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第200話 女子バスケットボール部のIH⑤

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体育館のエントランスホール、桜を中心として光野高校女子バスケットボール部のメンバーが喜びに沸いている。
「やったわね。これで2回戦突破よ」
末成が満面の笑みで喜びの声をあげる。スモールフォワード水野真弓(みずの まゆみ)が、感極まって桜に抱きつく。抱きつかれた桜は目を白黒させている。シューティングガードを任されている唯一の2年生香川恵梨香も涙目だ。パワーフォワードの表真紀子(おもて まきこ)だけが表情を変えていない。
そんなところに愛翔と楓が顔をだした。
「よ、女子バスケットボール部2回戦突破おめでとう」
「おめでとう。みんなかっこよかったよ」
2人の声に最初に反応したのはやはり桜で、愛翔の胸に飛び込んでいく。
「あいとー、勝てたよお」
「ああ、見てたよ。桜、大活躍だったな」
甘えてくる桜を愛翔は愛おし気に抱き寄せ、頭を撫でる。そんな2人を楓も横で見て嬉しそうだ。
そんな3人を見て香川が思わずという感じで口を開いた。
「先輩たち3人の関係ってどういう感じなんです?」
「俺たちの関係か……」
愛翔はもはや半ば以上決めていたけれど、だからと言って簡単に口に出来るものでは無く。
「まあ、見ての通りだな。幼馴染2人をはべらすクズ男?」
「違うわよ」
「違うでしょ」
愛翔の言葉に桜と楓から即否定の言葉が飛ぶ。
「いや、でもなあ。俺たちの中では違っても、第3者視点で見られたらな。別に俺はどう見られてもお前たちと一緒に居られるのなら気にしないけど」
「あたしだってそうよ。楓だって。でもだからと言ってそういう言い方しないで」
「私にしても桜にしても望んでこうしているのよ。それを愛翔がそういう言い方するのは私達としては許せないかな」
桜と楓の猛攻に愛翔は白旗をあげる。
「わかった。2人の想いは分かってるから、冗談でも言わないようにする」
両手を上げる愛翔に今度は両側から抱きつき頬にキスを落とす桜と楓。
「そ、冗談でもそれはやめてね。あたしも楓も愛翔の事大好きなんだから」
「そうよ、愛翔の事愛してるし、桜の事も大切なんだから。だからこその今の関係なの。これは愛翔だけじゃない、私と桜も望んだ関係なんだからね」
「と、まあ言葉には出来にくいけれど、こういう関係だよ」
そんなやり取りを見守っていた女子バスケットボール部の面々に愛翔が声をかける。
「はあ、もう入り込む余地ないくらい想い合っているのはわかったわ」
きっかけとなった香川もその幸せそうな様子に言葉を失っていた。
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