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第103話 贅沢

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打ち上げでさんざん騒いだあと遅くなり過ぎないようにと解散し、今愛翔たち3人は愛翔の家のリビングのローソファでくつろいでいる。
「へぇ、U18選抜で日米交流戦かぁ。愛翔は向こうの知り合いがでてきたりするんじゃない?」
楓が感心したように口にした。
「どうかな。U18カテゴリーだとあんまり知り合い多くないかならぁ」
「でも愛翔はどんどん大きくなるね」
桜もまるで眩しい物を見るように愛翔を見る。
「おいおい、まだ選抜メンバーに選ばれるって決まったわけじゃないんだぞ。たしかU18カテゴリーのクラブチームは全国で30以上あるはず。他にも有力な高校生なら招聘するんじゃないかな。で、1次選抜で50人くらい集めて選抜合宿みたいなのやって。そこで最終的な選抜メンバーを決めるらしい。中々に狭き門だよ」
「でもU18カテゴリー代表の予備審査みたいなものでしょ。そこに目線が向くだけでも。それにまだ16歳なんだから、U18カテゴリーの代表を狙えるって時点で凄い事だと思うな」
桜はスポーツ経験者の目線だ。
「でもね、そんな凄いことに挑戦する愛翔を見てるとあたしも頑張るって思えるの」
一転恋する少女になった桜は、ソファに身体を預ける愛翔の左から身体をよせる。
「ま、俺の夢だからね。夢をかなえるには頑張るのは当たり前てか、好きなことして生活できるようにしようって贅沢なことしようとしてんだから他の人より苦労して当たり前だからな」
そんな愛翔の右側から楓が身体を預けてる。
「でも無理し過ぎてケガとかしないでよ」
「大丈夫。道半ばで無理し過ぎて挑戦権さえなくすなんてことはごめんだからね」
愛翔は”ふわぁっ”とあくびを噛み殺しながら答える。
「ふふ、お疲れね。ところでごはんどうする?打ち上げじゃピザを少しつまんだくらいでしょ。食べるならあたし作るわよ」
愛翔に甘えながらも桜が気を使う。
「ああ、ありがとう。でももう遅いし。2人を家に送ってから自分でやるよ。いや、送った帰りにコンビニで何か買ってくるかな」
時計はそろそろ10時になることを示している。帰宅のためとはいえ未成年が外を歩くのはそろそろ限界の時間だ、これ以上遅くなるわけにはいかない。
「ええー、帰るのめんどくさい。今日泊めてよ」
桜が甘える。楓も少し期待した目で愛翔を見ている。
「ダメだ。俺たちはお互いを大切にしている幼馴染だけど高校生だから。これが小学生なら泊っても何も問題ないし、大人ならそれぞれの責任なんだろうけどな」
愛翔の強い言葉に2人も折れた。
「分かったわよ。でもうちの親は愛翔が相手ならむしろ喜んじゃう気もするけど。あ、明日明後日は代休で休みだから朝から来てもいいわよね」
桜が積極的だ。愛翔がめずらしく目を逸らす。
「ごめん、言い訳をした。本当は2人から告白をされて返事をしてない状態で泊めるのがダメな気がしたんだ。だから泊りは勘弁してくれ。それと朝から来るのは構わない。けど、俺は朝から文化祭で休んだ分を上乗せしたトレーニングするから、その間は相手できないぞ」
「ん、大丈夫。むしろ朝早めに来て朝ごはん作ってあげる。そうすれば愛翔もトレーニングに集中できるでしょ」
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