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第141話 それでも渡さない
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クリスマスイブ、日米交流戦の当日。
「ここは日本チームのサポーター席ですけど」
試合開始直前に現れたクリスとケイトに警戒心をあらわにする桜。
「初めてきた場所で迷ったのなら、アメリカチームのサポーター席は、反対側よ」
楓も2人に対しては敵対心を隠さない。
「あら、あたし達はアイトの応援をしたくて日本に来たのよ。となればこちらで応援するのが当然じゃないかしら?」
クリスの言いように一瞬言葉を失った桜と楓だったけれど、楓はすぐに心を立て直し反論をする。
「あなた達はアメリカチームのサポーターとして来ているのでしょう。個人的な感情はともかく、それがここに居ること自体おかしいし、場合によってはスパイ扱いされるわよ。そうしたら愛翔に対しても迷惑になるのも分からないのかしら」
「な、あたし達はスパイなんかしないわよ」
ケイトがとんでもないと反論するけれど、その声はやや弱弱しい。
「本当はあなた達だって分かっているのでしょう。問題はあなた達が本当にスパイをするかどうかでは無いって事。第3者視点でそうありうるって言うだけでダメなんだってこと」
クリスもケイトもこれには反論せず目を伏せた。そして何も言わずに日本サポーター席から出ていった。
「あの子達、本当は何しに来たのかしら?」
桜がどうにもわからないと首をかしげるが、楓は別の意見のようで
「多分、愛翔の応援をしたかったのは本当だと思う。できれば私たちをけむに巻いてこちらの席に居座るつもりだったのよ。そしてそのまま日本チームと行動を共にしてあわよくば愛翔のそばにってところでしょうね」
「そこまでするの?」
「するでしょう。逆の立場なら私たちだって似たような事をするんじゃないかしら?それとも桜は愛翔の応援できない席で愛翔の試合を見たい?それもアメリカから日本に来てまで」
「う、そんなの嫌。あたしは、あたしが応援するのは愛翔だもの。そっかあの子達がこっちに来た理由は分かった。分かったけど……」
桜は理由には納得したものの、その行為を認めるつもりはない。
「それでも、やっぱり愛翔は渡さない」
桜がつぶやき、楓も
「そんなの当たり前じゃないの。私だって。それに念のため言っておくけど、桜にだって渡すつもりないからね」
そしてフッと表情を緩め
「でももし愛翔が桜を選んだら、それは祝福してあげる。桜以外は……」
そして試合開始のホイッスルが響いた。
「ここは日本チームのサポーター席ですけど」
試合開始直前に現れたクリスとケイトに警戒心をあらわにする桜。
「初めてきた場所で迷ったのなら、アメリカチームのサポーター席は、反対側よ」
楓も2人に対しては敵対心を隠さない。
「あら、あたし達はアイトの応援をしたくて日本に来たのよ。となればこちらで応援するのが当然じゃないかしら?」
クリスの言いように一瞬言葉を失った桜と楓だったけれど、楓はすぐに心を立て直し反論をする。
「あなた達はアメリカチームのサポーターとして来ているのでしょう。個人的な感情はともかく、それがここに居ること自体おかしいし、場合によってはスパイ扱いされるわよ。そうしたら愛翔に対しても迷惑になるのも分からないのかしら」
「な、あたし達はスパイなんかしないわよ」
ケイトがとんでもないと反論するけれど、その声はやや弱弱しい。
「本当はあなた達だって分かっているのでしょう。問題はあなた達が本当にスパイをするかどうかでは無いって事。第3者視点でそうありうるって言うだけでダメなんだってこと」
クリスもケイトもこれには反論せず目を伏せた。そして何も言わずに日本サポーター席から出ていった。
「あの子達、本当は何しに来たのかしら?」
桜がどうにもわからないと首をかしげるが、楓は別の意見のようで
「多分、愛翔の応援をしたかったのは本当だと思う。できれば私たちをけむに巻いてこちらの席に居座るつもりだったのよ。そしてそのまま日本チームと行動を共にしてあわよくば愛翔のそばにってところでしょうね」
「そこまでするの?」
「するでしょう。逆の立場なら私たちだって似たような事をするんじゃないかしら?それとも桜は愛翔の応援できない席で愛翔の試合を見たい?それもアメリカから日本に来てまで」
「う、そんなの嫌。あたしは、あたしが応援するのは愛翔だもの。そっかあの子達がこっちに来た理由は分かった。分かったけど……」
桜は理由には納得したものの、その行為を認めるつもりはない。
「それでも、やっぱり愛翔は渡さない」
桜がつぶやき、楓も
「そんなの当たり前じゃないの。私だって。それに念のため言っておくけど、桜にだって渡すつもりないからね」
そしてフッと表情を緩め
「でももし愛翔が桜を選んだら、それは祝福してあげる。桜以外は……」
そして試合開始のホイッスルが響いた。
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