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第301話 冬休み春休み

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「へえ、T大って冬休み、そんなに短いんだ」
「うん、あたし達もスケジュール確認してびっくりしたわよ。ね、楓」
「そうそう、せっかく愛翔に会いに行こうと思ってたのに12月29日まで講義、で年始は1月4日から始まるのよ。高校より短い冬休みって何って驚いたわ」
「それじゃさすがに冬休み期間にこっちに来るのは無理か」
「うん、課題もあるだろうし、さすがにきついかなぁ」
桜の声が沈む。
「プレミアリーグは年末年始に休みが無いから俺が日本にってのも無理だしな」
愛翔も気落ちしたのを少しばかりにじませた。でも、と愛翔が続ける
「10月頃みたいに疲れた感じがなくなってて少し安心したよ。あの頃は心配したんだからな」
「あはは、ありがと。あ、そうそう冬休み期間が短い代わりってことじゃないだろうけど春休みは長いみたい」
楓が先に調べたよと微笑みながら口にした。
「へえ、どんな感じなんだ?」
「えと、2月10日が最終講義ね、で3月いっぱいはお休みになってるわね」
「お、いいな。プレミアリーグも2月に2週間くらいの休みがあるからどこか一緒に旅行にでも行かないか」
「あ、良いわね。行きたいわ」
「そうね。愛翔と旅行って、ローマ・ソチエタFCに挑戦した時くらいだものね。どこが良いかしら」
桜も楓も乗り気でワクワクしているのがよくわかる。
「そうだなあ。観光関係はあまり詳しくないけど、俺のイメージだと、遊び倒すならグアムとか、ウィスラーでスキーなんてのもいいし、2月だとウユニ塩湖も幻想的な風景らしいな」
愛翔がそんな例を出していると、桜が”あ、そういえば”と思いついたように口を開いた。
「ね、あたし愛翔がアメリカ時代に過ごした街を見たいわ」
「そうね、私も前から一度愛翔が過ごした街に行ってみたいと思ってたの」
桜と楓、2人で画面越しの愛翔に強請る。
「まあ、良いけど、そんなに見るところあるわけじゃないぞ。ごく普通の街だからな」
「それでもいいのよ。愛翔が通っていた学校、愛翔が住んでいた家、愛翔と交友のあった人たち、そういった愛翔が過ごした3年間を少しでも知りたいの」
楓の言葉に愛翔も、それもありかと思った。
「わかった、じゃあ最初に俺が過ごした街を何日か案内して、その後でどこか観光に行こう。それに改めて父さんに2人と一緒に生きていくからって紹介ってのも変だけど出来るし、それもいいな」
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