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第305話 ストリートバスケ
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とりあえず、3人の関係について大まかに説明を終えるとアンは愛翔に疑問をぶつける。
「そうするとアイトも大学生なのか?学生で2人の奥さんがいるということなのか?」
「いや、俺はイギリスのプレミアリーグ、プロサッカー選手だ。だから今はイギリスと日本で将来のためにそれぞれ頑張っているところだ」
愛翔の言葉にアンの動きが止まった。そしてまるで錆びたロボットのような動きでギギギと首をまわし愛翔をジト目で睨む。
「アイトの嫁さんも大概だというのはさっきの説明で理解……理解はともかくそういうものだとしたけど、アイト自身も大概だな」
そこまで言って大きく息を吐き出し
「で、アイトはどこのチームに所属してるんだ?」
「ロンドン・ステイビレッジFC。知ってるか?」
「ああ、なんか最近妙に元気のあるチームだな。畑違いの俺のところにも噂は来てる。なんでも最近加入したウィングが……」
死んだような視線をアンが愛翔に向けた。そして
「なあ、アイト。おまえの基本ポジションって確か……」
「ああ、ライトウィングだ」
そこからアンはその話はしない、現実逃避とばかりにバスケットボールの話に話題をそらし、
「久しぶりにやらないか」
と愛翔をストリートバスケに誘った。愛翔が少しばかり躊躇していると横から桜が口を出してきた。
「別に楽しむだけなら良いんじゃないの?あたしも久しぶりにボール触りたいわ」
「なら、楓も入れてスリー・オン・スリーでやろうか、アンはメンバー揃うよな」
「え、ちょっと。桜はともかく私は無理よ。アンさんってNBA所属のプロなんでしょ、そんな人となんて」
「いや、アイトとそのサクラさんが入るならカエデさんが入ってちょうど良いくらいのバランスになる気がする。それに公式戦じゃないんだから勝ち負けはそんなに気にしなくていいし」
腰の引ける楓の言葉はスルーされいつの間に愛翔たち3人とアンを含むその場で組んだ3人でのスリー・オン・スリーが始まっていた。
「表」
「じゃあ、俺は裏だな」
コイントスで愛翔がボールを持った。
「10分21点のノックアウト制でいいんだよな」
愛翔が確認し、アンが頷く。
「桜は知ってるみたいだな。楓は、さすがに知らないか。ノックアウト制ってのは1試合10分で21点先取した方が勝ちってルール。ハーフコートでやる他はまあ普通のバスケットボールだと思えばいいよ。多少の事は気にしなくていい。あとボールを奪ったら攻守交替。この程度を覚えておいてくれ。じゃあ始めよう」
愛翔がアンにボールをパス、アンがそれを愛翔に戻しゲームが始まった。
愛翔がドリブルで切り込む、その動きを察知しアンが前をふさぐ、愛翔は無理をせず楓にパスを回した。いきなりボールを回された楓は一瞬驚いた顔をしたものの自分で運ぼうとせずそのままバウンズパスで桜に送る。
ボールを手にした桜の前をふさぐ男性は身長2メートルに近い、桜の口角が上がりニィーっと嬉しそうな笑顔をみせた。
桜の手にボールが吸い付くように動く。ドリブル、フェイント、桜の小柄な体がクルクルと魔法のように舞い、アンクルブレイク。ついに相手の男性がついていけず体勢を崩し手をついた。桜がするりと横を抜けシュート体勢に入る。その様子を察知しアンがシュートブロックについた。桜は無理にシュートに行かず右手に持っていたボールを左手に持ち替え、そのまま横にノールックでパスを送る。そのパスはすっぽりと愛翔の手に収まり、愛翔がゴールに向かって飛んだ。アンが桜を抑えて飛んでいたため愛翔はフリーでそのままダンクシュートを決めることができた。
「give me five」
桜が手を上げ愛翔が、そして楓が手を打ち合わせる。
そして
「残念。1ゴール差で負けちゃったかあ」
桜が空を仰ぎ愛翔が頭を撫でる。
「でも楽しかったわ。たまにはこういうのも良いわね」
楓も頬を上気させ嬉しそうだ。
「あー、ちょっとアイト。サクラさん強すぎないか?連携も、普段からやってるわけじゃないんだろ」
「言っただろ、高校全国ベスト16のチームのポイントガードだったって。個人的にはナンバーワンポイントガードだったと思ってるよ。それと連携は、まあ、もうお互いの考えることは大体分かるからな」
「ちぇ、言ってろ」
愛翔とアンは笑顔で拳をぶつけあった。
「じゃあ、またな」
「そうするとアイトも大学生なのか?学生で2人の奥さんがいるということなのか?」
「いや、俺はイギリスのプレミアリーグ、プロサッカー選手だ。だから今はイギリスと日本で将来のためにそれぞれ頑張っているところだ」
愛翔の言葉にアンの動きが止まった。そしてまるで錆びたロボットのような動きでギギギと首をまわし愛翔をジト目で睨む。
「アイトの嫁さんも大概だというのはさっきの説明で理解……理解はともかくそういうものだとしたけど、アイト自身も大概だな」
そこまで言って大きく息を吐き出し
「で、アイトはどこのチームに所属してるんだ?」
「ロンドン・ステイビレッジFC。知ってるか?」
「ああ、なんか最近妙に元気のあるチームだな。畑違いの俺のところにも噂は来てる。なんでも最近加入したウィングが……」
死んだような視線をアンが愛翔に向けた。そして
「なあ、アイト。おまえの基本ポジションって確か……」
「ああ、ライトウィングだ」
そこからアンはその話はしない、現実逃避とばかりにバスケットボールの話に話題をそらし、
「久しぶりにやらないか」
と愛翔をストリートバスケに誘った。愛翔が少しばかり躊躇していると横から桜が口を出してきた。
「別に楽しむだけなら良いんじゃないの?あたしも久しぶりにボール触りたいわ」
「なら、楓も入れてスリー・オン・スリーでやろうか、アンはメンバー揃うよな」
「え、ちょっと。桜はともかく私は無理よ。アンさんってNBA所属のプロなんでしょ、そんな人となんて」
「いや、アイトとそのサクラさんが入るならカエデさんが入ってちょうど良いくらいのバランスになる気がする。それに公式戦じゃないんだから勝ち負けはそんなに気にしなくていいし」
腰の引ける楓の言葉はスルーされいつの間に愛翔たち3人とアンを含むその場で組んだ3人でのスリー・オン・スリーが始まっていた。
「表」
「じゃあ、俺は裏だな」
コイントスで愛翔がボールを持った。
「10分21点のノックアウト制でいいんだよな」
愛翔が確認し、アンが頷く。
「桜は知ってるみたいだな。楓は、さすがに知らないか。ノックアウト制ってのは1試合10分で21点先取した方が勝ちってルール。ハーフコートでやる他はまあ普通のバスケットボールだと思えばいいよ。多少の事は気にしなくていい。あとボールを奪ったら攻守交替。この程度を覚えておいてくれ。じゃあ始めよう」
愛翔がアンにボールをパス、アンがそれを愛翔に戻しゲームが始まった。
愛翔がドリブルで切り込む、その動きを察知しアンが前をふさぐ、愛翔は無理をせず楓にパスを回した。いきなりボールを回された楓は一瞬驚いた顔をしたものの自分で運ぼうとせずそのままバウンズパスで桜に送る。
ボールを手にした桜の前をふさぐ男性は身長2メートルに近い、桜の口角が上がりニィーっと嬉しそうな笑顔をみせた。
桜の手にボールが吸い付くように動く。ドリブル、フェイント、桜の小柄な体がクルクルと魔法のように舞い、アンクルブレイク。ついに相手の男性がついていけず体勢を崩し手をついた。桜がするりと横を抜けシュート体勢に入る。その様子を察知しアンがシュートブロックについた。桜は無理にシュートに行かず右手に持っていたボールを左手に持ち替え、そのまま横にノールックでパスを送る。そのパスはすっぽりと愛翔の手に収まり、愛翔がゴールに向かって飛んだ。アンが桜を抑えて飛んでいたため愛翔はフリーでそのままダンクシュートを決めることができた。
「give me five」
桜が手を上げ愛翔が、そして楓が手を打ち合わせる。
そして
「残念。1ゴール差で負けちゃったかあ」
桜が空を仰ぎ愛翔が頭を撫でる。
「でも楽しかったわ。たまにはこういうのも良いわね」
楓も頬を上気させ嬉しそうだ。
「あー、ちょっとアイト。サクラさん強すぎないか?連携も、普段からやってるわけじゃないんだろ」
「言っただろ、高校全国ベスト16のチームのポイントガードだったって。個人的にはナンバーワンポイントガードだったと思ってるよ。それと連携は、まあ、もうお互いの考えることは大体分かるからな」
「ちぇ、言ってろ」
愛翔とアンは笑顔で拳をぶつけあった。
「じゃあ、またな」
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