狼王と契約した毒姫

ななないと

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狂乱の前触れ

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「魔女ウィスタリアを火刑に処す。」
裁判官の冷酷な決断、冷たい傍聴人の目
なんで どうして 私 何もしてない。

反論しようとしても誰も聞いてくれない。
いや、それ以前に声が出ない。

━━━━━━━━━━━━━━━
〈14世紀 アイルランド〉
私だけ生き残ってしまった。
母は病死、父は事故死、妹も母と同じ病気で死んだ。
遺体は全て家の近くの草原に埋葬した。
周りから「可哀想に」「大変だったね」「気をしっかり」
その他諸々の慰めの言葉をかけられた。
でもそれと同時に

「あの女 魔女ではないか」と囁かれた。
私は声のする方を昔振り返ったが、
結局、声の主は分からなかった。

家族が死んで何月か過ぎた。
朝起きて、ご飯を作って食べて、
畑作業をして少し休んでは作業に戻る。夕暮れ頃にはご飯を作って寝床に入る。
3人が死ぬ前と変わらない日々に戻った。

変わったと言ったら、家の庭。
見たことの無い花があった。
日の当たらない所に咲いてる釣鐘のような形をした赤紫の花だ。

お世辞にも綺麗な花ではなかった。
触ったら手がかぶれたから慌てて手を洗った。
それ以来、怖くて触れない。


暫くすると花弁が落ちて黒い実がなっていた。
食べられるのかなと考えていたら、
傍らに鼠の死骸があった。
近くに(多分、鼠の歯の痕が着いた)黒い実が落ちてた。
これ 毒があるんだ。
危ない。


全て嫌になったら、これを食べよう。

ある日、誰かが尋ねてきた。
ドア越しで応答する。
「どなたですか」
「庭にある赤紫の花を譲って欲しい。」
女性の声だった。

「あの花は触ったら、手がとても痛くなりますよ。本当にいいんですか?」
「⋯それでもいい。」

巷では有名な花だろうか?

私は庭に出て花を布に包む。
ドアを少し開けて声の主に渡そうとした途端、

花を奪い取ったという形で声の主は足早に去っていった。
「酷いことするなぁ。」
足元にはキラキラと光ったコインが4枚あった。
こんなに綺麗なコインは初めて見た。

「あの花、私が知らないだけで有名なのかな。」

この花が原因で、私の人生が狂うとは思いもしなかった。

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