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第182話 気付かないフリが精いっぱい
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「あら吉澤君じゃない。2年ぶりね。その様子だとうちの学校に入学したのね。おめでとう」
楓のサラリとした対応、そして愛翔に抱きついている状況に吉澤が口ごもる。
「楓の知り合いか?新入生代表で挨拶していたから、その吉澤君だっけ?は今年の首席だな。って楓もさっき入学式見てただろ。気付かなかったのか」
愛翔が明るい笑顔で会話に入る。そこに桜は微妙な顔で愛翔の腕をチョイチョイとつついた。
「ん?」
愛翔が桜に視線を向け、桜の微妙な表情になるほどと納得の表情に変わる。
”さて、どうしたものかな”ここで大げさにするわけにもいかず愛翔も考え込んだ。愛翔としても楓を簡単に手放すつもりはない。かと言って愛翔が何か言うのも現状では違う気がする。
そして結局出した結論は
「俺はこれからクラブに顔を出すけど桜と楓はどうする?」
普段と変わらない事だった。
「あたしは今日は部活休みだから応援に行くわよ」
「私も軽音部休みだから行くね。あ、お昼ご飯は?」
「ん、まあ適当にどっかで弁当でも買っていくつもり」
「え、買い弁なんてしなくても私が作ってあげるわよ」
「あ、楓ずるい。あたしも一緒に作るわよ」
キャイキャイと楽しそうに話す桜と楓の姿に今回はあきらめたというように吉澤は黙って背を向け去っていった。
「で、さっきの後輩君、吉澤君と言ったっけ。どういう人?」
愛翔がこっそりと桜に聞いている。
「中学時代に楓が美術部に所属していたのは覚えている?」
「ああ、入学直後の見学に俺と桜も一緒に行ったよな」
「その美術部の後輩なんだけどね」
「ああ、あれか、面倒見てるうちに勘違いされたってやつ?」
「ううん、勘違いされてはいないよ。あたしが見てた限りでは吉澤君が一方的に熱を上げてた感じね」
「で、楓は気付いてるよな」
「もちろん。でも告白されたわけでもないのに振るっていうわけにもいかないでしょ。だから気付いていないフリをするのが精いっぱいだったのよ。成績もふつうだったようだし楓もまさか高校まで追いかけてくるとは思ってなかったんじゃないかしら」
楓のサラリとした対応、そして愛翔に抱きついている状況に吉澤が口ごもる。
「楓の知り合いか?新入生代表で挨拶していたから、その吉澤君だっけ?は今年の首席だな。って楓もさっき入学式見てただろ。気付かなかったのか」
愛翔が明るい笑顔で会話に入る。そこに桜は微妙な顔で愛翔の腕をチョイチョイとつついた。
「ん?」
愛翔が桜に視線を向け、桜の微妙な表情になるほどと納得の表情に変わる。
”さて、どうしたものかな”ここで大げさにするわけにもいかず愛翔も考え込んだ。愛翔としても楓を簡単に手放すつもりはない。かと言って愛翔が何か言うのも現状では違う気がする。
そして結局出した結論は
「俺はこれからクラブに顔を出すけど桜と楓はどうする?」
普段と変わらない事だった。
「あたしは今日は部活休みだから応援に行くわよ」
「私も軽音部休みだから行くね。あ、お昼ご飯は?」
「ん、まあ適当にどっかで弁当でも買っていくつもり」
「え、買い弁なんてしなくても私が作ってあげるわよ」
「あ、楓ずるい。あたしも一緒に作るわよ」
キャイキャイと楽しそうに話す桜と楓の姿に今回はあきらめたというように吉澤は黙って背を向け去っていった。
「で、さっきの後輩君、吉澤君と言ったっけ。どういう人?」
愛翔がこっそりと桜に聞いている。
「中学時代に楓が美術部に所属していたのは覚えている?」
「ああ、入学直後の見学に俺と桜も一緒に行ったよな」
「その美術部の後輩なんだけどね」
「ああ、あれか、面倒見てるうちに勘違いされたってやつ?」
「ううん、勘違いされてはいないよ。あたしが見てた限りでは吉澤君が一方的に熱を上げてた感じね」
「で、楓は気付いてるよな」
「もちろん。でも告白されたわけでもないのに振るっていうわけにもいかないでしょ。だから気付いていないフリをするのが精いっぱいだったのよ。成績もふつうだったようだし楓もまさか高校まで追いかけてくるとは思ってなかったんじゃないかしら」
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