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第133話 1位

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「今日から順次テスト結果が返却される。結果次第で追試験または放課後の補習授業の強制参加券が当たるからな。上位50位までの成績優秀者は、いつもの掲示板に張り出されるからな」
朝のSHRをクラス担任の篠原が締めくくった。
「ぐあぁ、いらねぇ。そんな参加券も同じギャグで締める担任もいらねぇ」
「た、多分大丈夫。きっと、おそらく……」
「もう手遅れ……」
篠原の言葉に過剰に反応するもの、聞き流すもの、様々な反応をみせつつ中間試験後の日常が始まった。
「英語リーダーのテストを返却する。名前を呼ばれた順に取りに来ること」
「華押桜、住吉愛翔、橘楓、100点」
名前を呼ばれ、答案用紙を受け取ると軽くハイタッチを交わす3人。
「中学時代はあたしの方が英語よかったのにな」
クスリと笑いながら桜がこぼしたけれど
「まあリーダーはな」
「そうね、リーダーはね」
愛翔と楓が苦笑交じりに返す。
「俺の場合は特に文法がな」
「でもアメリカにいたんだから……」
言いかける桜に愛翔は
「うん、アメリカにいたからこそ文法って日本みたいに過去分詞だとか完了形だとかって言葉にしてきてないんだよ。だからすり合わせるのが結構大変でね」


「数1のテストを返却……」
「住吉愛翔、橘楓、100点」

「英語文法のテストを……」
「華押桜、100点」

「現代文の……」
「住吉愛翔、100点」
教室内がざわつく。普段の授業で愛翔が優秀なのは感じていたし、桜と楓の優秀さは1学期に知られていたけれども
「あの3人は化け物か、この学校のテストで100点連発とか……」
「勉強だけならともかく運動や音楽も出来て……」

そして職員室そばの掲示板に成績優秀者が掲示された。
1年生10科目総合順位
3位 橘楓   941点
2位 住吉愛翔 943点
1位 華押桜  946点

「ああ、また桜に負けたあ」
「俺も結構手ごたえよかったんだけどな」
愛翔と楓が桜の成績に敗北感を感じていたけれど、
「5点差なんて誤差範囲よ。それに愛翔なんて古文とか漢文とかアメリカではやってきてない科目もあったんだから、そのあたりまで考えたら実質的な1位は愛翔じゃないの?」
桜の言葉も分からないではないけれどと愛翔が口にするのは
「いや、その分英語とか有利だからな。やっぱり実力だって」
「それでも……」
桜が続けようとするけれど
「でも、いつまでも弱点科目にしておくつもりはないからな、期末試験では逆転しているかもな」
愛翔が冗談交じりにこれで終わりとばかりにウィンクをし桜を抱き寄せた。
「1位おめでとう。桜の努力の結果だよ」
「そうそう、あまり謙遜されると負けた私たちの方が困っちゃうんだから、桜は堂々と1位だって言っていればいいのよ」
結局いつも通りの幼馴染3人の雰囲気に戻ったところで愛翔の目が他学年の成績優秀者リストをとらえた
「あれ?」
そんな愛翔の反応に桜と楓も視線を追った。その視線の先にあったものは2年生の成績優秀者。
2年生10教科総合順位
1位 丘ゆう子 967点
2位との差40点以上の圧倒的な1位だった。
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