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第173話 ダブル司令塔
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「リベロはともかくリベロ司令塔?そんなの聞いたこと無いんですが」
愛翔が困惑顔で織部に問いかける。
「そりゃそうだろう。俺が考えたようなもんだ。動きの激しいリベロに司令塔なんざ負担も大きいからな。ま、今は頭の隅に置いておくだけで良い。今日はテストパターンだ。それに明日からやれって話でもない。まずは住吉の身体が十分に戻ってからだな」
「で、リベロってポジション的には普通はセンターバックですよね。俺もセンターバックで行くんですか?」
「さっきも言ったが、ポジションの縛りは無しだ。ただ、いきなりじゃやりにくいだろうからな、スタートはいつも通りライトウィングで、動き出したら自由にやれ」
「いきなり自由にって言われても、元々スピードタイプのアタッカーでしかないですから」
愛翔はさすがにいきなりの提案に戸惑いが隠せない。
「おまえ、フォワードだからってディフェンスのとき少し遠慮してるだろ。その遠慮を無くせばいい。それだけだ」
「住吉、頼むぞ」
「久しぶりのハーフゲーム。暴れてやれ」
チームメイトが愛翔の背中をバンバンと叩きながらピッチに出ていく。愛翔も自分の頬を両手でパシンと叩き
「よし、行くか」
ピッチに向かった。ピッチに向かう長い廊下で愛翔はフッと立ち止まった。振り向きざまに時枝に拳を突きつけニヤリと笑う。時枝も応じて拳を突き出し、愛翔の拳にガツンとぶつけた。
ピッチに足を踏み入れるチームメンバーたち。
「芦田ー」
「時枝さーん」
「住吉ー」
アウェイゲームであるにも関わらず多くの声援が飛ぶ。その中に
「あいとー、頑張ってー」
「愛翔、見てるからね」
桜と楓の声は愛翔にとって特別でどんな大声援の中でも聞き取れるのではないかというほど。サポーター席にいる2人に向けて笑顔で手を振る。その周りではチームメンバーの言うチーム住吉、丘、高野、加藤、新本、そして理沙が声援を送っていた。
後半開始間近、ポジションに着く両チーム。
「お、おい。住吉がもういるぞ」
「あいつは後半それも20分すぎないと出てこないんじゃなかったのか」
東京バンデットFCのメンバーが動揺を隠しきれていない。
愛翔はそんな状態を見渡し、時枝に声を掛ける。
「東京バンデットFCの連中、随分と浮足立ってるな」
「はは、いつも後半のそれも終盤じゃないと登場しなかった住吉が後半の頭からピッチにいるからな。俺があっち側でも動揺するって」
時枝の返しに愛翔は少しばかり首をひねった。
「そんなもんか?」
「無自覚かよ。ステラスターFCU18のエース」
まあいいかと切り替え愛翔は続ける。
「どんなんでも構わんけど、せっかく相手が動揺してくれてるんだ、利用しない手はないだろ」
「当然だな」
やや黒い笑顔を交わす愛翔と時枝。そこは軽く打ち合わせをしてポジションに散っていった。
愛翔が困惑顔で織部に問いかける。
「そりゃそうだろう。俺が考えたようなもんだ。動きの激しいリベロに司令塔なんざ負担も大きいからな。ま、今は頭の隅に置いておくだけで良い。今日はテストパターンだ。それに明日からやれって話でもない。まずは住吉の身体が十分に戻ってからだな」
「で、リベロってポジション的には普通はセンターバックですよね。俺もセンターバックで行くんですか?」
「さっきも言ったが、ポジションの縛りは無しだ。ただ、いきなりじゃやりにくいだろうからな、スタートはいつも通りライトウィングで、動き出したら自由にやれ」
「いきなり自由にって言われても、元々スピードタイプのアタッカーでしかないですから」
愛翔はさすがにいきなりの提案に戸惑いが隠せない。
「おまえ、フォワードだからってディフェンスのとき少し遠慮してるだろ。その遠慮を無くせばいい。それだけだ」
「住吉、頼むぞ」
「久しぶりのハーフゲーム。暴れてやれ」
チームメイトが愛翔の背中をバンバンと叩きながらピッチに出ていく。愛翔も自分の頬を両手でパシンと叩き
「よし、行くか」
ピッチに向かった。ピッチに向かう長い廊下で愛翔はフッと立ち止まった。振り向きざまに時枝に拳を突きつけニヤリと笑う。時枝も応じて拳を突き出し、愛翔の拳にガツンとぶつけた。
ピッチに足を踏み入れるチームメンバーたち。
「芦田ー」
「時枝さーん」
「住吉ー」
アウェイゲームであるにも関わらず多くの声援が飛ぶ。その中に
「あいとー、頑張ってー」
「愛翔、見てるからね」
桜と楓の声は愛翔にとって特別でどんな大声援の中でも聞き取れるのではないかというほど。サポーター席にいる2人に向けて笑顔で手を振る。その周りではチームメンバーの言うチーム住吉、丘、高野、加藤、新本、そして理沙が声援を送っていた。
後半開始間近、ポジションに着く両チーム。
「お、おい。住吉がもういるぞ」
「あいつは後半それも20分すぎないと出てこないんじゃなかったのか」
東京バンデットFCのメンバーが動揺を隠しきれていない。
愛翔はそんな状態を見渡し、時枝に声を掛ける。
「東京バンデットFCの連中、随分と浮足立ってるな」
「はは、いつも後半のそれも終盤じゃないと登場しなかった住吉が後半の頭からピッチにいるからな。俺があっち側でも動揺するって」
時枝の返しに愛翔は少しばかり首をひねった。
「そんなもんか?」
「無自覚かよ。ステラスターFCU18のエース」
まあいいかと切り替え愛翔は続ける。
「どんなんでも構わんけど、せっかく相手が動揺してくれてるんだ、利用しない手はないだろ」
「当然だな」
やや黒い笑顔を交わす愛翔と時枝。そこは軽く打ち合わせをしてポジションに散っていった。
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