行われると俺は人間ということで皆に珍しがられた。一方は好意的でもう一方は懐疑的、見下すものもいた。

シンヤは気怠そうに席に一番後ろの席に着席した。

その隣には妖精の国から来たという、薄紫色の長い髪と桃色の瞳が特徴的なアロマという少女が座った。彼女の耳は小さくて少し尖っている。

まるで人形のように可愛らしい顔立ちに儚げな目をしている。そして彼女の周りには紫色の幻想的な蝶が飛んでいた。

あの桃色の瞳、夢に出てきた少女とそっくりだ。
そんな事をぼんやりと考えていると、クラスの男子生徒がちょっかいを出し始める。

「なぁ、あの女子、スカート短くないか?もう少しでパンツ見えそうだぜ。風の精霊よ、スカートを捲り上げろ」

「ピンクだー!!レースのピンク色!」

「ひゃあ」
クラスの男子が騒ぎ立てる。
アロマは背中についた蝶の羽をぱたぱたさせながら、恥ずかしそうにスカートを押さえているのだった。

それを俺は呆れた目で見ながらため息をついた。

午前中にはクラスの交流会が開かれた。

シンヤにまず話しかけてきたのはユージーンという少年だ。黄緑色の髪に白のメッシュが入っていて、とても澄んだ目をしている。

彼は人間のシンヤに好意的だった。ユージーンは話す。
「僕も半分人間なんだ。宜しくな」

「おう。宜しく」

そうしていると黒い見た目と凶悪そうな目つきをしたエイリアンと、ウサギの耳がついた桃色の髪と瞬くような星が入っている瞳の半獣人の男子も近寄ってきた。

「あ、僕はモモなのだ。ここに人間って珍しいのだ」

「ん、そうなのか?」

「そうなのだ!シンヤ、よく来たのだ!」

どうやらウサ耳の男子はモモというらしい。そしてその隣に居る、ザ・エイリアンの青年が話しかけてきた。
「モモ、モフモフで、可愛いんです。お友達になりたいです。あ、シンヤさんも宜しくお願いします」

モモはやめろ~とウサ耳をぴょこぴょこさせながら
、シンヤの後ろに隠れる。俺は恐れることなく話しかける。

「お前、エイリアンかよ。強そうだな」

「我は強い、だが弱き者守るため。特に可愛いものが好き。」エイリアンが少し赤くなる。

「このエイリアンは悪い人じゃなさそうだよ。とっても優しいオーラが見える。僕は人間と精霊のハーフなんだ。宜しく」とユージーンが続ける。

「我は_#&_#という。宜しく頼む」エイリアンが自分の名を語るが、聞き取れない。

「ん?なんて言った?名前が聞き取れねえぞ」

「すまない。共通語で名前を教えてくれないか」

俺とユージーンが問いかける。

「分かった。我が親から与えられた名は、《太陽が沈む時、生きとし生けるものを切り裂く。》と言う名だ」

「長え!!」

「やっぱり凶悪じゃないか…!」
モモがぴょこんと跳ね上がる。

「それだと皆が呼びづらいからさ…例えば、ジャックってどう?」とユージーンが助け舟を出す。

「我はジャック、気に入った。ユージーンありがとう。お前いい奴」

「よろしくな!ジャック」俺は軽く挨拶をする。

「いーなー。シンヤの隣がアロマで。僕の隣はジャックなのだ」トホホといった感じでモモが喋る。

「隣が誰でも関係ねえだろ」

「そうだね。でもこうして話してみると意外な一面が見れて面白いんじゃないかな」とユージーンがフォローする。

俺には関係ねぇが…周りにはどんな奴が居るんだ?

男子達は騒ぐ。
「あれは月の女神ルナ様だ…ピッタリとしたタイトな黒いドレスに引き締まったウエスト、豊満なおっぱい!」

「おお…なんと、愛の女神ヴィーナスもいるぞ!こちらのボディはまさに、ボン!キュ!ボン!の体現だな!!」

「女神がいる一方で貧弱な人間がこのクラスに居るとは」

「人間なんて我々の餌にすぎん」


なんだこいつら浮かれやがって…
それに俺を見下した奴等、全員見返してやる。シンヤは静かに闘志を燃やしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

☆なんちゃってクエスト★

Natsu
ファンタジー
☆RPGファンタジーストーリー★です

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

処理中です...