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第238話 データ

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ハロウィンパーティーでの模擬結婚式はあっという間に噂が広がり進学校である光野高校であっても大きな話題となっていた。結果。
「住吉、華押、橘。文武両道のお前たちなので多少の事は目を瞑るが、今回の事は少々やりすぎだ。そしてそれに加担した女子バスケットボール部、軽音楽部もな結果を出しているから多少のお目こぼしはあったんだが」
愛翔たち3人、そして女子バスケットボール、軽音楽部のメンバーは生徒指導室に呼ばれていた。
「結婚式の仮装までは構わなかった。なんなら式次第もな。しかし、あれだけ衆人環視の中でのキスはダメだ。もちろん住吉、華押、橘の3人が仲が良く日常的にキスしているなんてのは知っているし、プライベートでの事までは言わんが、あれだけ公の中ではな」
生活指導の鈴木がため息まじりに指摘をする。”さすがにあれはやりすぎだったか”と愛翔が口を開く。
「申し訳ありません。ハロウィンパーティーでとは言え行き過ぎた行動でした。謝罪します。また今後同様の事をしないよう注意します」
愛翔が頭を下げると、続いて桜と楓も頭をさげた。
「申し訳ありません」
更に女子バスケットボール部、軽音楽部からも反省の言葉がでる。
「私たちが、煽ったため行き過ぎました。申し訳ありません」
全員が頭を下げたところで鈴木も表情を緩めた。
「まあ、気持ちは分かるがあまり盛大にやるなよ。今後は気を付けるように。女子バスケットボール部、軽音楽部は帰って良いぞ」
愛翔たち3人と鈴木だけが残った生徒指導室で、少しばかり緊張感が生まれた。
「その、俺たち3人が残されたのは?」
居心地の悪い中、愛翔が口を開くと、鈴木は軽く手を振り
「いや、後はさっきの事じゃない。ハロウィンパーティーで盗撮されただろう、その件に関してだ」
愛翔としてはあれで終わったつもりだったため意外だと目を見張り
「あれ以外に何かあるんですか?」
「とりあえず見てくれ」
そう言うと鈴木はノートパソコンを手元に引き寄せ立ち上げた。
その画面には様々な写真、それも明らかに盗撮と分かる写真が並んでいた。”とは言っても特定の人物が写っている以外は街角のスナップショットと言い切られればそれまでか”と愛翔が考えたところで、切り替わったページに写っていたのは愛翔の部屋を訪れる桜の写真、楓の写真。愛翔の部屋から制服で3人一緒に出掛けようとしている写真。その他にもそれを見れば愛翔、桜、楓がほぼ同棲に近い状態だと判断されるであろう写真の数々。
「これは……」
「君たち3人の写真の内容については敢えて言わないが、これだけでも法的にかなりきわどいんだが」
そして問題なのは
「このメモリーカードを所持していた生徒、山本緑(やまもと みどり)は、自分の物ではないと言い張っている」
鈴木の言葉に愛翔が続ける
「つまり、裏に主犯がいると」
愛翔の言葉に鈴木は頷き。
「しかも、山本がそいつと会った時には顔を見ていないそうだ」
「データもこれだけとは限らない……か」
愛翔もため息をついた。
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