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81,基本プラン。
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私はつづいて、基本プランについて語った。
まず地下迷宮〈死の楽園〉が地獄であることを強調。
武装Lv.が3桁では、即死コースであると。だから本来ならば、【覇王魔窟】地上階で地道に武器を強化し、せめて400階層は攻略してから降りるべき。
だが今はそんな悠長なことはしていられないのだ。短時間で武装Lv.4桁台へ行くためには、命を100個は捨てる覚悟でないと。
ライオネルさんが挙手。
「嬢ちゃん。俺たちの残機は常に0なんだがな。死んだらお終いだぞ。嬢ちゃんと違って」
「今の100回死ねはものの喩えです。私だって死んだらお終いですからね。とにかく、〈死の楽園〉の魔物との対決は、『私+誰かもう1人』で行います。少なくとも、はじめのころは。
なぜか? まず全員で挑むということは、私が常にほか4人を守らねばならないことになる。凄く手間です。ですから、常に戦うときは、1人だけを守るようにし、残りの3人は安全な場所で待機していてください。
そして、私が敵魔物を弱らせ、あと一撃で倒せる、というところまで追い込みます。そうしたら、『もう1人』の方がトドメを差す。強化素材をゲットし、武器を強化。この手順を全員で回していけば、そのうちに自力で魔物を倒せるところまで強化できるでしょう」
今度はベロニカさんが挙手。
「アリアが採取した強化素材を、あたしたちが使うわけにはいかないの?」
「それについては先日、ロクウさんで試しています。私が単身で〈死の楽園〉に降り、はじめに採取した強化素材を持って帰還。さっそくロクウさんに試してもらいましたが、結果は失敗です。危うくロクウさんの刀がダメになるところでした。
【覇王魔窟】を創った古代神は、どこまでも目を光らせているのでしょう。つまり、ズルは許さないということです。強化素材が欲しければ、自力で撃破せよと。
ただ【覇王魔窟】では、パーティ制度が許可されている。この点からして、『私が魔物を追い詰めてから、強化素材を採取したい者がトドメをさす』は通ると思います。というより現状、このプランしかないので、これで進めます。さて」
現状は──
ベロニカさんの強化武器、デスサイズ〈死神のそよ風〉。武装Lv.126。
ロクウさんの強化武器、刀〈時雨晩〉。武装Lv.187。
ライオネルさんの強化武器、カトラス〈略奪者〉。武装Lv.125。
サンディさんの強化武器、聖杖〈愛と抱擁〉。武装Lv.5。
「え、武装Lv.がたった5ですか? あのサンディさん、やる気はあるのですか? あなたが生まれてきたのは、王を殺すためだというのに。これまでサボってきたんですか?」
「そそそそ、そそそ、そんなこと、いいいいきなり言われたって、あの、わたし、帰りたい、ですっっ!!」
「さぁ、みんなで頑張りましょう!」
まずは【覇王魔窟】1階に入り、〈鍵〉を使って扉を出す。そして5人そろって、地下迷宮〈死の楽園〉へ!
階段を降りきると、そこはまるで異世界。そして──
私は一人で、〈死の楽園〉の丘のうえに立っていた。
まわりには誰もいない。
なるほど。【覇王魔窟】を創った古代神は、いろいろな状況を想定していたようだ。たとえば今回のように、『一人だけ武装Lv.が高く、他のメンバーは武装Lv.が低いパーティが、強化素材を乱獲する』目的でやってきた場合とか。
この場合はどうするか。
それは簡単。〈死の楽園〉に入ったときに、強制的にパーティを離散させる。つまり、〈死の楽園〉内のそれぞれ別の場所へと転移させるのである。
うーむ。これは、まずい。私がはじめて〈死の楽園〉に降りたとき、武装Lv.241だった。はじめに遭遇した〈蠍群魔スコーピオン〉オリジナル版に歯が立たず、胴体両断されたのだった。
つまり〈王殺しのパーティ〉が、もう結成したばかりなのに全滅フラグが立ってしまったのだ。
これはいかんです。
魔改造鍬〈スーパーコンボ〉にまたがり、《操縦》で飛翔。上空から探そう。
やがて森の中を泣きながら走っている修道服の少女を発見。修道女のサンディさんだ、コスプレではない。
サンディさんの後ろからは、〈蜘蛛女魔スパイダークイーン〉が追いかけている。
ちなみに〈蜘蛛女魔スパイダークイーン〉は『眼玉が女の顔に似ている』だけで、美人さんの蜘蛛とかでは断じてない。魔物名詐欺だと、私は思う。
とにかく、よく〈蜘蛛女魔スパイダークイーン〉に追いかけられて、サンディさんもまだ無事なものだ。
こうして眺めていると、〈蜘蛛女魔スパイダークイーン〉が射出する《鋼鉄糸》を、サンディさんは常に紙一重で回避している。後ろを見ることもなく。
直感が優れている? または──回避型のスキルかな?
だとしたら、武装Lv.5でありながら、かなり特化した回避型だ。
強化武器、すなわち正式名称〈魔統武器〉のスキルツリーは、『〈魔統武器〉の個性+〈魔統武器〉の使用者の個性』によるという。
サンディさんがどこまでも逃走することを望むのならば、その回避スキルの強化への道は、どこまでも続くことになるのだろう。
「サンディさーん、助けましょうか?」
「助゛け゛でぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
まず地下迷宮〈死の楽園〉が地獄であることを強調。
武装Lv.が3桁では、即死コースであると。だから本来ならば、【覇王魔窟】地上階で地道に武器を強化し、せめて400階層は攻略してから降りるべき。
だが今はそんな悠長なことはしていられないのだ。短時間で武装Lv.4桁台へ行くためには、命を100個は捨てる覚悟でないと。
ライオネルさんが挙手。
「嬢ちゃん。俺たちの残機は常に0なんだがな。死んだらお終いだぞ。嬢ちゃんと違って」
「今の100回死ねはものの喩えです。私だって死んだらお終いですからね。とにかく、〈死の楽園〉の魔物との対決は、『私+誰かもう1人』で行います。少なくとも、はじめのころは。
なぜか? まず全員で挑むということは、私が常にほか4人を守らねばならないことになる。凄く手間です。ですから、常に戦うときは、1人だけを守るようにし、残りの3人は安全な場所で待機していてください。
そして、私が敵魔物を弱らせ、あと一撃で倒せる、というところまで追い込みます。そうしたら、『もう1人』の方がトドメを差す。強化素材をゲットし、武器を強化。この手順を全員で回していけば、そのうちに自力で魔物を倒せるところまで強化できるでしょう」
今度はベロニカさんが挙手。
「アリアが採取した強化素材を、あたしたちが使うわけにはいかないの?」
「それについては先日、ロクウさんで試しています。私が単身で〈死の楽園〉に降り、はじめに採取した強化素材を持って帰還。さっそくロクウさんに試してもらいましたが、結果は失敗です。危うくロクウさんの刀がダメになるところでした。
【覇王魔窟】を創った古代神は、どこまでも目を光らせているのでしょう。つまり、ズルは許さないということです。強化素材が欲しければ、自力で撃破せよと。
ただ【覇王魔窟】では、パーティ制度が許可されている。この点からして、『私が魔物を追い詰めてから、強化素材を採取したい者がトドメをさす』は通ると思います。というより現状、このプランしかないので、これで進めます。さて」
現状は──
ベロニカさんの強化武器、デスサイズ〈死神のそよ風〉。武装Lv.126。
ロクウさんの強化武器、刀〈時雨晩〉。武装Lv.187。
ライオネルさんの強化武器、カトラス〈略奪者〉。武装Lv.125。
サンディさんの強化武器、聖杖〈愛と抱擁〉。武装Lv.5。
「え、武装Lv.がたった5ですか? あのサンディさん、やる気はあるのですか? あなたが生まれてきたのは、王を殺すためだというのに。これまでサボってきたんですか?」
「そそそそ、そそそ、そんなこと、いいいいきなり言われたって、あの、わたし、帰りたい、ですっっ!!」
「さぁ、みんなで頑張りましょう!」
まずは【覇王魔窟】1階に入り、〈鍵〉を使って扉を出す。そして5人そろって、地下迷宮〈死の楽園〉へ!
階段を降りきると、そこはまるで異世界。そして──
私は一人で、〈死の楽園〉の丘のうえに立っていた。
まわりには誰もいない。
なるほど。【覇王魔窟】を創った古代神は、いろいろな状況を想定していたようだ。たとえば今回のように、『一人だけ武装Lv.が高く、他のメンバーは武装Lv.が低いパーティが、強化素材を乱獲する』目的でやってきた場合とか。
この場合はどうするか。
それは簡単。〈死の楽園〉に入ったときに、強制的にパーティを離散させる。つまり、〈死の楽園〉内のそれぞれ別の場所へと転移させるのである。
うーむ。これは、まずい。私がはじめて〈死の楽園〉に降りたとき、武装Lv.241だった。はじめに遭遇した〈蠍群魔スコーピオン〉オリジナル版に歯が立たず、胴体両断されたのだった。
つまり〈王殺しのパーティ〉が、もう結成したばかりなのに全滅フラグが立ってしまったのだ。
これはいかんです。
魔改造鍬〈スーパーコンボ〉にまたがり、《操縦》で飛翔。上空から探そう。
やがて森の中を泣きながら走っている修道服の少女を発見。修道女のサンディさんだ、コスプレではない。
サンディさんの後ろからは、〈蜘蛛女魔スパイダークイーン〉が追いかけている。
ちなみに〈蜘蛛女魔スパイダークイーン〉は『眼玉が女の顔に似ている』だけで、美人さんの蜘蛛とかでは断じてない。魔物名詐欺だと、私は思う。
とにかく、よく〈蜘蛛女魔スパイダークイーン〉に追いかけられて、サンディさんもまだ無事なものだ。
こうして眺めていると、〈蜘蛛女魔スパイダークイーン〉が射出する《鋼鉄糸》を、サンディさんは常に紙一重で回避している。後ろを見ることもなく。
直感が優れている? または──回避型のスキルかな?
だとしたら、武装Lv.5でありながら、かなり特化した回避型だ。
強化武器、すなわち正式名称〈魔統武器〉のスキルツリーは、『〈魔統武器〉の個性+〈魔統武器〉の使用者の個性』によるという。
サンディさんがどこまでも逃走することを望むのならば、その回避スキルの強化への道は、どこまでも続くことになるのだろう。
「サンディさーん、助けましょうか?」
「助゛け゛でぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
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