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第199話 女子バスケットボール部のIH④
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愛翔と楓がコートサイドで見守る中、桜たち女子バスケットボール部の2回戦が始まった。
「相手チームの方が少しばかり高さがあるかな」
「そうね、でも動きでは桜たちの方が良さそうよ」
2人の言葉が終わる前にジャンプボールで試合が始まった。双方のジャンパーが飛ぶ。身長差を利した相手チームのジャンパーが自陣にボールを飛ばす。
そこでチームメンバーが自陣の守りに戻るなか桜がスルスルと相手チームの間を抜ける。光野チームメンバーは苦笑いをしながらポジションにつく。そして相手チームが明確に桜を認識した時にはボールを持ちドリブルでゆったりとその歩を進めていた選手はパスコースを全て潰されていることに気づいた。慌てて躱そうとしたところに桜が飛びつく。電光石火のスティール。そこからは速かった。あっという間の俊足のドリブルでゴール下に入ると見事なフォームでジャンプシュートを決める。
そして桜は、呆然とする相手チームの面々の間を軽やかな足取りで抜け、チームメンバーの元に戻り
「Give me five!!」
「Year!!」
得点した時の桜のいつも通り。チームメンバーとハイタッチを交わす。そして
「ディフェンス1本。守っていこう」
これもいつも通り。チームのエースで、ムードメーカーで司令塔。そのスピードとテクニックでディフェンスからオフェンスまでハイレベルでこなすオールラウンダー。豊富な運動量で優位をつくり、時にピンチをひっくり返す。桜の活躍でチームも動きにリズムが生まれ十分に実力を発揮し始める。足が動く、声が出る、連携によどみがなく素早いパスワークで相手陣内に切り込む。リバウンド争いで末成がボールを支配下に置きあっという間にシュートを決める。末成がインサイドを荒らし警戒心を集める、桜への注意が僅かに下がったとたんにスリーポイントライン外で桜がシュートモーションに入る。さすがにフリーではうたせないと相手チームがディフェンスに入る。桜がジャンプするそこに相手チームのセンターの腕が伸びる。桜の身体が後ろに倒れるように下がりながらシュート。かつて愛翔もバスケットボールで得意としていたフェイドアウェイシュート。ボールは綺麗な弧を描き”パサリ”ゴールに吸い込まれた。シュートをうった桜自身は勢い余った相手センターに押されバランスを崩す。それでも
「バスケットカウント!!」
実はこれが怖い。相手のファールを誘いながらシュートを決める。これにより桜のシュートに対するディフェンスの動きに迷いが生じる。それは徐々に相手のプレイに歪みをもたらし、いつの間にか……
ファーストクォーター26対22、セカンドクオーター51対30、サードクォーター75対43、そして
「98対51。光野高校の勝ち」
「「ありがとうございました。」」
そして1回戦であったのと同様のシーンが……。違った、相手チームから1人離れて桜に近寄ってきた選手がいる。
「あ、あの」
「あら、あなたはポイントガードの……。何かしら?」
少しばかり戸惑いながら桜が返事をすると。ゲーム直後勝者から敗者に掛ける言葉は無いからこその戸惑い。
「竹原美奈子(たけはら みなこ)と言います。あなたのプレー素敵でした。私達はここで終わりですけど私たちの分まで頑張ってください」
ペコリと腰を折りお辞儀をすると笑顔で手を振りながらチームに合流していった。
「相手チームの方が少しばかり高さがあるかな」
「そうね、でも動きでは桜たちの方が良さそうよ」
2人の言葉が終わる前にジャンプボールで試合が始まった。双方のジャンパーが飛ぶ。身長差を利した相手チームのジャンパーが自陣にボールを飛ばす。
そこでチームメンバーが自陣の守りに戻るなか桜がスルスルと相手チームの間を抜ける。光野チームメンバーは苦笑いをしながらポジションにつく。そして相手チームが明確に桜を認識した時にはボールを持ちドリブルでゆったりとその歩を進めていた選手はパスコースを全て潰されていることに気づいた。慌てて躱そうとしたところに桜が飛びつく。電光石火のスティール。そこからは速かった。あっという間の俊足のドリブルでゴール下に入ると見事なフォームでジャンプシュートを決める。
そして桜は、呆然とする相手チームの面々の間を軽やかな足取りで抜け、チームメンバーの元に戻り
「Give me five!!」
「Year!!」
得点した時の桜のいつも通り。チームメンバーとハイタッチを交わす。そして
「ディフェンス1本。守っていこう」
これもいつも通り。チームのエースで、ムードメーカーで司令塔。そのスピードとテクニックでディフェンスからオフェンスまでハイレベルでこなすオールラウンダー。豊富な運動量で優位をつくり、時にピンチをひっくり返す。桜の活躍でチームも動きにリズムが生まれ十分に実力を発揮し始める。足が動く、声が出る、連携によどみがなく素早いパスワークで相手陣内に切り込む。リバウンド争いで末成がボールを支配下に置きあっという間にシュートを決める。末成がインサイドを荒らし警戒心を集める、桜への注意が僅かに下がったとたんにスリーポイントライン外で桜がシュートモーションに入る。さすがにフリーではうたせないと相手チームがディフェンスに入る。桜がジャンプするそこに相手チームのセンターの腕が伸びる。桜の身体が後ろに倒れるように下がりながらシュート。かつて愛翔もバスケットボールで得意としていたフェイドアウェイシュート。ボールは綺麗な弧を描き”パサリ”ゴールに吸い込まれた。シュートをうった桜自身は勢い余った相手センターに押されバランスを崩す。それでも
「バスケットカウント!!」
実はこれが怖い。相手のファールを誘いながらシュートを決める。これにより桜のシュートに対するディフェンスの動きに迷いが生じる。それは徐々に相手のプレイに歪みをもたらし、いつの間にか……
ファーストクォーター26対22、セカンドクオーター51対30、サードクォーター75対43、そして
「98対51。光野高校の勝ち」
「「ありがとうございました。」」
そして1回戦であったのと同様のシーンが……。違った、相手チームから1人離れて桜に近寄ってきた選手がいる。
「あ、あの」
「あら、あなたはポイントガードの……。何かしら?」
少しばかり戸惑いながら桜が返事をすると。ゲーム直後勝者から敗者に掛ける言葉は無いからこその戸惑い。
「竹原美奈子(たけはら みなこ)と言います。あなたのプレー素敵でした。私達はここで終わりですけど私たちの分まで頑張ってください」
ペコリと腰を折りお辞儀をすると笑顔で手を振りながらチームに合流していった。
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