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第115話 それぞれの想いを込めて
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「住吉がフリーになってるぞ。マーク、マーク」
ミニゲーム形式の練習中、愛翔には2人マークがつけられている。それを巧みなフェイントで引きはがす愛翔。
「ヘイ!時枝こっちだ」
同じく2人マークをつけられ前に出られずにいる時枝にアピールする愛翔。その愛翔の声に時枝についていたマークが一瞬だけ気を取られた。そのスキを逃す時枝ではなく小さい振り幅で鋭く蹴りだし左サイドにパスを出す。愛翔のデコイランが成功した形だ。さらに愛翔は右サイドをトップスピードで駆けあがる。そして更にセンターに切り込む。そこに左サイドからグラインダーのパスが出た。芦原がシュートモーションに入りディフェンダーが前を塞ぐ。芦原は、シュートモーションからワンタッチでパスを流しボールはマークを置き去りにした愛翔の走り込む前方に転がる。
「住吉!」
「ったく、こいつら俺に楽をさせる気全くないな」
いつもにも増しギリギリを要求してくるチームメンバーに愛翔は愚痴をこぼしつつボールをキープし、すぐさまシュートを放つ。アウトフロントでこすり上げるように蹴りぬかれたボールはゴールキーパーの直前で鋭く曲がり落ちその手をかいくぐりゴールネットに突き刺さった。
「ナイスシュート住吉」
芦原の声に
「もう少し余裕のあるパスがもらえると嬉しいんだけどな」
愛翔は拳を突き出しぶつけあう。
「ははん、日米交流戦に出ようってやつが何言ってやがる。あのくらい厳しいパスを物に出来なきゃ国際試合じゃ役に立たないぜ」
「いやいや、あそこで余裕のあるパスが出せないと日米交流戦にでるには……」
「おう、住吉。それは俺に喧嘩売ってるのか、売ってるよな」
「はは、まさか喧嘩なんか売ってないぞ。本心だ」
「なお悪いわ」
笑い合うチームメンバー。チームの雰囲気はとても良い。加入したばかりの自分が選ばれることでチームの雰囲気が悪くなることを懸念していた愛翔は心の中でホッと胸をなでおろしていた。
「じゃあ、行ってくる」
そう言って愛翔が新幹線に乗り込む。選抜合宿のためナショナルトレーニングセンターに行くためだ。見送る桜、楓、そして丘、加藤。
「頑張って、選抜への切符をつかむのよ」
「それでも無理はしちゃだめだからね、合宿は今回だけじゃないんだから」
「住吉君。あなたの夢への扉を開けることを祈っているわ」
「す、住吉君頑張って。君ならきっと……」
キラキラした瞳で見送る桜と楓、慈愛の表情を見せる丘、憧れの視線を向ける加藤。それぞれの想いを込めた言葉で愛翔を送った。
ミニゲーム形式の練習中、愛翔には2人マークがつけられている。それを巧みなフェイントで引きはがす愛翔。
「ヘイ!時枝こっちだ」
同じく2人マークをつけられ前に出られずにいる時枝にアピールする愛翔。その愛翔の声に時枝についていたマークが一瞬だけ気を取られた。そのスキを逃す時枝ではなく小さい振り幅で鋭く蹴りだし左サイドにパスを出す。愛翔のデコイランが成功した形だ。さらに愛翔は右サイドをトップスピードで駆けあがる。そして更にセンターに切り込む。そこに左サイドからグラインダーのパスが出た。芦原がシュートモーションに入りディフェンダーが前を塞ぐ。芦原は、シュートモーションからワンタッチでパスを流しボールはマークを置き去りにした愛翔の走り込む前方に転がる。
「住吉!」
「ったく、こいつら俺に楽をさせる気全くないな」
いつもにも増しギリギリを要求してくるチームメンバーに愛翔は愚痴をこぼしつつボールをキープし、すぐさまシュートを放つ。アウトフロントでこすり上げるように蹴りぬかれたボールはゴールキーパーの直前で鋭く曲がり落ちその手をかいくぐりゴールネットに突き刺さった。
「ナイスシュート住吉」
芦原の声に
「もう少し余裕のあるパスがもらえると嬉しいんだけどな」
愛翔は拳を突き出しぶつけあう。
「ははん、日米交流戦に出ようってやつが何言ってやがる。あのくらい厳しいパスを物に出来なきゃ国際試合じゃ役に立たないぜ」
「いやいや、あそこで余裕のあるパスが出せないと日米交流戦にでるには……」
「おう、住吉。それは俺に喧嘩売ってるのか、売ってるよな」
「はは、まさか喧嘩なんか売ってないぞ。本心だ」
「なお悪いわ」
笑い合うチームメンバー。チームの雰囲気はとても良い。加入したばかりの自分が選ばれることでチームの雰囲気が悪くなることを懸念していた愛翔は心の中でホッと胸をなでおろしていた。
「じゃあ、行ってくる」
そう言って愛翔が新幹線に乗り込む。選抜合宿のためナショナルトレーニングセンターに行くためだ。見送る桜、楓、そして丘、加藤。
「頑張って、選抜への切符をつかむのよ」
「それでも無理はしちゃだめだからね、合宿は今回だけじゃないんだから」
「住吉君。あなたの夢への扉を開けることを祈っているわ」
「す、住吉君頑張って。君ならきっと……」
キラキラした瞳で見送る桜と楓、慈愛の表情を見せる丘、憧れの視線を向ける加藤。それぞれの想いを込めた言葉で愛翔を送った。
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