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Quirky! 9
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目を閉じて、左頬に触れている小さな頭に頬擦りすると、あの何とも言えない甘い匂いがする。
あぁ、蓮珠、なんていい匂いなんだ。
一度でいいからこうやって直接嗅いでみたかった。
向かい合って膝立ちのまま、胸に抱き締めた蓮珠の小さな身体の柔らかさを感じながら、鼻先で髪を避けて首筋に顔を埋め、匂いを思い切り吸い込む。
スゥーッ…… ハァ~……。
う~む。これぞ俺の求めていた香り。
もう、ずっと嗅いでいたい。
「……(スゥーッ)…… (ハァ~)……」
「…………。」
「……(スゥーッ)…… (ハァ~)……」
「…………。」
あれ。こんなにハスハスしていても、蓮珠、何も言わないな。
やめろとか気持ち悪いとか変態って言われるかと覚悟していたのに。
それとも俺が何か言うべきなんだろうか……?
少し身体を離して、覗き込む。
至近距離で見る蓮珠の顔。
困ったように眉が下がって、いつもは白い頬が少し上気している。
ちょっと垂れ気味の真っ黒で大きな瞳と、ちんまりした鼻。
その下の、血色の良い唇に目が行く。
「…… キス、したい」
ポーッと俺を見上げていた蓮珠、言葉からではなく俺の視線から意図に気付いたみたいで、一瞬間を置いてブワーッて真っ赤になる。
「してもいいか?」
恥ずかしそうにコクッと頭を下げ、下を向く。
え。
これ、“OK”と捉えていいんだよな?
こんなことを他人に聞くのは初めてだし、したいと思ったこと自体初めてだ。
ましてやするのなんか初めてだから、どうしていいか分からない。
とりあえず肩を掴んで……、うーんもうちょっと顔上げてくれないかな…… あ、真っ直ぐじゃ鼻が当たるな、だから……こう、斜交いに重ねるのか……?
おっかなびっくり下から顔を近付けていくと、蓮珠がぎゅっと目を閉じる。
緊張を湛えて、きつく結ばれた唇。
何か塗っている訳ではなさそうなんだが、何とも形容し難い、艶と透明感のある綺麗な赤い色をしている。
魅惑的な形に、自然と吸い寄せられる……。
チョン、と軽く触れて離して見ると、蓮珠はまだ身を硬くして、きつく目を閉じている。
じゃ、じゃあ、もう1回……。
背中に手を回して抱き抱えながら押し当てるようにしてみたら、少し顔が上向き加減になり、意識的に緊張を解いてくれた気配…… ちゃんと受けてくれる気になったようだ。
蓮珠の唇、俺のより、ずっと柔らかい。
小さな唇を覆うように俺の唇で挟んでみると、柔らかさが際立って感じられる。
なんだこれ…… 例えようの無い程の柔らか食感だぞ。
蓮珠は、どう感じているんだろう。
まだ目を閉じている蓮珠の瞼が震えている。
少し口を開いて、閉じている唇を吸ってみる。
舌先や唇の裏側の粘膜が蓮珠の唇に触れ、俺の唾液で濡れていく。
チュプっと吸って少し開いたところをもう一度吸ってみる。
蓮珠の甘い唇の粘膜と舌先の蕩けるような感触に心を奪われ、どんどん夢中になっていく。
あぁ、気持ちいい。
キスって、こんな気持ちいいものなんだな……。
色々試している内に、俺の息がハスミの顔に掛かってしまっているのを意識する。
キモいな、俺。こんなハァハァして。
嫌じゃないかな、蓮珠。
思って、少し顔を離すと、蓮珠がゆっくりと目を開く。
何か言いた気に、僅かに開いた赤い唇。
蓮珠の吐息が俺の口元に掛かるのを感じる。
蓮珠もやっぱり、はぁはぁしている。
…… 嫌ではなさそうだ。
互いの興奮を感じながら、見つめ合う。
と、蓮珠が膝立ちになり、伸び上がって顔を寄せてきた。
えっ、おまえからもしてくれるの⁈
あ、目、閉じた方がいいのか……、
思う間もなく唇が触れると同時に、ちょっとバランスを崩した蓮珠が俺に寄りかかる。
左胸にそっと添えるように置かれた小さな右手。
もっとしっかり触れて感じて欲しくて、左手で上から掴む。
俺、今ものすごくドキドキしてるの、分かるか……?
俺の手の中に、手首ごとすっぽり収まるくらい小さい、蓮珠の手。
細くて短い指。
すべすべして柔らかい手の甲。
唇と共にその感触を味わいながら、蓮珠の指を指の間に受け入れ、手のひらを合わせてガッチリと握る。
手に意識が行くと唇が離れそうになり、離れたくない俺は、少し屈んで右手をハスミの背中に回し、上向きになっている小さな頭を後ろから抱えて、唇を合わせ直す。
胸に抱いた柔らかな温もり。
甘く蕩ける舌触り。
もっと、もっとと貪る内に次第に前のめりになり、蓮珠がバランスを崩していくのを右腕で支えながら一緒に横向きに倒れる。
握り合ったままの左手が床に着いて…… あ、なんかこれ、俺が押し倒して押さえ付けたみたいになっちゃってるけど……?
蓮珠は俺の下で、目を見開いて俺を見上げたまま、微動だにしない。
いや、微動している。
震えているんだ……。
怖いのか?
なら、やめようか?
でもこの機を逃したら…… いや、逃さない。逃すもんか。
だって、ずっと密かに狙って待っていたんだ、この時を。
そんな気負いが、押し倒された側からしたら、鬼気迫る感じに映っているかも知れない。
怖がらないでくれ、おまえが嫌なことは、無理にはしないから。
目で訴える俺に、怯えたように揺れている蓮珠の瞳が“どうするの?”と問い掛けてくる。
さて、どうしようか。
全くのノープランで始めちゃったから…… いや、計画とか立てたところで意味を成さないだろ、こういうのは。
“大本番に弱い”というピッチャーとしての評価は、恐らくこういうとこから付いたんだな。
考え過ぎて凝り固まって、土壇場で怖気付いてしまうのが一番良くない。
ここはひとつ直感を信じて、本能に身を委ねてみようか。
俺の眼下で浅く上下している2つの膨らみに目を落とし、ドキドキしながら目で問う。
ここ、触ってもいいか?
蓮珠が俺の目線を辿り、自分の胸に目を落とす。
少し身体を起こして、そっと右手の手のひらで包み込むようになだらかな膨らみを掴む。
…… 柔らかい。
なんなんだこの柔らかさ。
小さいには小さいんだろうが、初めて触るおっぱいに比較対象など無いので、ただただその未知のぽよぽよ感に圧倒される。
蓮珠は呼吸を止めて自分の胸を揉んでいる俺の無骨な右手をじっと見つめている。
ブルブル震えながらも、嫌がっている様子は無い。
むしろ期待して動向を見守っている様子に、左手の中に握った右手を持ち上げて手の甲にキスをする。
安心してくれていいからな。
痛いことは絶対にしないから。
右手のひらと5本の指先で感触を確かめるようにまさぐっていると、インナーの裾が捲れて、スカートのウエストの上に小さな臍がチラリと見えていることに気付く。
真っ白なお腹。
ここは何で出来ているんだろう。
直接触れてみたい……。
俺が腰の辺りに手のひらでそっと触れると、蓮珠がビクッと身体を震わせ、俺もビクッとする。
あ、やっぱり断りもなく触っちゃマズかったか?
や、大丈夫、驚いてはいるが嫌そうではない…… 多分。
蓮珠の表情を伺いながら、柔らかくて滑らかで温かいお腹の感触を味わいながら撫で上げ、インナーの中に手を這わせつつ裾から捲り上げていくと、ネイビーのツヤツヤした布地に包まれた2つの丘陵が現れる。
魅惑的な膨らみに目が釘付けになり、手を掛けようとしたそのとき、指先を蓮珠の小さな手に捕まえられてしまった。
ハッ⁈
スススンマセン、つい出来心で…… 自分調子乗りましたッ!ほんっとスンマセンッ‼︎
と思ったら。
「…… ベッド行こ?」
「…………、」
そ、そうだよな、床じゃ背中痛いよな。
…… 俺、自分で思ってる以上に余裕無いかも。
逃げるようにベッドに上がる蓮珠のスカートのお尻を追って俺も膝で上がると、シングルベッドがミシッと音を立てる。
蓮珠が何キロあるのか知らないけど、これ俺も乗ったら絶対耐荷重オーバーだろ、なんて思いながらそろそろと布団の足元に正座する。
…… 途中で壊れなきゃいいが。
蓮珠、枕元にペタンと座り込んで背中を向けたまま、動かない。
『ベッド行こ?』って誘うってことは、それはつまりそういうことでいいんだよな?…… な?
背中に問いかけるも、全く動く気配がない。
急速に自信が萎えてきて、目の前の小さな背中に、もう一度問う。
「なぁ」
俺の声に、ビクッと肩を竦めている蓮珠。
「…… ほんとにいいのか?」
「いいって言ってるでしょ!」
「いや、だってさ、」
なんかおまえ、怒ってない……?
俺が声を掛けた途端、自棄気味にブラウスを肩から脱いで袖を引き抜きにかかっている蓮珠。
インナーを裾から捲って大胆に脱ぎ捨て、頭を振って髪の乱れを整えている背中の肌色から目を逸らす…… 勝手に見てしまってはいけない気がして。
「前にも言ったけど。
…… 俺、おまえには絶対に嫌われたくないんだよ」
嫌なら止めるよ。
まだ全然余裕で止められるから、…… 今なら。
つーか止めといた方がいいんじゃないかな。
この期に及んで俺、怖気付いている。
蓮珠、初めてかな。
身体小さいし、きっとアソコも小さいよな。
傷付けてしまったら…… 血とか出たらどうしよう。
尻の穴とは違うんだろうけど、自分の身に置き換えて想像したら、怖くなる。
…… 絶対痛いし、下手したら裂けるだろ、こんなモノ挿れられたら。
「別に誰に嫌われてもいいけど。
おまえにだけは、嫌われたくない。
だから、おまえが嫌がることはしたくないんだ」
「…… 嫌じゃないよ」
ほんとかよ……。
なら、なんでこっち向いてくれないんだ。
俺、ただでさえ自信無いのに。
膝に手をついて布団に目を落とす。
と、ちょっとだけ振り向いて、蓮珠が言う。
「…… 外して?」
外す?
って、その…… ホックのことか。
細っこい背中の真ん中。
言われるままにネイビーの下着に手を掛けようとして、止める。
…… やっぱり何か釈然としない。
こういうことはちゃんと合意の下に行われるべきであるからして、少しでも迷いがあるなら止めておいた方がいい。
俺はヤりたい。けど…… ほんとのとこ、どうなんだよおまえとしては。
「蓮珠、…… 」
俺の自信の無さに豪を煮やしたのか、蓮珠が自分で背中に両手を回す。
慌てて止めようと伸ばした手を泳がせながら声を掛ける。
「い、いいってほんと、無理しなくて」
「無理じゃないってば!」
「じゃあこっち向けよ」
「嫌だよ!」
なんだそれ。
何に対して怒っているのか、全く分からない。
…… 困った。
こんな時こそ解説してくれよ、おまえの気持ちの詳細を。
見たいけど勝手に見るのは卑怯な気がして、視線をあちこちに漂わせる。
俺は多分気持ち良くなれると思うけど、おまえを気持ち良くしてやれるかどうか自信無いよ…… 気持ち良くなっちゃったら途中で止められる自信も無いし、強引にしてみたい気持ちが無い訳じゃないのがまずヤバいと思うし無理矢理そんなことして嫌われたくはないし……。
「~~~恥ずかしいんだよ!」
え。
そんな理由……?
俺はすごく見たいんだけどな、蓮珠の身体。
チラッと目を上げて蓮珠の方を窺うと、ブラジャーを外した裸の背中と、それを前で押さえている柔らかそうな二の腕が目に入る。
見ちゃいけないとは思いつつも女性らしい曲線を描いている背中から腰にかけてのくびれと艶めかしいポーズに思わず見惚れていると、蓮珠もチラッと俺の方を振り向いた…… かと思ったら、バッ!とまた向こうを向いてしまう。
「目の遣り場に困るの!~~~あっち向いてて!」
え、何?…… 俺?
自分の身体を見下ろしてみて、理解に苦しむ。
女って、男の裸見て、ドキドキしたり恥ずかしくなったりするものなのか?
別におっぱいがある訳じゃなし、性的に興奮するような要素は何も無いと思うんだが…… 下だって、実はさっきちょっと勃ちかけたけど萎えちゃったし。
納得出来ないながらも言われた通り背を向けてベッドの足元に腰掛けると、背後でゴソゴソと蓮珠が布団に潜り込んでいる気配。
視界の端、ベッドの足元に制服のスカートと下に穿いていたジャージが畳んで置かれているのが見えてドキッとしながらも、悩む。
俺も今、下を脱ぐべきなのか。
でも最初から全部脱ぐのはなんかいかにもヤる気満々な感じで嫌だよなまあでも既にムードもへったくれも無くなってるけどな誘うの下手過ぎな俺童貞丸出しって感じで格好悪でもほんとにほんと正真正銘初めてなんで勘弁して元々そんな気無かったから心の準備がってゴム持ち歩いてたくせに何言ってんだ計画的犯行だろあれ俺今日パンツどんなだっけ朝シャワーしたし腋にはデオドラントスプレーもしたけど変な汗かいたし臭くなってないかなぁ…… とか高速で色々思いながらも、立ち上がってベルトに手を掛ける。
脱ぎ捨ててあった制服を拾い集めてスラックスと一緒に床に置き、ふぅ、と深呼吸して、まだゴソゴソ動いている布団の膨らみに向かってパキッと一礼。
「失礼しまっス」
ピタリと動きを止めた膨らみの横、狭いベッドの端っこに足から入り、あっち向いてて=こっち見んなと言われたことを念頭に、背中を向けて横になりながら、ふと思う。
あ、『どうぞ』と言われるまでは布団に入っちゃいけないんだったか?
「…… 面接かっ」
背後の布団の中からボソッと一言。
笑えないな。
面接なんかより断然緊張してるっつーの。
それでもツッコミを受けたことでなんとなくOKを貰えた気になり、覚悟を決めて振り返ろうとすると、思わぬ制止命令が。
「っダメっ!」
声で、俺にはダメと言っておきながら蓮珠がこっちを向いたのが分かる。
ゴソゴソ向きを変えながらも警戒しているのか、低いトーンで念を押してくる。
「…… こっち見ちゃダメだからね」
なんだよそれ。
圧迫面接の一種かな。
志望理由は先に述べた通りなんスけど…… あれじゃ足りなかった?
あとは自己アピールか…… 自慢出来るようなスキルとかテクニックなんか無いぞ、未経験者の俺には……。
沈黙が続く。
蓮珠の匂いのする布団に入って一緒に横になっているというだけでもドキドキなのに、俺はパンツ一丁だし、多分蓮珠も…… なんて考えたら、脳味噌が沸騰しそうだ。
いつまでこうしていればいいんだ。
そろそろ俺、行動を起こした方が良くないか?
そうだ、いつかこいつも言ってたよな、『もっとグイグイいってみちゃってもいいんじゃない?』って。
…… いくか?
いってみちゃう?
おし、3つ数えたらいこう……、3、2、……
カウントダウンを始めたところへ、背中の右側にぴとっとひんやりした感触。
次いで、真ん中にコツンと当たる、何か。
ほんのり温かい空気。
蓮珠が背中にくっついてきていることに気付いて、サーッと血の気が引くような沸くような…… こっ、これ、逆にグイグイ来られてる——⁉︎
しかし、背後を取られていては下手に身動きが取れない。
つーか…… これはこれで心拍数と局部への血流量増加に著しく影響を及ぼす案件だ。
更に蓮珠が身体を寄せてきていると見えて、背中の下の方に何やらもちもちふわふわした未知の感触と、尻にも腿の裏側にも過去に覚えの無いもちもちすべすべした感触が……。
我ながら現金だとは思うが、一瞬で萎えていた自信が回復して、ビキンと勃ち上がる。
蓮珠が俺に触れている。
身体を密着させて、はあはあして…… これって、誘っているという以外に何か意味はあるのか?
もしかしなくてもおまえも俺と同じく…… したいって思ってくれているって…… そういうことだよな⁈
バッと振り向くと、ビクッと身を引く蓮珠。
ぶつからないよう上げた俺の左の腕の下に真ん丸に見開いた目が見えた、と思ったら、向き直る前にクルッ!と向こうを向いて布団に隠れてしまう。
人慣れしていない野性動物かよ。可愛いな。
が、もういい加減この膠着状態から脱したい。
さっきの続きを…… あの先に進みたいんだよ俺は!
布団の中で、蓮珠を背後から抱き竦めて腕の中に閉じ込める。
「むっ⁉︎…… んやぁーっ⁈」
ジタバタするな。
ほら、これでもう逃げられない。逃がさないぞ。
あっ、何コレ柔らかい。
「み、見ちゃダメって言ったのにーっ!」
いつまでもそんな待てが効くと思うか?
承諾したからには触らせてくれないと…… つーかこんなどこもかしこも柔らかくて滑らかで気持ちいいのに、触らずにいられるかよ。
蓮珠の首筋に鼻先をくっつけて、匂いを吸い込みながら唇でも滑らかさを堪能する。
胸に密着した細っこい背中、下腹に当たっているぷりんとしたお尻。
ほら、ここなんか…… あ、すげぇ…… なんっだこれ。こんな柔らかいとこ、俺の身体のどこにも無いな。
身体の下を通して前に回した左手と、上から押さえ付けている右手。
クロスした両手の中にちょうど収まった2つの膨らみを撫で揉み摩り、全身で感触を味わう。
蓮珠、全部柔らかくて気持ちいい——‼︎
「んぅ~~~っ!」
布団の中から、押し殺した悲鳴。
指先が膨らみの先端のぽちっとした突起に触れると、蓮珠の身体がビクッと反応して、密着している俺の股間にもそれが伝わる。
へぇ…… おまえのここ、すげぇ敏感なんだな。
手のひらで摩りながら指先で揉みしだき、人差し指の先で先っぽのスイッチをタップし続けていたら、もっと触って欲しそうにピンと硬く勃ち上がってくる。
そこを指先で優しくカリカリしてやると、ビクッ、ビクッと反応する蓮珠。
「…… っふっ…… ぅん…… ふぅっ……!」
吐息に混じって微かに上擦った声が漏れ聞こえる。
うわー、なんだよその可愛い声。
おまえそんな声出るんだ?
ハァッ、ヤバ…… 興奮する。
気が付けばパンツの中で完全に勃ち上がったものを無意識のうちにむちっとした太ももの間に擦り付けてしまっている。
気持ちいい。すごく。これだけでもうイけそう。
けど、俺ばっかり気持ち良くなってちゃダメだよな。
おまえのことも、ちゃんと気持ち良くしてやらないと……。
上になっている右手を撫で下ろして指先を内腿の間に忍ばせると、薄くて小さな布切れの下に、柔らかい中にも殊更にムニッと柔らかい場所がある。
俺には“ある”位置に何も“ない”って…… なんか不思議。
どうなってんだ、おまえのここ……?
真ん中の真ん中を中指で探っていく。
あ、なるほど、ワレメってこういう……、
「ふぅぅぅ~っ⁈」
くすぐったそうに俺の指先を避けて蓮珠が腰を引く。
と、後ろに密着していた俺の下腹にお尻が押し付けられて股の間に先っぽが挟まれる形になり…… あっ、それイイ……!
「…… ァ…… 蓮珠、」
「んんん~っ⁈」
「…… ゥ…… ここ、…… イイのか?」
「っふぅっ、ふぅう~っ……‼︎」
教えてくれよ、俺にはないものがおまえにはあって、俺にはあるものがおまえには無いから、どこをどうしてやれば気持ち良くなってもらえるのかイマイチ分からないんだよ。
それにしても、直接触れることを阻んでいるこの布切れ、邪魔だな。
お尻の側から手を差し込んで腿の方へ下げおろし、改めてそこに手をやると、薄い毛の下に秘められたワレメの間にぬるっとした感触。
指先が滑り、容易に侵入を許す。
「んんっ⁈ …… ふ、ふぅんっ……!」
…… 蓮珠のここ、ぬるぬるしてる。
さっきキスしたときの感触にも似ている…… そりゃそうか、粘膜だからな…… つーかここも薄い唇みたいな形…… なるほど、隠れたとこにある唇だから陰唇ってな…… ネーミング、エッロ。
これ、“濡れてる”ってことなのか。
俺のももう、先っぽから滲んだのがパンツに浸みてきている。
ここに俺のを擦り付けたら、お互い気持ちいいんだろうか?
少し腰を上げて右手でパンツを下ろし、そこに後ろからガチガチに上を向いているモノをあてがってみる。
「⁉︎」
蓮珠がビクッと反応してお尻がきゅっと締まる。
ハァッ、ヤバいなコレ…… 柔らかいお尻に挟まれて、ぬるぬる感が気持ち良くて、すぐイっちゃいそう……いや我慢だ我慢!ここで出してしまったらこいつのことだ、『早漏に候』かなんか言われて何かにつけて思い出し笑いされてしまうぞ、きっと。
擦り付けているとどんどん気持ち良くなってきて、気持ちいいことしか考えられなくなり、更なる快感を求めたくなる。
グッと押し当てると、チュポッと先っぽが誘い込まれる感覚。
あ、ここ…… 入りたい……。
「っ⁉︎…… まっ、待って待って!」
蓮珠が慌てて身体を捩り、背後から抱き抱えるようにしていた俺の腕から逃れようとする。
怯えたように見上げる黒い瞳をぼんやりと見つめながら、逆上せ上がって回らない頭で考える。
なんだよ…… 何を待つことがあるって言うんだ?
こんなに気持ちいいのに。
ほらこれ、おまえも気持ちいいんだろ……?
更に押し当てたり少し引いたりして先っぽがチュポッチュポッと包み込まれる感触を愉しんでいると、蓮珠が悲鳴に近い声を上げる。
「んんん待ってってば!赤ちゃん出来ちゃうっ!…… 妊娠しちゃうよぉっ……⁉︎」
…… ハッ⁈
そ、そうだったそうだった!
危く生でしちゃうところだった!
…… 着けなきゃ。
ガバッと跳ね起き、ベッド脇の床に置いてあったリュックに飛び付く。
ガサゴソと中を探り、紙袋の中の箱からパッケージを取り出してフタを開け、濡れてる先っぽに当てがってくるくる巻かれている部分を伸ばしていく。
…… 手が震える。
俺、ガチガチだな。ココもガチガチだけど。
良かった。“簡単装着スムースフィット”ってヤツを買っといて。
普通のやつでも良かったんだが、サッと着けられる自信が無いから、下調べして“暗がりでも向きを確かめる必要無し”“初心者でも安心”ってレビューの付いている立体パッケージ入りのにしておいた…… 世の中まだ真っ昼間で恥ずかしいくらいに視界良好だが役には立ったな。
後ろを向いてゴムを着ける間、蓮珠は俺のすることを見ていたらしく、準備を終えて振り返ると同時にバッ!と布団に隠れる。
四つん這いで近付いて行くと、頭まで布団を被っていた蓮珠が、チラッと目だけ覗かせる。
「用意、してたんだ?」
「うん」
その心積もりがあったことが露見してしまうと、開き直りが生まれる。
「買いに行った。…… いつか、おまえとしたいって思ってたから」
それが今日になるとは夢にも思わなかったけどな。
「持ち歩いてたの?
…… 合格発表見に行くのにも?」
「うん」
真顔で答える俺を見て、蓮珠がプッと吹き出す。
「アハハ、…… アハハハハハ………!」
そんな笑うか。
いや、俺だっておかしいとは思うぞ?
だけどもだ、もしもの時には男の礼儀として着けなきゃって思うからいつ何時でも…… ってあぁなんだ、これじゃ本当にムードも何も無いな。
仕切り直しか。
先に用意しておけば良かったのに…… すぐ着けられるゴム買った意味、無かったなー。
全っ然クールじゃないな、俺。
再び布団の横に潜り込むと、蓮珠が笑うのをピタリと止める。
俺が身体を寄せていくのに合わせて布団の中で移動して、また背中を向ける。
逃げんなよコラ…… 今度はこっちからグイグイいくぞコラァ!
窓際の壁ギリギリまで追い詰めたところで背中から覆い被さるようにして身体を密着させながら、こちらから見えている小さな耳に口付ける。
カワイイぞコラァ……!
「っ⁉︎」
首を竦めて恥ずかし気に顔を背けるのを見たら、イジワルしたくなってしまう。
オラオラ、ここ弱いんだろ……?
下から掬い上げるようにおっぱいに手を掛けてまさぐりながら、人差し指で先っぽをツンツン。
耳たぶをパクッと食んで舐めたり、こめかみに唇を押し当てたり、頬に鼻先を擦り寄せたりしながら、ゴムを着けた下半身を太腿に擦り付けて存在を意識させ、敏感に反応している蓮珠の表情を観察する。
ピンと勃ち上がってきた乳首をきゅっと摘むと、んんっ!と顔を歪めて身体を捩らずにいられないくらい感じている。
その隙に乗じて左腕を腰の下から差し入れ、両腕クロスでガッチリホールド&両乳首同時責めだ。
クリクリ。クリクリ。
どうだ、参ったかコノヤロウ。
「んんんーっ⁈
…… んんっ、…… んぁっ!…… んふぅうっ…… はぁんっ……!」
気持ちいいところを集中的に責められて、引き攣った呼吸に混じって声が漏れ始める。
見られたくないのか背けている頬に後ろから鼻先を寄せると、
「うぅ…… 見るなぁっ……!」
見てない見てない。触ってるだけ。
あぁ、おまえのその顔、メチャクソエロくて可愛いな。
唇を奪い、舌を差し込んで、めちゃくちゃに覚えたてのキスをする。
言葉は無くとも意思確認がしっかり出来た上に一時休戦して時間を置いたからか、大分気持ちに余裕が出ている。
さっきはすごくいい感じだった…… 蓮珠も感じてくれている風だったし。
この分なら、痛がらせることなくスルッといけるんじゃないか?
手応えとコツを掴んだからには、今度こそ最後までしてみたい。
「下、触っていいか?」
「…… んぁっ⁈ そっ、そんなことっ、…… 聞くなぁっ!」
あ、そう。じゃあ、もう聞かない。
俺のしたいようにするからな。
何しても文句言うなよ?
もう少しお尻を突き出してもらえれば…… さっきみたいに…… あ、そうそう、ここ前から弄ったら腰引けてたっけ。
右手の中指を前からワレメに差し込むと蓮珠がビクッとして腰を引き、後ろからガチガチになった俺のが押し当てられていることに気付いてきゅっとお尻を締める。
前から指先で敏感なところを優しく撫でてやっていると、逃れたいのか身体を捩り、内腿がキュンと締まって俺の先っぽが締め付けられ…… 相互作用と相乗効果で興奮と快感がどんどん高まっていく。
「ハァッ、…… ハァッ、…… ハァッ、…… ハァッ、……」
「ぁっ⁈…… んぁっ、はぁっ…… あぁんっ⁈…… ぅうんっ……!」
蓮珠のここ、さっきより更にぬるぬるが増していて、もう溢れそう。
入り口に押し当ててる俺の先っぽも、少し腰を突き出したら自然に挿入ってしまいそうな雰囲気だ。
それより何より、さっきから右手の中指の先にコリコリ触れているのは、もしかして…… chestnut & squirrel ⁉︎ なんて頭悪そうな英訳でもしてないと挿れる前なのに俺、ァハッ…… イっちゃいそう…… いいいや、まだ我慢だ我慢。
何かで読んだけど女のココって快感を得る為だけに存在する器官で男性器の2倍以上の神経があるんだってな…… ということは蓮珠は俺の倍以上気持ち良くなれるってこと?俺だってこんなに気持ちいいのに。
蓮珠は今、俺の想像を絶する快感に晒されている…… そう考えたら、もう声を抑えることも忘れて喘ぎながらぎゅっと目を閉じて髪を振り乱しているのも無理からぬことであるし、俺のチンコと中指によってその快感を与えられているとなれば、男冥利、俺冥利に尽きるというものだ。
乳首を責めてる俺の左手とクリを責めてる右手を力なく上から押さえて、時折ビクッと反応しながら間断なく与えられる強烈な快感にひたすら耐え続けている蓮珠の姿を見ていたら、いよいよ棒が激ってくる。
「…… 挿入れていい?」
ハァハァしながら耳元で囁くと、ハッと目を開いて少し振り返る蓮珠。
熱に浮かされて蕩けた表情。
…… 堪らなくエロい。
「…… う」
ん、を聞き終える前に上から唇を塞ぎ、離れてしまった下半身をもう一度当て直して腰を前に突き出す…… と、一瞬間を置いて、蓮珠の手がギブ!ギブ!というように俺の右前腕をパンパン叩く。
仕方なく唇を離してやると、
「……っそこじゃないっ!」
「え」
俺、お尻の穴を一生懸命つついてたみたいだ。
バッ!と布団を跳ね除け、下を見て蓮珠の脚を開こうとすると、
「やっ、嫌だ見るなぁっ‼︎」
「見ないとどこか分からない」
言いながらも乳首を弄る左手は止めず、右手をクリの上に再配置して下から先っぽをグイグイ押し付けていると、チュポッと上手い具合に嵌まる感覚、蓮珠がハッと息を呑む気配。
ここだ。
ググッ、と押し挿る。
「~~~~~っ⁉︎」
おいコラ、逃げるな!
まだ頭しか[[rb:挿入 > はい]]ってないっつーの!
浅くて抜けそうになり、慌てて乳首とクリを弄っていた両手で押さえ付けて、逃れようと暴れる蓮珠の身体を抱き竦める。
「~~~~~っ‼︎ ~~~~~っ‼︎ ~~~~~っ‼︎」
ビクンビクンと小さな身体が跳ねる。
お、おい、どうなったんだ、おまえ⁈
釣り上げたばかりの活きの良い魚みたいだな…… ってコラッ、暴れるなって!挿入ったとこそんな動かれたら…… ァハァッ♡…… うわっ中、ぎゅうぅ~って締まっ……てヤバッ……ウッ、、、
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、…………
部屋の中に、激しい呼吸音が響く。
蓮珠、…… おまえ大丈夫か、なんかぐったりしてるけど。
顔の前で組まれた真っ白な細い腕。
僅かに開いて震えるような呼吸をしている唇だけが見えている。
小さな頭をそっと抱えて枕を当て直してやり、髪を撫でる。
「…… 蓮珠?」
「…………。」
「……ごめんな」
「…… っなんでっ…… 謝るのっ……」
俺、もう射精しちゃった……。
けど、蓮珠は多分気付いてないし、全然萎えない。
から、このまま2回戦目、いかせてもらう。
ほんとはダメだよな、漏れちゃうから。
いけないよな、初めてなのに無理させちゃ。
分かってる、分かってはいるけど、まだ離れたくないんだ。
離したくない、繋がっていたい、オンブバッタみたいに——。
「なんかほんと…… ごめん。無理させて 」
「無理なんかしてないってばぁっ!」
だっておまえ、そんな泣きそうな顔するから。
申し訳なく思いながらも繋がったままで身体を起こし、蓮珠の脚を持ち上げて膝を割り、正面から向き合う。
顔の前にバッテンに組まれた腕を解いて、布団の上で両手を握ると、俺の下で見上げている、蓮珠の真っ黒な瞳が潤んでいる。
目の縁が赤くなっていて、やっぱり泣かせちゃったな、って思う。
そぉっと顔を寄せて出来るだけ優しく口付け、額をくっつける。
「ごめんな」
俺、こんなに好きになっちゃって。
おまえのこと、もう離したくない。離してやれないよ。
「…… な、なんで謝るのぉ……」
上手く言えなくてごめん。
空気読めなくてごめん。
しつこくてごめん。
しょーもないスケベでごめんな。
「ほんとごめん…… ごめんな、蓮珠……」
蓮珠の顔の横で、俺の手の中に手首ごと握った両手。
小さくて、柔らかくて、頼りなくて、護ってやりたいと思う。
でもそれとは裏腹に、熱く激った俺の中のオスの本能が嗜虐に目覚める。
この体勢、俺が無理矢理押さえ付けて虐めてるみたいで…… なんか分からないけどものすごく興奮する。
犯したい。
この身体を、奥の奥まで犯して…… 俺だけのものにしたい…… 虜にしたいっ ‼︎
「っごめん蓮珠、…… ハァッ…… ごめん、…… ごめんな…… 」
謝りながらも深く突き挿れていく—— 愛のままに、わがままに。
「だからっ!なんで謝るのぉっ…… あぁっ⁈ …… ん…… はぁっ、はぁっ、…… ぁはぁっ、…… うぅんっ…… !」
最奥まで押し挿入って腰を揺すると、蓮珠が上擦った切ない声を上げ始めて、快感も相まってますます興奮する。
「…… 痛いか?」
「いっ、…… 痛くないっ!」
ほんとは痛いんだろ、おまえ。
そんな涙振り絞って。
気持ちいいの、俺だけか…… いや、そんなことないよな?
だって、おまえのここ、こんなにピンピンに硬くなって…… 触って欲しそうにしてる。
ゆっくりと揺すりながらワレメの真ん中に鎮座している可愛いらしい突起を親指でクリクリしてやると、ビクビクッ!と反応して中がきゅんっ!と畝る。
「…… ッァ……!…… 気持ちいい…… ?」
「はぁあっ⁈ …… わかんない…… わかんないぃっ!あぁぁんっ……!」
蓮珠でも分からないことがあるんだな。
俺も、もう分からない。
興奮し過ぎて申し訳なさ過ぎて嬉し過ぎて気持ち良過ぎて我慢し過ぎて何がなんだか……。
蓮珠の中、すげぇ気持ちいい…… もうイきそうだ。
でもまだイきたくない、終わりたくない。
まだ、蓮珠の中に居たい。
深く深く、繋がっていたい……。
射精感をギリギリで回避して身を屈めて呼吸を整えているところへ、不意に身体の下の蓮珠が手を伸ばしてくる。
小さな手の平がぴとっと俺の頬に触れる。
「アキくん、……」
大きな真っ黒い瞳。
ぽろりと溢れた透明な雫。
「…… すき」
きゅうん。
可愛い。
胸が締め付けられる。
「んんんすき…… すきぃっ……んむっ……ふぅうぅぅっ!」
頭を抱えるようにして唇を合わせ、舌を絡めて口腔内を犯す。
…… 可愛い。あぁ、可愛い。可愛い……!
可愛いな、蓮珠。
唇を離したら、甘い声で鳴きながら俺の首に縋り付いてくる。
可愛いくて堪らない。
もっと深く繋がりたい。
もっと奥へ入りたい。
更に熱り立つモノで蓮珠の最奥を突きながら、すっかり顔を出したピンクの突起に根元を押し当てる。
「ふぁぁぁぁアキくぅんっ……!」
「蓮珠…… ハァ…… スミ……、蓮珠……!」
俺の動きに合わせて眼下で揺れている形の良いおっぱい。
本能的に、ピンと勃ち上がった赤い先っぽにむしゃぶり付く。
そしてもう片方にも手を掛けて、指先で先っぽをキープ。
…… どっちも俺んだ…… もう誰にも渡さんッ…… ‼︎
「ぁはぁんっ⁉︎ …… あぁっ!…… ぁはあぁっ!……うぅぅぅっっっ……‼︎‼︎」
蓮珠の身体全体がブルブル震え出して、中がきゅうんと締まる。
根元近くをぎゅうぎゅう搾られて、ゥ…… く、喰われる……⁈
あぁ、でも俺、おまえになら喰われてもいい。
頭から喰われておまえの胎の中に…… ずっと生きていられたら。
ゥア…… イきたい……、活キタイ依キタイ遺キタイ逝キタイ———イキタイ———‼︎
「あ…… あき…… く……っうぅダメぇっ‼︎ …… も…… や…… い、い …… やあぁぁ‼︎ それやだぁあぁっ‼︎やめっ、止めて…… あぁぁあぁあっっっ‼︎‼︎」
頭を喰われてはもう何も考えられない。
背徳感も罪悪感も全て吹き飛んで、本能の導くまま蓮珠の身体に快感の楔を打ち込み続ける。
思い付くだけ与えられるだけの愛撫を注いだら蓮珠の身体がそれに応えるように俺を締め付けながらビクンビクンと跳ね、激烈な快感が襲ってきたかと思うと、頂点の先にある陶酔と恍惚感へ誘う。
あ、限界。
細っこくて柔らかい身体に無我夢中で縋り付き、絶頂の中、想いの丈を込めて愛を解き放つ。
「ハァアッ、蓮珠…… ァ…… ィッ、、してる……ッ……‼︎‼︎」
あぁ、蓮珠、なんていい匂いなんだ。
一度でいいからこうやって直接嗅いでみたかった。
向かい合って膝立ちのまま、胸に抱き締めた蓮珠の小さな身体の柔らかさを感じながら、鼻先で髪を避けて首筋に顔を埋め、匂いを思い切り吸い込む。
スゥーッ…… ハァ~……。
う~む。これぞ俺の求めていた香り。
もう、ずっと嗅いでいたい。
「……(スゥーッ)…… (ハァ~)……」
「…………。」
「……(スゥーッ)…… (ハァ~)……」
「…………。」
あれ。こんなにハスハスしていても、蓮珠、何も言わないな。
やめろとか気持ち悪いとか変態って言われるかと覚悟していたのに。
それとも俺が何か言うべきなんだろうか……?
少し身体を離して、覗き込む。
至近距離で見る蓮珠の顔。
困ったように眉が下がって、いつもは白い頬が少し上気している。
ちょっと垂れ気味の真っ黒で大きな瞳と、ちんまりした鼻。
その下の、血色の良い唇に目が行く。
「…… キス、したい」
ポーッと俺を見上げていた蓮珠、言葉からではなく俺の視線から意図に気付いたみたいで、一瞬間を置いてブワーッて真っ赤になる。
「してもいいか?」
恥ずかしそうにコクッと頭を下げ、下を向く。
え。
これ、“OK”と捉えていいんだよな?
こんなことを他人に聞くのは初めてだし、したいと思ったこと自体初めてだ。
ましてやするのなんか初めてだから、どうしていいか分からない。
とりあえず肩を掴んで……、うーんもうちょっと顔上げてくれないかな…… あ、真っ直ぐじゃ鼻が当たるな、だから……こう、斜交いに重ねるのか……?
おっかなびっくり下から顔を近付けていくと、蓮珠がぎゅっと目を閉じる。
緊張を湛えて、きつく結ばれた唇。
何か塗っている訳ではなさそうなんだが、何とも形容し難い、艶と透明感のある綺麗な赤い色をしている。
魅惑的な形に、自然と吸い寄せられる……。
チョン、と軽く触れて離して見ると、蓮珠はまだ身を硬くして、きつく目を閉じている。
じゃ、じゃあ、もう1回……。
背中に手を回して抱き抱えながら押し当てるようにしてみたら、少し顔が上向き加減になり、意識的に緊張を解いてくれた気配…… ちゃんと受けてくれる気になったようだ。
蓮珠の唇、俺のより、ずっと柔らかい。
小さな唇を覆うように俺の唇で挟んでみると、柔らかさが際立って感じられる。
なんだこれ…… 例えようの無い程の柔らか食感だぞ。
蓮珠は、どう感じているんだろう。
まだ目を閉じている蓮珠の瞼が震えている。
少し口を開いて、閉じている唇を吸ってみる。
舌先や唇の裏側の粘膜が蓮珠の唇に触れ、俺の唾液で濡れていく。
チュプっと吸って少し開いたところをもう一度吸ってみる。
蓮珠の甘い唇の粘膜と舌先の蕩けるような感触に心を奪われ、どんどん夢中になっていく。
あぁ、気持ちいい。
キスって、こんな気持ちいいものなんだな……。
色々試している内に、俺の息がハスミの顔に掛かってしまっているのを意識する。
キモいな、俺。こんなハァハァして。
嫌じゃないかな、蓮珠。
思って、少し顔を離すと、蓮珠がゆっくりと目を開く。
何か言いた気に、僅かに開いた赤い唇。
蓮珠の吐息が俺の口元に掛かるのを感じる。
蓮珠もやっぱり、はぁはぁしている。
…… 嫌ではなさそうだ。
互いの興奮を感じながら、見つめ合う。
と、蓮珠が膝立ちになり、伸び上がって顔を寄せてきた。
えっ、おまえからもしてくれるの⁈
あ、目、閉じた方がいいのか……、
思う間もなく唇が触れると同時に、ちょっとバランスを崩した蓮珠が俺に寄りかかる。
左胸にそっと添えるように置かれた小さな右手。
もっとしっかり触れて感じて欲しくて、左手で上から掴む。
俺、今ものすごくドキドキしてるの、分かるか……?
俺の手の中に、手首ごとすっぽり収まるくらい小さい、蓮珠の手。
細くて短い指。
すべすべして柔らかい手の甲。
唇と共にその感触を味わいながら、蓮珠の指を指の間に受け入れ、手のひらを合わせてガッチリと握る。
手に意識が行くと唇が離れそうになり、離れたくない俺は、少し屈んで右手をハスミの背中に回し、上向きになっている小さな頭を後ろから抱えて、唇を合わせ直す。
胸に抱いた柔らかな温もり。
甘く蕩ける舌触り。
もっと、もっとと貪る内に次第に前のめりになり、蓮珠がバランスを崩していくのを右腕で支えながら一緒に横向きに倒れる。
握り合ったままの左手が床に着いて…… あ、なんかこれ、俺が押し倒して押さえ付けたみたいになっちゃってるけど……?
蓮珠は俺の下で、目を見開いて俺を見上げたまま、微動だにしない。
いや、微動している。
震えているんだ……。
怖いのか?
なら、やめようか?
でもこの機を逃したら…… いや、逃さない。逃すもんか。
だって、ずっと密かに狙って待っていたんだ、この時を。
そんな気負いが、押し倒された側からしたら、鬼気迫る感じに映っているかも知れない。
怖がらないでくれ、おまえが嫌なことは、無理にはしないから。
目で訴える俺に、怯えたように揺れている蓮珠の瞳が“どうするの?”と問い掛けてくる。
さて、どうしようか。
全くのノープランで始めちゃったから…… いや、計画とか立てたところで意味を成さないだろ、こういうのは。
“大本番に弱い”というピッチャーとしての評価は、恐らくこういうとこから付いたんだな。
考え過ぎて凝り固まって、土壇場で怖気付いてしまうのが一番良くない。
ここはひとつ直感を信じて、本能に身を委ねてみようか。
俺の眼下で浅く上下している2つの膨らみに目を落とし、ドキドキしながら目で問う。
ここ、触ってもいいか?
蓮珠が俺の目線を辿り、自分の胸に目を落とす。
少し身体を起こして、そっと右手の手のひらで包み込むようになだらかな膨らみを掴む。
…… 柔らかい。
なんなんだこの柔らかさ。
小さいには小さいんだろうが、初めて触るおっぱいに比較対象など無いので、ただただその未知のぽよぽよ感に圧倒される。
蓮珠は呼吸を止めて自分の胸を揉んでいる俺の無骨な右手をじっと見つめている。
ブルブル震えながらも、嫌がっている様子は無い。
むしろ期待して動向を見守っている様子に、左手の中に握った右手を持ち上げて手の甲にキスをする。
安心してくれていいからな。
痛いことは絶対にしないから。
右手のひらと5本の指先で感触を確かめるようにまさぐっていると、インナーの裾が捲れて、スカートのウエストの上に小さな臍がチラリと見えていることに気付く。
真っ白なお腹。
ここは何で出来ているんだろう。
直接触れてみたい……。
俺が腰の辺りに手のひらでそっと触れると、蓮珠がビクッと身体を震わせ、俺もビクッとする。
あ、やっぱり断りもなく触っちゃマズかったか?
や、大丈夫、驚いてはいるが嫌そうではない…… 多分。
蓮珠の表情を伺いながら、柔らかくて滑らかで温かいお腹の感触を味わいながら撫で上げ、インナーの中に手を這わせつつ裾から捲り上げていくと、ネイビーのツヤツヤした布地に包まれた2つの丘陵が現れる。
魅惑的な膨らみに目が釘付けになり、手を掛けようとしたそのとき、指先を蓮珠の小さな手に捕まえられてしまった。
ハッ⁈
スススンマセン、つい出来心で…… 自分調子乗りましたッ!ほんっとスンマセンッ‼︎
と思ったら。
「…… ベッド行こ?」
「…………、」
そ、そうだよな、床じゃ背中痛いよな。
…… 俺、自分で思ってる以上に余裕無いかも。
逃げるようにベッドに上がる蓮珠のスカートのお尻を追って俺も膝で上がると、シングルベッドがミシッと音を立てる。
蓮珠が何キロあるのか知らないけど、これ俺も乗ったら絶対耐荷重オーバーだろ、なんて思いながらそろそろと布団の足元に正座する。
…… 途中で壊れなきゃいいが。
蓮珠、枕元にペタンと座り込んで背中を向けたまま、動かない。
『ベッド行こ?』って誘うってことは、それはつまりそういうことでいいんだよな?…… な?
背中に問いかけるも、全く動く気配がない。
急速に自信が萎えてきて、目の前の小さな背中に、もう一度問う。
「なぁ」
俺の声に、ビクッと肩を竦めている蓮珠。
「…… ほんとにいいのか?」
「いいって言ってるでしょ!」
「いや、だってさ、」
なんかおまえ、怒ってない……?
俺が声を掛けた途端、自棄気味にブラウスを肩から脱いで袖を引き抜きにかかっている蓮珠。
インナーを裾から捲って大胆に脱ぎ捨て、頭を振って髪の乱れを整えている背中の肌色から目を逸らす…… 勝手に見てしまってはいけない気がして。
「前にも言ったけど。
…… 俺、おまえには絶対に嫌われたくないんだよ」
嫌なら止めるよ。
まだ全然余裕で止められるから、…… 今なら。
つーか止めといた方がいいんじゃないかな。
この期に及んで俺、怖気付いている。
蓮珠、初めてかな。
身体小さいし、きっとアソコも小さいよな。
傷付けてしまったら…… 血とか出たらどうしよう。
尻の穴とは違うんだろうけど、自分の身に置き換えて想像したら、怖くなる。
…… 絶対痛いし、下手したら裂けるだろ、こんなモノ挿れられたら。
「別に誰に嫌われてもいいけど。
おまえにだけは、嫌われたくない。
だから、おまえが嫌がることはしたくないんだ」
「…… 嫌じゃないよ」
ほんとかよ……。
なら、なんでこっち向いてくれないんだ。
俺、ただでさえ自信無いのに。
膝に手をついて布団に目を落とす。
と、ちょっとだけ振り向いて、蓮珠が言う。
「…… 外して?」
外す?
って、その…… ホックのことか。
細っこい背中の真ん中。
言われるままにネイビーの下着に手を掛けようとして、止める。
…… やっぱり何か釈然としない。
こういうことはちゃんと合意の下に行われるべきであるからして、少しでも迷いがあるなら止めておいた方がいい。
俺はヤりたい。けど…… ほんとのとこ、どうなんだよおまえとしては。
「蓮珠、…… 」
俺の自信の無さに豪を煮やしたのか、蓮珠が自分で背中に両手を回す。
慌てて止めようと伸ばした手を泳がせながら声を掛ける。
「い、いいってほんと、無理しなくて」
「無理じゃないってば!」
「じゃあこっち向けよ」
「嫌だよ!」
なんだそれ。
何に対して怒っているのか、全く分からない。
…… 困った。
こんな時こそ解説してくれよ、おまえの気持ちの詳細を。
見たいけど勝手に見るのは卑怯な気がして、視線をあちこちに漂わせる。
俺は多分気持ち良くなれると思うけど、おまえを気持ち良くしてやれるかどうか自信無いよ…… 気持ち良くなっちゃったら途中で止められる自信も無いし、強引にしてみたい気持ちが無い訳じゃないのがまずヤバいと思うし無理矢理そんなことして嫌われたくはないし……。
「~~~恥ずかしいんだよ!」
え。
そんな理由……?
俺はすごく見たいんだけどな、蓮珠の身体。
チラッと目を上げて蓮珠の方を窺うと、ブラジャーを外した裸の背中と、それを前で押さえている柔らかそうな二の腕が目に入る。
見ちゃいけないとは思いつつも女性らしい曲線を描いている背中から腰にかけてのくびれと艶めかしいポーズに思わず見惚れていると、蓮珠もチラッと俺の方を振り向いた…… かと思ったら、バッ!とまた向こうを向いてしまう。
「目の遣り場に困るの!~~~あっち向いてて!」
え、何?…… 俺?
自分の身体を見下ろしてみて、理解に苦しむ。
女って、男の裸見て、ドキドキしたり恥ずかしくなったりするものなのか?
別におっぱいがある訳じゃなし、性的に興奮するような要素は何も無いと思うんだが…… 下だって、実はさっきちょっと勃ちかけたけど萎えちゃったし。
納得出来ないながらも言われた通り背を向けてベッドの足元に腰掛けると、背後でゴソゴソと蓮珠が布団に潜り込んでいる気配。
視界の端、ベッドの足元に制服のスカートと下に穿いていたジャージが畳んで置かれているのが見えてドキッとしながらも、悩む。
俺も今、下を脱ぐべきなのか。
でも最初から全部脱ぐのはなんかいかにもヤる気満々な感じで嫌だよなまあでも既にムードもへったくれも無くなってるけどな誘うの下手過ぎな俺童貞丸出しって感じで格好悪でもほんとにほんと正真正銘初めてなんで勘弁して元々そんな気無かったから心の準備がってゴム持ち歩いてたくせに何言ってんだ計画的犯行だろあれ俺今日パンツどんなだっけ朝シャワーしたし腋にはデオドラントスプレーもしたけど変な汗かいたし臭くなってないかなぁ…… とか高速で色々思いながらも、立ち上がってベルトに手を掛ける。
脱ぎ捨ててあった制服を拾い集めてスラックスと一緒に床に置き、ふぅ、と深呼吸して、まだゴソゴソ動いている布団の膨らみに向かってパキッと一礼。
「失礼しまっス」
ピタリと動きを止めた膨らみの横、狭いベッドの端っこに足から入り、あっち向いてて=こっち見んなと言われたことを念頭に、背中を向けて横になりながら、ふと思う。
あ、『どうぞ』と言われるまでは布団に入っちゃいけないんだったか?
「…… 面接かっ」
背後の布団の中からボソッと一言。
笑えないな。
面接なんかより断然緊張してるっつーの。
それでもツッコミを受けたことでなんとなくOKを貰えた気になり、覚悟を決めて振り返ろうとすると、思わぬ制止命令が。
「っダメっ!」
声で、俺にはダメと言っておきながら蓮珠がこっちを向いたのが分かる。
ゴソゴソ向きを変えながらも警戒しているのか、低いトーンで念を押してくる。
「…… こっち見ちゃダメだからね」
なんだよそれ。
圧迫面接の一種かな。
志望理由は先に述べた通りなんスけど…… あれじゃ足りなかった?
あとは自己アピールか…… 自慢出来るようなスキルとかテクニックなんか無いぞ、未経験者の俺には……。
沈黙が続く。
蓮珠の匂いのする布団に入って一緒に横になっているというだけでもドキドキなのに、俺はパンツ一丁だし、多分蓮珠も…… なんて考えたら、脳味噌が沸騰しそうだ。
いつまでこうしていればいいんだ。
そろそろ俺、行動を起こした方が良くないか?
そうだ、いつかこいつも言ってたよな、『もっとグイグイいってみちゃってもいいんじゃない?』って。
…… いくか?
いってみちゃう?
おし、3つ数えたらいこう……、3、2、……
カウントダウンを始めたところへ、背中の右側にぴとっとひんやりした感触。
次いで、真ん中にコツンと当たる、何か。
ほんのり温かい空気。
蓮珠が背中にくっついてきていることに気付いて、サーッと血の気が引くような沸くような…… こっ、これ、逆にグイグイ来られてる——⁉︎
しかし、背後を取られていては下手に身動きが取れない。
つーか…… これはこれで心拍数と局部への血流量増加に著しく影響を及ぼす案件だ。
更に蓮珠が身体を寄せてきていると見えて、背中の下の方に何やらもちもちふわふわした未知の感触と、尻にも腿の裏側にも過去に覚えの無いもちもちすべすべした感触が……。
我ながら現金だとは思うが、一瞬で萎えていた自信が回復して、ビキンと勃ち上がる。
蓮珠が俺に触れている。
身体を密着させて、はあはあして…… これって、誘っているという以外に何か意味はあるのか?
もしかしなくてもおまえも俺と同じく…… したいって思ってくれているって…… そういうことだよな⁈
バッと振り向くと、ビクッと身を引く蓮珠。
ぶつからないよう上げた俺の左の腕の下に真ん丸に見開いた目が見えた、と思ったら、向き直る前にクルッ!と向こうを向いて布団に隠れてしまう。
人慣れしていない野性動物かよ。可愛いな。
が、もういい加減この膠着状態から脱したい。
さっきの続きを…… あの先に進みたいんだよ俺は!
布団の中で、蓮珠を背後から抱き竦めて腕の中に閉じ込める。
「むっ⁉︎…… んやぁーっ⁈」
ジタバタするな。
ほら、これでもう逃げられない。逃がさないぞ。
あっ、何コレ柔らかい。
「み、見ちゃダメって言ったのにーっ!」
いつまでもそんな待てが効くと思うか?
承諾したからには触らせてくれないと…… つーかこんなどこもかしこも柔らかくて滑らかで気持ちいいのに、触らずにいられるかよ。
蓮珠の首筋に鼻先をくっつけて、匂いを吸い込みながら唇でも滑らかさを堪能する。
胸に密着した細っこい背中、下腹に当たっているぷりんとしたお尻。
ほら、ここなんか…… あ、すげぇ…… なんっだこれ。こんな柔らかいとこ、俺の身体のどこにも無いな。
身体の下を通して前に回した左手と、上から押さえ付けている右手。
クロスした両手の中にちょうど収まった2つの膨らみを撫で揉み摩り、全身で感触を味わう。
蓮珠、全部柔らかくて気持ちいい——‼︎
「んぅ~~~っ!」
布団の中から、押し殺した悲鳴。
指先が膨らみの先端のぽちっとした突起に触れると、蓮珠の身体がビクッと反応して、密着している俺の股間にもそれが伝わる。
へぇ…… おまえのここ、すげぇ敏感なんだな。
手のひらで摩りながら指先で揉みしだき、人差し指の先で先っぽのスイッチをタップし続けていたら、もっと触って欲しそうにピンと硬く勃ち上がってくる。
そこを指先で優しくカリカリしてやると、ビクッ、ビクッと反応する蓮珠。
「…… っふっ…… ぅん…… ふぅっ……!」
吐息に混じって微かに上擦った声が漏れ聞こえる。
うわー、なんだよその可愛い声。
おまえそんな声出るんだ?
ハァッ、ヤバ…… 興奮する。
気が付けばパンツの中で完全に勃ち上がったものを無意識のうちにむちっとした太ももの間に擦り付けてしまっている。
気持ちいい。すごく。これだけでもうイけそう。
けど、俺ばっかり気持ち良くなってちゃダメだよな。
おまえのことも、ちゃんと気持ち良くしてやらないと……。
上になっている右手を撫で下ろして指先を内腿の間に忍ばせると、薄くて小さな布切れの下に、柔らかい中にも殊更にムニッと柔らかい場所がある。
俺には“ある”位置に何も“ない”って…… なんか不思議。
どうなってんだ、おまえのここ……?
真ん中の真ん中を中指で探っていく。
あ、なるほど、ワレメってこういう……、
「ふぅぅぅ~っ⁈」
くすぐったそうに俺の指先を避けて蓮珠が腰を引く。
と、後ろに密着していた俺の下腹にお尻が押し付けられて股の間に先っぽが挟まれる形になり…… あっ、それイイ……!
「…… ァ…… 蓮珠、」
「んんん~っ⁈」
「…… ゥ…… ここ、…… イイのか?」
「っふぅっ、ふぅう~っ……‼︎」
教えてくれよ、俺にはないものがおまえにはあって、俺にはあるものがおまえには無いから、どこをどうしてやれば気持ち良くなってもらえるのかイマイチ分からないんだよ。
それにしても、直接触れることを阻んでいるこの布切れ、邪魔だな。
お尻の側から手を差し込んで腿の方へ下げおろし、改めてそこに手をやると、薄い毛の下に秘められたワレメの間にぬるっとした感触。
指先が滑り、容易に侵入を許す。
「んんっ⁈ …… ふ、ふぅんっ……!」
…… 蓮珠のここ、ぬるぬるしてる。
さっきキスしたときの感触にも似ている…… そりゃそうか、粘膜だからな…… つーかここも薄い唇みたいな形…… なるほど、隠れたとこにある唇だから陰唇ってな…… ネーミング、エッロ。
これ、“濡れてる”ってことなのか。
俺のももう、先っぽから滲んだのがパンツに浸みてきている。
ここに俺のを擦り付けたら、お互い気持ちいいんだろうか?
少し腰を上げて右手でパンツを下ろし、そこに後ろからガチガチに上を向いているモノをあてがってみる。
「⁉︎」
蓮珠がビクッと反応してお尻がきゅっと締まる。
ハァッ、ヤバいなコレ…… 柔らかいお尻に挟まれて、ぬるぬる感が気持ち良くて、すぐイっちゃいそう……いや我慢だ我慢!ここで出してしまったらこいつのことだ、『早漏に候』かなんか言われて何かにつけて思い出し笑いされてしまうぞ、きっと。
擦り付けているとどんどん気持ち良くなってきて、気持ちいいことしか考えられなくなり、更なる快感を求めたくなる。
グッと押し当てると、チュポッと先っぽが誘い込まれる感覚。
あ、ここ…… 入りたい……。
「っ⁉︎…… まっ、待って待って!」
蓮珠が慌てて身体を捩り、背後から抱き抱えるようにしていた俺の腕から逃れようとする。
怯えたように見上げる黒い瞳をぼんやりと見つめながら、逆上せ上がって回らない頭で考える。
なんだよ…… 何を待つことがあるって言うんだ?
こんなに気持ちいいのに。
ほらこれ、おまえも気持ちいいんだろ……?
更に押し当てたり少し引いたりして先っぽがチュポッチュポッと包み込まれる感触を愉しんでいると、蓮珠が悲鳴に近い声を上げる。
「んんん待ってってば!赤ちゃん出来ちゃうっ!…… 妊娠しちゃうよぉっ……⁉︎」
…… ハッ⁈
そ、そうだったそうだった!
危く生でしちゃうところだった!
…… 着けなきゃ。
ガバッと跳ね起き、ベッド脇の床に置いてあったリュックに飛び付く。
ガサゴソと中を探り、紙袋の中の箱からパッケージを取り出してフタを開け、濡れてる先っぽに当てがってくるくる巻かれている部分を伸ばしていく。
…… 手が震える。
俺、ガチガチだな。ココもガチガチだけど。
良かった。“簡単装着スムースフィット”ってヤツを買っといて。
普通のやつでも良かったんだが、サッと着けられる自信が無いから、下調べして“暗がりでも向きを確かめる必要無し”“初心者でも安心”ってレビューの付いている立体パッケージ入りのにしておいた…… 世の中まだ真っ昼間で恥ずかしいくらいに視界良好だが役には立ったな。
後ろを向いてゴムを着ける間、蓮珠は俺のすることを見ていたらしく、準備を終えて振り返ると同時にバッ!と布団に隠れる。
四つん這いで近付いて行くと、頭まで布団を被っていた蓮珠が、チラッと目だけ覗かせる。
「用意、してたんだ?」
「うん」
その心積もりがあったことが露見してしまうと、開き直りが生まれる。
「買いに行った。…… いつか、おまえとしたいって思ってたから」
それが今日になるとは夢にも思わなかったけどな。
「持ち歩いてたの?
…… 合格発表見に行くのにも?」
「うん」
真顔で答える俺を見て、蓮珠がプッと吹き出す。
「アハハ、…… アハハハハハ………!」
そんな笑うか。
いや、俺だっておかしいとは思うぞ?
だけどもだ、もしもの時には男の礼儀として着けなきゃって思うからいつ何時でも…… ってあぁなんだ、これじゃ本当にムードも何も無いな。
仕切り直しか。
先に用意しておけば良かったのに…… すぐ着けられるゴム買った意味、無かったなー。
全っ然クールじゃないな、俺。
再び布団の横に潜り込むと、蓮珠が笑うのをピタリと止める。
俺が身体を寄せていくのに合わせて布団の中で移動して、また背中を向ける。
逃げんなよコラ…… 今度はこっちからグイグイいくぞコラァ!
窓際の壁ギリギリまで追い詰めたところで背中から覆い被さるようにして身体を密着させながら、こちらから見えている小さな耳に口付ける。
カワイイぞコラァ……!
「っ⁉︎」
首を竦めて恥ずかし気に顔を背けるのを見たら、イジワルしたくなってしまう。
オラオラ、ここ弱いんだろ……?
下から掬い上げるようにおっぱいに手を掛けてまさぐりながら、人差し指で先っぽをツンツン。
耳たぶをパクッと食んで舐めたり、こめかみに唇を押し当てたり、頬に鼻先を擦り寄せたりしながら、ゴムを着けた下半身を太腿に擦り付けて存在を意識させ、敏感に反応している蓮珠の表情を観察する。
ピンと勃ち上がってきた乳首をきゅっと摘むと、んんっ!と顔を歪めて身体を捩らずにいられないくらい感じている。
その隙に乗じて左腕を腰の下から差し入れ、両腕クロスでガッチリホールド&両乳首同時責めだ。
クリクリ。クリクリ。
どうだ、参ったかコノヤロウ。
「んんんーっ⁈
…… んんっ、…… んぁっ!…… んふぅうっ…… はぁんっ……!」
気持ちいいところを集中的に責められて、引き攣った呼吸に混じって声が漏れ始める。
見られたくないのか背けている頬に後ろから鼻先を寄せると、
「うぅ…… 見るなぁっ……!」
見てない見てない。触ってるだけ。
あぁ、おまえのその顔、メチャクソエロくて可愛いな。
唇を奪い、舌を差し込んで、めちゃくちゃに覚えたてのキスをする。
言葉は無くとも意思確認がしっかり出来た上に一時休戦して時間を置いたからか、大分気持ちに余裕が出ている。
さっきはすごくいい感じだった…… 蓮珠も感じてくれている風だったし。
この分なら、痛がらせることなくスルッといけるんじゃないか?
手応えとコツを掴んだからには、今度こそ最後までしてみたい。
「下、触っていいか?」
「…… んぁっ⁈ そっ、そんなことっ、…… 聞くなぁっ!」
あ、そう。じゃあ、もう聞かない。
俺のしたいようにするからな。
何しても文句言うなよ?
もう少しお尻を突き出してもらえれば…… さっきみたいに…… あ、そうそう、ここ前から弄ったら腰引けてたっけ。
右手の中指を前からワレメに差し込むと蓮珠がビクッとして腰を引き、後ろからガチガチになった俺のが押し当てられていることに気付いてきゅっとお尻を締める。
前から指先で敏感なところを優しく撫でてやっていると、逃れたいのか身体を捩り、内腿がキュンと締まって俺の先っぽが締め付けられ…… 相互作用と相乗効果で興奮と快感がどんどん高まっていく。
「ハァッ、…… ハァッ、…… ハァッ、…… ハァッ、……」
「ぁっ⁈…… んぁっ、はぁっ…… あぁんっ⁈…… ぅうんっ……!」
蓮珠のここ、さっきより更にぬるぬるが増していて、もう溢れそう。
入り口に押し当ててる俺の先っぽも、少し腰を突き出したら自然に挿入ってしまいそうな雰囲気だ。
それより何より、さっきから右手の中指の先にコリコリ触れているのは、もしかして…… chestnut & squirrel ⁉︎ なんて頭悪そうな英訳でもしてないと挿れる前なのに俺、ァハッ…… イっちゃいそう…… いいいや、まだ我慢だ我慢。
何かで読んだけど女のココって快感を得る為だけに存在する器官で男性器の2倍以上の神経があるんだってな…… ということは蓮珠は俺の倍以上気持ち良くなれるってこと?俺だってこんなに気持ちいいのに。
蓮珠は今、俺の想像を絶する快感に晒されている…… そう考えたら、もう声を抑えることも忘れて喘ぎながらぎゅっと目を閉じて髪を振り乱しているのも無理からぬことであるし、俺のチンコと中指によってその快感を与えられているとなれば、男冥利、俺冥利に尽きるというものだ。
乳首を責めてる俺の左手とクリを責めてる右手を力なく上から押さえて、時折ビクッと反応しながら間断なく与えられる強烈な快感にひたすら耐え続けている蓮珠の姿を見ていたら、いよいよ棒が激ってくる。
「…… 挿入れていい?」
ハァハァしながら耳元で囁くと、ハッと目を開いて少し振り返る蓮珠。
熱に浮かされて蕩けた表情。
…… 堪らなくエロい。
「…… う」
ん、を聞き終える前に上から唇を塞ぎ、離れてしまった下半身をもう一度当て直して腰を前に突き出す…… と、一瞬間を置いて、蓮珠の手がギブ!ギブ!というように俺の右前腕をパンパン叩く。
仕方なく唇を離してやると、
「……っそこじゃないっ!」
「え」
俺、お尻の穴を一生懸命つついてたみたいだ。
バッ!と布団を跳ね除け、下を見て蓮珠の脚を開こうとすると、
「やっ、嫌だ見るなぁっ‼︎」
「見ないとどこか分からない」
言いながらも乳首を弄る左手は止めず、右手をクリの上に再配置して下から先っぽをグイグイ押し付けていると、チュポッと上手い具合に嵌まる感覚、蓮珠がハッと息を呑む気配。
ここだ。
ググッ、と押し挿る。
「~~~~~っ⁉︎」
おいコラ、逃げるな!
まだ頭しか[[rb:挿入 > はい]]ってないっつーの!
浅くて抜けそうになり、慌てて乳首とクリを弄っていた両手で押さえ付けて、逃れようと暴れる蓮珠の身体を抱き竦める。
「~~~~~っ‼︎ ~~~~~っ‼︎ ~~~~~っ‼︎」
ビクンビクンと小さな身体が跳ねる。
お、おい、どうなったんだ、おまえ⁈
釣り上げたばかりの活きの良い魚みたいだな…… ってコラッ、暴れるなって!挿入ったとこそんな動かれたら…… ァハァッ♡…… うわっ中、ぎゅうぅ~って締まっ……てヤバッ……ウッ、、、
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、…………
部屋の中に、激しい呼吸音が響く。
蓮珠、…… おまえ大丈夫か、なんかぐったりしてるけど。
顔の前で組まれた真っ白な細い腕。
僅かに開いて震えるような呼吸をしている唇だけが見えている。
小さな頭をそっと抱えて枕を当て直してやり、髪を撫でる。
「…… 蓮珠?」
「…………。」
「……ごめんな」
「…… っなんでっ…… 謝るのっ……」
俺、もう射精しちゃった……。
けど、蓮珠は多分気付いてないし、全然萎えない。
から、このまま2回戦目、いかせてもらう。
ほんとはダメだよな、漏れちゃうから。
いけないよな、初めてなのに無理させちゃ。
分かってる、分かってはいるけど、まだ離れたくないんだ。
離したくない、繋がっていたい、オンブバッタみたいに——。
「なんかほんと…… ごめん。無理させて 」
「無理なんかしてないってばぁっ!」
だっておまえ、そんな泣きそうな顔するから。
申し訳なく思いながらも繋がったままで身体を起こし、蓮珠の脚を持ち上げて膝を割り、正面から向き合う。
顔の前にバッテンに組まれた腕を解いて、布団の上で両手を握ると、俺の下で見上げている、蓮珠の真っ黒な瞳が潤んでいる。
目の縁が赤くなっていて、やっぱり泣かせちゃったな、って思う。
そぉっと顔を寄せて出来るだけ優しく口付け、額をくっつける。
「ごめんな」
俺、こんなに好きになっちゃって。
おまえのこと、もう離したくない。離してやれないよ。
「…… な、なんで謝るのぉ……」
上手く言えなくてごめん。
空気読めなくてごめん。
しつこくてごめん。
しょーもないスケベでごめんな。
「ほんとごめん…… ごめんな、蓮珠……」
蓮珠の顔の横で、俺の手の中に手首ごと握った両手。
小さくて、柔らかくて、頼りなくて、護ってやりたいと思う。
でもそれとは裏腹に、熱く激った俺の中のオスの本能が嗜虐に目覚める。
この体勢、俺が無理矢理押さえ付けて虐めてるみたいで…… なんか分からないけどものすごく興奮する。
犯したい。
この身体を、奥の奥まで犯して…… 俺だけのものにしたい…… 虜にしたいっ ‼︎
「っごめん蓮珠、…… ハァッ…… ごめん、…… ごめんな…… 」
謝りながらも深く突き挿れていく—— 愛のままに、わがままに。
「だからっ!なんで謝るのぉっ…… あぁっ⁈ …… ん…… はぁっ、はぁっ、…… ぁはぁっ、…… うぅんっ…… !」
最奥まで押し挿入って腰を揺すると、蓮珠が上擦った切ない声を上げ始めて、快感も相まってますます興奮する。
「…… 痛いか?」
「いっ、…… 痛くないっ!」
ほんとは痛いんだろ、おまえ。
そんな涙振り絞って。
気持ちいいの、俺だけか…… いや、そんなことないよな?
だって、おまえのここ、こんなにピンピンに硬くなって…… 触って欲しそうにしてる。
ゆっくりと揺すりながらワレメの真ん中に鎮座している可愛いらしい突起を親指でクリクリしてやると、ビクビクッ!と反応して中がきゅんっ!と畝る。
「…… ッァ……!…… 気持ちいい…… ?」
「はぁあっ⁈ …… わかんない…… わかんないぃっ!あぁぁんっ……!」
蓮珠でも分からないことがあるんだな。
俺も、もう分からない。
興奮し過ぎて申し訳なさ過ぎて嬉し過ぎて気持ち良過ぎて我慢し過ぎて何がなんだか……。
蓮珠の中、すげぇ気持ちいい…… もうイきそうだ。
でもまだイきたくない、終わりたくない。
まだ、蓮珠の中に居たい。
深く深く、繋がっていたい……。
射精感をギリギリで回避して身を屈めて呼吸を整えているところへ、不意に身体の下の蓮珠が手を伸ばしてくる。
小さな手の平がぴとっと俺の頬に触れる。
「アキくん、……」
大きな真っ黒い瞳。
ぽろりと溢れた透明な雫。
「…… すき」
きゅうん。
可愛い。
胸が締め付けられる。
「んんんすき…… すきぃっ……んむっ……ふぅうぅぅっ!」
頭を抱えるようにして唇を合わせ、舌を絡めて口腔内を犯す。
…… 可愛い。あぁ、可愛い。可愛い……!
可愛いな、蓮珠。
唇を離したら、甘い声で鳴きながら俺の首に縋り付いてくる。
可愛いくて堪らない。
もっと深く繋がりたい。
もっと奥へ入りたい。
更に熱り立つモノで蓮珠の最奥を突きながら、すっかり顔を出したピンクの突起に根元を押し当てる。
「ふぁぁぁぁアキくぅんっ……!」
「蓮珠…… ハァ…… スミ……、蓮珠……!」
俺の動きに合わせて眼下で揺れている形の良いおっぱい。
本能的に、ピンと勃ち上がった赤い先っぽにむしゃぶり付く。
そしてもう片方にも手を掛けて、指先で先っぽをキープ。
…… どっちも俺んだ…… もう誰にも渡さんッ…… ‼︎
「ぁはぁんっ⁉︎ …… あぁっ!…… ぁはあぁっ!……うぅぅぅっっっ……‼︎‼︎」
蓮珠の身体全体がブルブル震え出して、中がきゅうんと締まる。
根元近くをぎゅうぎゅう搾られて、ゥ…… く、喰われる……⁈
あぁ、でも俺、おまえになら喰われてもいい。
頭から喰われておまえの胎の中に…… ずっと生きていられたら。
ゥア…… イきたい……、活キタイ依キタイ遺キタイ逝キタイ———イキタイ———‼︎
「あ…… あき…… く……っうぅダメぇっ‼︎ …… も…… や…… い、い …… やあぁぁ‼︎ それやだぁあぁっ‼︎やめっ、止めて…… あぁぁあぁあっっっ‼︎‼︎」
頭を喰われてはもう何も考えられない。
背徳感も罪悪感も全て吹き飛んで、本能の導くまま蓮珠の身体に快感の楔を打ち込み続ける。
思い付くだけ与えられるだけの愛撫を注いだら蓮珠の身体がそれに応えるように俺を締め付けながらビクンビクンと跳ね、激烈な快感が襲ってきたかと思うと、頂点の先にある陶酔と恍惚感へ誘う。
あ、限界。
細っこくて柔らかい身体に無我夢中で縋り付き、絶頂の中、想いの丈を込めて愛を解き放つ。
「ハァアッ、蓮珠…… ァ…… ィッ、、してる……ッ……‼︎‼︎」
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