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第280話 チャレンジャーチームで

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「アイト、想像以上のプレイヤーになったな」
ゲーム終了するや、ミケル・レガスが愛翔を抱き寄せ、背中をバンバンと叩く。
攻守にわたりチャレンジャーチームの司令塔となり、リベロとしてディフェンスからオフェンスにテクニックとフィジカルそして柔軟性でチャンスを作り出し、ピンチの訪れを防いだ。ゲームは2対0でトップチームの勝利だったけれど、その得点は2点とも前半での得点であり、後半、愛翔が出場後は失点もなく、得点こそできなかったものの何度もトップチームのゴールを脅かした。
「いや、みんなが俺のいう事を聞いてくれたのも大きいですから」
愛翔が”ただ”と小声で続ける。
「イタリアのチームに合流するのにイタリア語が全くできないプレイヤーがあれほど居たのは想定外でしたが」
「そう言うな。みなサッカーのレベルを上げるのに必死でそこまで頭が回らなかったんだろう。だからというわけじゃないが、サッカーのレベルは相当なものだっただろう」
「え、ええ、誰もかれもがJなら少なくともリザーブ枠、チームによってはトップに居ても不思議の無いレベルですね。それに俺みたいに突然合流した人間の言葉に耳を傾ける柔軟性もある」
そんなことを愛翔がミケル・レガスと話していると、突然愛翔の後ろから誰かが飛びついてきた。
「アイーおまえスゲーな。プレーもドリブルは魔法みたいだし、ゲームメイクやパスワークは幾つ目があるんだって感じなうえ、言葉はイタリア語も英語もペラペラだしポルトガル語まで3か国語も出来るってしんじられねえよ」
いきなり愛翔にニックネームを付けて呼びスキンシップが激しいのはボランチのホセ・フェルナンデス。随分と愛翔が気に入ったようだ。
「俺はブラジル人なんでな、ポルトガル語しか話せない。海外に出るのに必要だって英語の勉強を少ししたんだけど、まだまともに話せないんだ。チームの人間たちともコミュニケーションが取れなくて困ってたんだ」
「いや、ここイタリアだからな。なんでイタリア語を覚えなかったんだよ。同じ片言でもイタリア語の方がマシだろう」
愛翔の指摘にホセは横を向き右手で頭を掻き、ばつの悪そうな顔をした。
「いや、サッカーだけならどうにかなるって思って……」
愛翔は苦笑しつつ”まあサッカーだけならって思うのは分からないではないけど”
「で、動きながらだと身についてない言葉は大変だっただろ」
「そうなんだよ。で、ああなったんだ。なんで今日はアイーが入ってくれてやりやすかったよ。これからもよろしくな」
そんな雑談をしていると、横からニコラが声を掛けてきた。
「スミヨシ、一緒に昼飯に行かないか」
「あ、連れがいるんだけど、それでよければ一緒させてくれ。まだ来たばかりで街の様子わからないし、教えてくれると助かる」
「連れ?良いぞ。どのみち大人数だからな」
”うう?大人数?”と愛翔が疑問を感じたところで、ニコラがチャレンジャーチームのメンバーに向かって声を掛ける。
「スミヨシ行くってよ。いつものバールでいいよな」
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