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第140話 宣戦布告

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「愛翔、どういう事かしら?」
桜の冷えた声が響く。
「説明してもらえるわよね。その娘たち、いつかのインタビューで愛翔に抱きついていた娘たちよね」
楓が感情を抑えた低い声で愛翔に問いただす。愛翔ははぁとため息をつき天井を見上げた。とはいえ仕方ないとばかりに口を開く。
「ああ、まあとりあえず紹介からな。ふたりとも俺がアメリカのハイスクールに居た頃の友達。こっちの蜂蜜色の髪の細身長身がクリスティーナ・エル・フランク、愛称はクリス。んでストロベリーブロンドの小柄なほうがケイト・ローレン・ソーンダース、愛称てか呼び名はケイトな。どっちも距離感が近いけど、友達」
そしてクリスとケイトに向き合い更に口を開く
「ここにいるのがアメリカに居る時にも話しただろう。幼馴染で、俺が好きな子だ。こっちの栗色の髪でショートカットのほうが華押桜。んでこっちの黒髪の子が橘楓。2人とも俺の家族枠で日本チームのサポーターとして来てくれてる」
愛翔が好きとはっきり表現した途端に桜と楓からのプレッシャーがなくなった。そして極めて自然な動作でいつもの通り愛翔の腕に抱きつく桜と楓。
「愛翔が好きなのはあたしと楓」
「まだ選んでもらってないけど。あなた達になんか渡さない」
桜と楓がクリスとケイトに向けて宣言した。
「ふーん、帰国したらすぐにステディになりそうな話を聞いていたけど。まだなんだ」
クリスはカイルから聞いた話をいかにも愛翔から聞いたかのような言い方で笑顔で口にした。これは桜にとって特に厳しい言葉だった。そして
「ステディでないなら、あたしがアタックして奪っても文句は言わせないわ」
ケイトの堂々たる宣戦布告。そして
「あたしだってアイトをあきらめるつもりは無いから」
そんな女どうしの戦争が勃発したところに、いくらなんでもと愛翔が割って入る。
「クリス、そしてケイト。俺がアメリカに居た頃からアタックしてたのを揶揄いだと思って流していたのは謝る。ごめん。でもクリスやケイトをそういう対象には見られない」
そんな愛翔の言葉にもクリスもケイトもあきらめるつもりは無いようで。
「今の愛翔の気持ちはそうでも、変えさせて見せるもの。あたしはアイトが好き。その気持ちにウソはないから」
愛翔の頬をそっと撫でながらクリスが宣言し、
「あたしだってこんな気持ち初めてなんだから。忘れられない。きっと振り向いてもらうつもりだから」
ケイトもそう言いながら
「でも、ここでこれ以上の騒ぎにするとアイトが困るわよね。だから今日は引いてあげる。でも覚悟しておいてねアイト」
ケイトの言葉を最後にクリスも離れていった。
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