上 下
258 / 314

第258話 悪意の園

しおりを挟む
「くそぉ、ムカつく」
部室棟の空き部屋で男子生徒がグチグチと怨嗟の言葉を吐き出し続けている。足元にあった古いゴミ箱を蹴飛ばし、テーブルの上にあった空き缶を投げ飛ばす。
「なんでだよ。なんであいつらは当たり前に学校生活を送れるんだ。普通違うだろ。あんな写真が雑誌に載ったら否定されて非難されて爪弾きにあうものだろ。なんで学校中があいつらの味方なんだよ」
「仕方ないわ。学校内ではトップオブトップだもの。でも世間ではそうはいかないでしょ」
目を細め薄い唇を歪にゆがめた女子生徒がなだめた。そして歪んだ笑顔で続ける。
「それも、プロスポーツ選手なんて人気商売だからね」
「アハハ!確かに。噂じゃJ契約直前だったらしいけど、これでパーだろ」
さらにクククと醜く笑いながら
「そして、あの女たちも自分達の存在で自分の男が挫折するのを目の当たりにすれば、あははは」
「なあ、あの天使様と女神様をいっそやっちまわないか」
「ああ、ああ、いっそ。いやダメだ。くそ忌々しいことに校内でも校外でもガードがきつすぎる。校内では常時あのくそ忌々しい女子バスケットボール部の連中がべったり貼りついているし、校外では常に住吉が一緒に行動している。J昇格を邪魔できたとはいえ、プロで通用するフィジカルだ。なめてかかれるものじゃない。誰か1人でもつかまってみろ本人が口を割らなくても簡単に俺たちにたどり着くだろう。トカゲのしっぽにやらせるのとは違うんだからな。くそ、そういうところも忌々しいぜ」
「そういう意味ではハロウィンパーティーは、よかったわね。ちょっと金掴ませたら簡単に盗撮するって向かったからな」
「でも、住吉につかまったからデータは取れなかったんだろ」
「ああ、そういう意味では失敗だったが、あのやり方なら俺たちにまでたどれないってのが分かったからな。テストって考えれば成功だろ」
「じゃあ、なんで住吉の自宅盗撮は自分でやったんだよ。あれこそ尻尾にやらせた方がよかったんじゃないか?」
「さすがに、あれをやらせられる奴が見つからなかったんだよ。でも直接自分で撮影してないからな。バレねぇって。もうカメラも回収したしな」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

粗暴で優しい幼馴染彼氏はおっとり系彼女を好きすぎる

春音優月
恋愛
おっとりふわふわ大学生の一色のどかは、中学生の時から付き合っている幼馴染彼氏の黒瀬逸希と同棲中。態度や口は荒っぽい逸希だけど、のどかへの愛は大きすぎるほど。 幸せいっぱいなはずなのに、逸希から一度も「好き」と言われてないことに気がついてしまって……? 幼馴染大学生の糖度高めなショートストーリー。 2024.03.06 イラスト:雪緒さま

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~

ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。 2021/3/10 しおりを挟んでくださっている皆様へ。 こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。 しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗) 楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。 申しわけありません。 新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。 修正していないのと、若かりし頃の作品のため、 甘めに見てくださいm(__)m

社長から逃げろっ

鳴宮鶉子
恋愛
社長から逃げろっ

10 sweet wedding

国樹田 樹
恋愛
『十年後もお互い独身だったら、結婚しよう』 そんな、どこかのドラマで見た様な約束をした私達。 けれど十年後の今日、私は彼の妻になった。 ……そんな二人の、式後のお話。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?

石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。 ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。 ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。 「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。 扉絵は汐の音さまに描いていただきました。

処理中です...