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119,連戦は地獄。

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 というか、私の全身がまだ燃えている。歩く火柱を見たら、それが私です。(防御Lv.60)がなければ、とっくに燃え尽きて灰になっているところ。



 ただそれにしても、水系統スキルを手持ちにない身としては、この火柱状態をどうすればいいのだろう。

 うーーーーむ、困った。

 やがて歩いていると、湖にどぼんした。火柱で歩いていたため、視界が悪かったのだ。とにかく水の中に潜っていき、消火に努める。

 ところで貫かれた胴体からは、血が流れている。ただでさえミィちゃんを魔物化するので、かなりの血を失っているというのに。



 しばし湖底で待機していると、どこからともなく〈海魔蛇リバイアサン〉がやってきて、襲撃してきた。

 こんなところで、『鬼強』との連戦かぁ。しかし強化素材は欲しいので、ここは前向きにトライしよう。



 水中内でも《操縦》を使うことで、自在に移動はできる。ただそれでも視界は悪いし、何よりこちらは呼吸ができないという不利がある。

(防御Lv.60)の影響か、10分程度は息を止めていられるけども。



 一方、〈海魔蛇リバイアサン〉は、私が陸上生物と見てのことか、湖底へと引きずりこもうと仕掛けてくる。しばし地道なる戦い。

 ところで今回のバトルには、《耕作:熟練者》を惜しみなく発動しよう。先ほどの〈赤鎧龍レッドドラゴン〉に続いての連戦となっては、さすがに《耕作:熟練者》なし縛りなどという、チャレンジ精神を発揮する気力もない。



 ただ問題発生。

《耕作:熟練者》が発動しないのだ。



 もしかしなくても、水中内でははじめの耕地を作る段階がクリアできず、結果、不発に終わるのかぁ。湖底に耕地を作ってくれてもいいのだけど、どうも『水中』という条件がだめらしい。これは、いままで考慮したことのない点だ。時には、こういう肝心の耕地が作れない場所でも戦闘もあるのだから。

 やはり、いったん地上に上がろう。



 湖面へと《操縦》で向かう。しかし湖面からの光の屈折が、どうもおかしいような。

 と思ったら、湖面から出る前に、膜状のものにぶつかった。この膜状が、湖面全域を覆っているようだ。

 どうやら〈海魔蛇リバイアサン〉のスキルの仕業。



 湖面全域を《膜状封鎖》スキルで覆うことで、湖中にいる私が脱出できないようにしたわけか。なるほど、もう湖中で5分は経過している。そろそろ息苦しくなってきたころだ。

 そこで《操縦》を解除してから、水中でバランスをとりつつ、《地滅嵐打》を発動。《膜状封鎖》に叩き込む。



 だが、これがどうもビクともしない。そんなに頑丈なのかな? 

《地滅嵐打》を連打するも、これがまったく効果なし。膜状に切れ目もできないわけなんだけども。気になるのは、《膜状封鎖》への手ごたえがあまりにないということ。

 つまり圧倒的な防御力を誇る物体を叩いている、という感じではない。どちらかという、空気を叩いている感じ。空気はいくら叩いても壊れようがない。



 まてよ。もしかして《膜状封鎖》の効果が、〈海魔蛇リバイアサン〉を撃破しないと解除できないものだったら? 

 どんなに強力な攻撃をぶち込んでも意味がない。なぜって、《膜状封鎖》のスキル内容が『発動した〈海魔蛇リバイアサン〉が倒されない限り解除されることはない』なのだから。

 それはすでに自然の法則の領域。たとえ〈不可能攻略体〉の必殺の一撃でも、破壊できない(ただし、《膜状封鎖》の効果を打ち消せる類の特殊効果型スキルなら、話は別かもしれないけれども)。



 とにかく、手持ちで最も強力な《地滅嵐打》でビクともしないのだから、〈海魔蛇リバイアサン〉撃破でいくしかない。そうしないと湖面を覆っている《膜状封鎖》は解除されず、私は水中から出られない。溺死しちゃうぞい。



 というわけで、急いで湖中内を探す。〈海魔蛇リバイアサン〉はどこか? 

 いた。

 湖底のほうで、ゆらゆら漂っている。うわぁ。《膜状封鎖》を張った時点で、勝利は時間の問題と確信している様子。あとは私が溺れ死にするのを待つだけということか。



《操縦》で追尾。ところが〈海魔蛇リバイアサン〉の逃げ足が速い。水中では、どうしても《操縦》は遅くなる。《電光石火》で加速させても、届かない。すでに《怠惰心地》も同時発動しているというのに。

 とにかく遠距離から《波動砲Lv.3》を打ち込んだが、まともなダメージにならない。



 というか〈海魔蛇リバイアサン〉、〈赤鎧龍レッドドラゴン〉より手ごわいなぁ。〈海魔蛇リバイアサン〉とのバトルの事前準備が許されていたら、『水中で呼吸できる』スキルを会得するところだよね。



 しかも〈海魔蛇リバイアサン〉は、ただ逃げ足が速いだけではない。少しでも接近できたと思ったら、スキルで水流を起こしてくる。この水流によって、私は遠くへと遠ざけられてしまう。

 まずい。これは、本気でまずいかも。



 湖面に戻り、《膜状封鎖》が本当に湖面全域に張られているのか確認する。または、少しでも湖面と空間があいていて、酸素スペースがないかと。

 だが、そこに抜かりはない。

 湖中ですでに8分。酸欠がはじまりつつある。とにかく視界が歪みだした。



 ああ、〈海魔蛇リバイアサン〉は遠い。攻撃ができなければ、撃破できない。撃破できないと、《膜状封鎖》が解除されない。

 こうなったら、まず貯蓄スキルポイントを使って、スキルツリーを開拓する? 何か現状打破の新しいスキルを──いや、打破できるのは《耕作:熟練者》だけなのだ。



 しかし耕地がないから、《耕作:熟練者》を発動できないのだ。

 いや、まって。耕地はあるよ、ここに。こうなったら、私の体内を耕地にしよう。



 人体耕地だぞ。

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