107 / 314
第107話 いつもはカッコいいのに
しおりを挟む
ジムワークの後軽くシャワーを浴び、愛翔はステラスポーツセンターのテラスでくつろいでいる。光野高校は文化祭開けの代休のため休みだけれど、本来平日なため人も少なく周囲は比較的空いている。そのテラス席の向こうに2人のとても目立つ少女が歩いてきた。
「桜、楓。こっちだ」
愛翔が立ち上がり手を振ると、2人は嬉しそうに駆け寄ってくる。
「あいとー、おまたせ」
桜がいつものように右腕に抱きつく。
「ふふ、私も来ちゃった」
そう言いながら楓も左腕にだきついた。そして愛翔を上目使いに見ながら、
「私も一緒にプール、いいわよね。愛翔の会員証でビジター3人までは入れるんでしょ」
その様子に愛翔はクスリと笑い。
「いいよ、3人でプール入ろう。ただし、桜にはいってあるけど、俺は水中トレーニングを目的にプールに行くんだからな。遊ぶのはその後だぞ」
愛翔が釘をさすけれど、そこにはとても嬉しそうに笑う楓がいた。拒否ではなく受け入れてくれる愛翔。愛翔にとって楓を受け入れるのは当たり前なのは楓にもわかっている。それでも一見デートを邪魔しに来たような形の楓でさえ何のこだわりもなく受け入れてくれる愛翔が嬉しく愛おしく感じていた。
「とりあえず、お弁当食べましょ。桜と私の合作よ」
「じゃぁとりあえず、中に入って更衣室の出口で待ち合わせな」
愛翔はそう言うと男子更衣室に入っていく。愛翔を見送った楓は桜に声をかけた。
「いこっか」
「うん」
着替えを終えた愛翔は女子更衣室出口そばで壁にもたれて桜と楓を待っていた。そこにキャイキャイとはしゃぐ声が響き愛翔が目を向けると
「あーいと、おまたせー」
白いスポーティなセパレートタイプの水着を着た桜が愛翔を見つけた途端にパタパタと駆け寄り愛翔の右腕に抱きつく。そして一旦愛翔の腕を離し照れるように両手を体の前で合わせ
「どう?」
愛翔に見せるようにクルリと1回転してみせる。
「ああ、可愛いよ、スポーティで桜に似合ってる」
愛翔が感想を口にすると桜は嬉しそうに再び愛翔の右腕に抱きつく。
そこに、桜に少し遅れて楓が歩み寄った。
「私はどうかしら?」
楓が着ているのは赤とグリーンのリーフ柄のハイネックビキニ。
「大人っぽくて楓に似合ってる」
愛翔が言うと楓もスッと左腕につかまるように抱きつく。
「あ、あのさ。2人とも水着で抱きつかれるとちょっと」
普段と変わらないスキンシップではあるけれど水着ではやはり違う。そのため愛翔のちょっと困ったような照れたような言葉に
「あ、何か感じちゃった?中学時代と比べたらあたしたちも成長したから?」
桜が嬉しそうに愛翔を揶揄いさらにぎゅっと抱きつく。楓もあえて強調するような抱きつき方をしながら
「普段と変わらないわよ。どうしたの?」
照れる愛翔が珍しいためか、楓も容赦がない。
「あぁ、もう。俺も男なんだよ。2人とも可愛くて魅力的な女の子なんだからな。服着てるときは慣れてるけど水着では少し手加減してくれ」
桜も楓もクスクスと笑うだけで愛翔の腕を離すけはいはない。
「と、とにかく、俺はトレーニングに行くから」
少々強引に腕をほどいてトレーニングプールに向かう愛翔に
「いつもはカッコいいのに、こういうとこだけはヘタレるのね」
楓が頬を膨らませ、桜が唇を尖らせ拗ねた。
「なんとでも言っとけ」
愛翔は逃げるようにプールに飛び込んだ。
「桜、楓。こっちだ」
愛翔が立ち上がり手を振ると、2人は嬉しそうに駆け寄ってくる。
「あいとー、おまたせ」
桜がいつものように右腕に抱きつく。
「ふふ、私も来ちゃった」
そう言いながら楓も左腕にだきついた。そして愛翔を上目使いに見ながら、
「私も一緒にプール、いいわよね。愛翔の会員証でビジター3人までは入れるんでしょ」
その様子に愛翔はクスリと笑い。
「いいよ、3人でプール入ろう。ただし、桜にはいってあるけど、俺は水中トレーニングを目的にプールに行くんだからな。遊ぶのはその後だぞ」
愛翔が釘をさすけれど、そこにはとても嬉しそうに笑う楓がいた。拒否ではなく受け入れてくれる愛翔。愛翔にとって楓を受け入れるのは当たり前なのは楓にもわかっている。それでも一見デートを邪魔しに来たような形の楓でさえ何のこだわりもなく受け入れてくれる愛翔が嬉しく愛おしく感じていた。
「とりあえず、お弁当食べましょ。桜と私の合作よ」
「じゃぁとりあえず、中に入って更衣室の出口で待ち合わせな」
愛翔はそう言うと男子更衣室に入っていく。愛翔を見送った楓は桜に声をかけた。
「いこっか」
「うん」
着替えを終えた愛翔は女子更衣室出口そばで壁にもたれて桜と楓を待っていた。そこにキャイキャイとはしゃぐ声が響き愛翔が目を向けると
「あーいと、おまたせー」
白いスポーティなセパレートタイプの水着を着た桜が愛翔を見つけた途端にパタパタと駆け寄り愛翔の右腕に抱きつく。そして一旦愛翔の腕を離し照れるように両手を体の前で合わせ
「どう?」
愛翔に見せるようにクルリと1回転してみせる。
「ああ、可愛いよ、スポーティで桜に似合ってる」
愛翔が感想を口にすると桜は嬉しそうに再び愛翔の右腕に抱きつく。
そこに、桜に少し遅れて楓が歩み寄った。
「私はどうかしら?」
楓が着ているのは赤とグリーンのリーフ柄のハイネックビキニ。
「大人っぽくて楓に似合ってる」
愛翔が言うと楓もスッと左腕につかまるように抱きつく。
「あ、あのさ。2人とも水着で抱きつかれるとちょっと」
普段と変わらないスキンシップではあるけれど水着ではやはり違う。そのため愛翔のちょっと困ったような照れたような言葉に
「あ、何か感じちゃった?中学時代と比べたらあたしたちも成長したから?」
桜が嬉しそうに愛翔を揶揄いさらにぎゅっと抱きつく。楓もあえて強調するような抱きつき方をしながら
「普段と変わらないわよ。どうしたの?」
照れる愛翔が珍しいためか、楓も容赦がない。
「あぁ、もう。俺も男なんだよ。2人とも可愛くて魅力的な女の子なんだからな。服着てるときは慣れてるけど水着では少し手加減してくれ」
桜も楓もクスクスと笑うだけで愛翔の腕を離すけはいはない。
「と、とにかく、俺はトレーニングに行くから」
少々強引に腕をほどいてトレーニングプールに向かう愛翔に
「いつもはカッコいいのに、こういうとこだけはヘタレるのね」
楓が頬を膨らませ、桜が唇を尖らせ拗ねた。
「なんとでも言っとけ」
愛翔は逃げるようにプールに飛び込んだ。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
碧恋の詠―貴方さえ護れるのなら、許されなくても浅はかに。【現在他サイトにて連載中です(詳細は近況ボードまたは最新話部分をご確認ください)】
宵月葵
恋愛
現実をしばし離れて 胸きゅんな “時の旅” へおこしやす……
今年中の完結をめざしつつも
永遠に続いてほしくなる非日常を……お送りできたらさいわいです
せつなめ激甘系恋愛小説 × シリアス歴史時代小説 × まじめに哲学小説 × 仏教SF小説
☆ 歴史の事前知識は 要りません ☆
歴史と時代背景に とことんこだわった タイムスリップ仕立ての
愛と生と死を濃厚に掘り下げた ヒューマンドラマ with 仏教SFファンタジー ラノベ風味 ……です。
これは禁断の恋?――――――
江戸幕末の動乱を生きた剣豪 新選組の沖田総司と
生きる事に執着の持てない 悩める現代の女子高生の
時代を超えた 恋の物語
新選組の男達に 恋われ求められても
唯ひとりの存在しかみえていない彼女の
一途な恋の行く末は
だが許されざるもの……
恋落ち覚悟で いらっしゃいませ……
深い愛に溢れた 一途な可愛いヒロインと “本物のイイ男” 達で お魅せいたします……
☆ 昔に第1部を書いて放置していたため、現代設定が平成12年です
プロットだけ大幅変更し、初期設定はそのままで続けてます
☆ ヒロインも初期設定のまま高3の女の子ですが、今の新プロットでの内容は総じて大人の方向けです
ですが、できるだけ若い方たちにも門戸を広げていたく、性描写の面では物語の構成上不可欠な範囲かつR15の範囲(※)に留めてます
※ アルファポリスR15の規定(作品全体のおよそ1/5以上に性行為もしくはそれに近しい表現があるもの。作品全体のおよそ1/5以下だが過激な性表現があるもの。) の範囲内
★ …と・は作者の好みで使い分けております ―もその場に応じ個数を変えて並べてます
☆ 歴史については、諸所で分かり易いよう心がけております
本小説を読み終えられた暁には、あなた様は新選組通、は勿論のこと、けっこうな幕末通になってらっしゃるはずです
☆ 史料から読みとれる沖田総司像に忠実に描かせていただいています
☆ 史料考察に基づき、本小説の沖田さんは池田屋事変で血を吐かないのは勿論のこと、昏倒もしません
ほか沖田氏縁者さんと病の関係等、諸所で提唱する考察は、新説としてお受け取りいただければと存じます
☆ 親子問題を扱っており、少しでも双方をつなぐ糸口になればと願っておりますが、極端な虐待を対象にはできておりません
万人の立場に適うことは残念ながら難しく、恐縮ながらその点は何卒ご了承下さいませ
※ 現在、全年齢版も連載しています
(作者近況ボードご参照)
【完結】愛とは呼ばせない
野村にれ
恋愛
リール王太子殿下とサリー・ペルガメント侯爵令嬢は六歳の時からの婚約者である。
二人はお互いを励まし、未来に向かっていた。
しかし、王太子殿下は最近ある子爵令嬢に御執心で、サリーを蔑ろにしていた。
サリーは幾度となく、王太子殿下に問うも、答えは得られなかった。
二人は身分差はあるものの、子爵令嬢は男装をしても似合いそうな顔立ちで、長身で美しく、
まるで対の様だと言われるようになっていた。二人を見つめるファンもいるほどである。
サリーは婚約解消なのだろうと受け止め、承知するつもりであった。
しかし、そうはならなかった。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】たとえあなたに選ばれなくても
神宮寺 あおい
恋愛
人を踏みつけた者には相応の報いを。
伯爵令嬢のアリシアは半年後に結婚する予定だった。
公爵家次男の婚約者、ルーカスと両思いで一緒になれるのを楽しみにしていたのに。
ルーカスにとって腹違いの兄、ニコラオスの突然の死が全てを狂わせていく。
義母の願う血筋の継承。
ニコラオスの婚約者、フォティアからの横槍。
公爵家を継ぐ義務に縛られるルーカス。
フォティアのお腹にはニコラオスの子供が宿っており、正統なる後継者を望む義母はルーカスとアリシアの婚約を破棄させ、フォティアと婚約させようとする。
そんな中アリシアのお腹にもまた小さな命が。
アリシアとルーカスの思いとは裏腹に2人は周りの思惑に振り回されていく。
何があってもこの子を守らなければ。
大切なあなたとの未来を夢見たいのに許されない。
ならば私は去りましょう。
たとえあなたに選ばれなくても。
私は私の人生を歩んでいく。
これは普通の伯爵令嬢と訳あり公爵令息の、想いが報われるまでの物語。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読む前にご確認いただけると助かります。
1)西洋の貴族社会をベースにした世界観ではあるものの、あくまでファンタジーです
2)作中では第一王位継承者のみ『皇太子』とし、それ以外は『王子』『王女』としています
よろしくお願いいたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
誤字を教えてくださる方、ありがとうございます。
読み返してから投稿しているのですが、見落としていることがあるのでとても助かります。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
逃げた先で見つけた幸せはずっと一緒に。
しゃーりん
恋愛
侯爵家の跡継ぎにも関わらず幼いころから虐げられてきたローレンス。
父の望む相手と結婚したものの妻は義弟の恋人で、妻に子供ができればローレンスは用済みになると知り、家出をする。
旅先で出会ったメロディーナ。嫁ぎ先に向かっているという彼女と一晩を過ごした。
陰からメロディーナを見守ろうと、彼女の嫁ぎ先の近くに住むことにする。
やがて夫を亡くした彼女が嫁ぎ先から追い出された。近くに住んでいたことを気持ち悪く思われることを恐れて記憶喪失と偽って彼女と結婚する。
平民として幸せに暮らしていたが貴族の知り合いに見つかり、妻だった義弟の恋人が子供を産んでいたと知る。
その子供は誰の子か。ローレンスの子でなければ乗っ取りなのではないかと言われたが、ローレンスは乗っ取りを承知で家出したため戻る気はない。
しかし、乗っ取りが暴かれて侯爵家に戻るように言われるお話です。
妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
【完結】イアンとオリエの恋 ずっと貴方が好きでした。
たろ
恋愛
この話は
【そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします】の主人公二人のその後です。
イアンとオリエの恋の話の続きです。
【今夜さよならをします】の番外編で書いたものを削除して編集してさらに最後、数話新しい話を書き足しました。
二人のじれったい恋。諦めるのかやり直すのか。
悩みながらもまた二人は………
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる