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第101話 100話達成記念SS ケイトとクリス
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「あ、ケイト。おはよう」
背中の中ほどまでの蜂蜜色の髪を風になびかせ、170cmの細身を躍らせるゲルマン系少女が、腰までの波打つストロベリーブロンドの150センチほどの小柄なアングロサクソン系のに少女に声を掛けた。
「あら、結局アイトに相手にもされなかったクリス。おはよう」
クリスと呼ばれた少女はむっとした顔で言い返す。
「あ、あれは、しかたないじゃない。アイトが日本に帰るっていうんだもの。それにそう言ったらケイトだって振られたんじゃないの」
「あたしは振られてないわよ。ちゃ、ちゃんと考えるって言ってもらったもの」
「脅して無理やり言わせた、の間違いでしょ。飛行機のフライト時間の間際にそうしないと離さないって言って抱きついて泣きわめいてたの見てたんだからね」
「た、たとえそうでも、振られてない。あなたと違って振られてないから」
そこにややくすんだ金髪を短く刈り込んだ身長180センチほどの長身にがっちりした筋肉質の男が笑いながら声を掛けてきた。
「よ、また妄想のアイト争奪戦か?」
「う、うっさい。妄想じゃないから。あたしはちゃんとアイトを落とすんだから」
ケイトの言葉にカイルは可哀そうな目を向け言葉を続ける。
「アイトは日本。ここはアメリカ。2人はアイトとの連絡手段も無い。どうやって落とす?」
さらにカイルは追撃をする。
「あと、これはアイトに聞いたんだけど、アイトは日本に待ってる女の子がいるんだってよ。こっちでステディ作らなかった理由はそれなんだってさ」
カイルの言葉に驚くケイトとクリス。
「な、聞いてないわよそんなの」
かろうじて絞り出したクリスの言葉はかすれていた。
そこにカイルがスマホを差し出してきた。
「何よこれ?」
「日本のネットテレビ。元は当然日本語だけど、英訳付きでダウンロードしてきた」
「なにこれ?アイト日本に帰ったとたんになにやらかしてるのよ?」
クリスが呆れたと両手をひらいた。
「で、こっちがアイトのSNSから拡散された画像。元画像は削除されてる」
「つまりアイトが日本に帰ったら大切な人という幼馴染が学校で嫌がらせされていて切れたと」
ケイトの端的すぎる要約にカイルも頭を掻いていた。
「ま、つまりそこまでするほどの相手がいるってことだ」
「な、なによ。つまり何が言いたいのよあんたは」
カイルの言い様にいら立つケイトとクリス。
「アイトは日本のそこまでしてでも守るライバルのそばに居て。お前たちは、アメリカにいて碌にやり取りさえ出来ない。これが今の現実だよな」
「カイル。あんたはとどめを刺しに来たの?」
ギリギリと奥歯をかみしめるように言葉を絞り出すクリス。しかしカイルは、そこで表情を緩めた。
「いや、お前たちにあがくつもりがあるかが聞きたくてな」
「なによ、思わせぶりに。あたしだってチャンスがあるなら掴みに行くわよ」
ケイトがカイルの微妙な表現に首を傾げる。
「これを見てみろよ」
カイルは再び2人にスマホを見せる。
”アメリカv.s.日本。サッカーU18選抜交流戦。サポーター募集”
「これがどうしたってのよ?」
「わからないか?あのアイトだぞ。U18選抜チームに選ばれる可能性は高いと思うんだがな」
カイルの言葉に顔を見合わせるケイトとクリス。
「つまり、このサポーターとして参加すれば」
「アイトに会える」
「ま、可能性は高いってことだ。お前らがそのサポーター枠に入れるかどうかってのと、アイトが本当にU18選抜に選ばれるかどうかってのはわからんがな」
ケイトとクリスは涙ぐみながらカイルの手を両手で握った。
「ありがとう、頑張る」
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SSのはずがメインストーリーに爆弾セット完了
背中の中ほどまでの蜂蜜色の髪を風になびかせ、170cmの細身を躍らせるゲルマン系少女が、腰までの波打つストロベリーブロンドの150センチほどの小柄なアングロサクソン系のに少女に声を掛けた。
「あら、結局アイトに相手にもされなかったクリス。おはよう」
クリスと呼ばれた少女はむっとした顔で言い返す。
「あ、あれは、しかたないじゃない。アイトが日本に帰るっていうんだもの。それにそう言ったらケイトだって振られたんじゃないの」
「あたしは振られてないわよ。ちゃ、ちゃんと考えるって言ってもらったもの」
「脅して無理やり言わせた、の間違いでしょ。飛行機のフライト時間の間際にそうしないと離さないって言って抱きついて泣きわめいてたの見てたんだからね」
「た、たとえそうでも、振られてない。あなたと違って振られてないから」
そこにややくすんだ金髪を短く刈り込んだ身長180センチほどの長身にがっちりした筋肉質の男が笑いながら声を掛けてきた。
「よ、また妄想のアイト争奪戦か?」
「う、うっさい。妄想じゃないから。あたしはちゃんとアイトを落とすんだから」
ケイトの言葉にカイルは可哀そうな目を向け言葉を続ける。
「アイトは日本。ここはアメリカ。2人はアイトとの連絡手段も無い。どうやって落とす?」
さらにカイルは追撃をする。
「あと、これはアイトに聞いたんだけど、アイトは日本に待ってる女の子がいるんだってよ。こっちでステディ作らなかった理由はそれなんだってさ」
カイルの言葉に驚くケイトとクリス。
「な、聞いてないわよそんなの」
かろうじて絞り出したクリスの言葉はかすれていた。
そこにカイルがスマホを差し出してきた。
「何よこれ?」
「日本のネットテレビ。元は当然日本語だけど、英訳付きでダウンロードしてきた」
「なにこれ?アイト日本に帰ったとたんになにやらかしてるのよ?」
クリスが呆れたと両手をひらいた。
「で、こっちがアイトのSNSから拡散された画像。元画像は削除されてる」
「つまりアイトが日本に帰ったら大切な人という幼馴染が学校で嫌がらせされていて切れたと」
ケイトの端的すぎる要約にカイルも頭を掻いていた。
「ま、つまりそこまでするほどの相手がいるってことだ」
「な、なによ。つまり何が言いたいのよあんたは」
カイルの言い様にいら立つケイトとクリス。
「アイトは日本のそこまでしてでも守るライバルのそばに居て。お前たちは、アメリカにいて碌にやり取りさえ出来ない。これが今の現実だよな」
「カイル。あんたはとどめを刺しに来たの?」
ギリギリと奥歯をかみしめるように言葉を絞り出すクリス。しかしカイルは、そこで表情を緩めた。
「いや、お前たちにあがくつもりがあるかが聞きたくてな」
「なによ、思わせぶりに。あたしだってチャンスがあるなら掴みに行くわよ」
ケイトがカイルの微妙な表現に首を傾げる。
「これを見てみろよ」
カイルは再び2人にスマホを見せる。
”アメリカv.s.日本。サッカーU18選抜交流戦。サポーター募集”
「これがどうしたってのよ?」
「わからないか?あのアイトだぞ。U18選抜チームに選ばれる可能性は高いと思うんだがな」
カイルの言葉に顔を見合わせるケイトとクリス。
「つまり、このサポーターとして参加すれば」
「アイトに会える」
「ま、可能性は高いってことだ。お前らがそのサポーター枠に入れるかどうかってのと、アイトが本当にU18選抜に選ばれるかどうかってのはわからんがな」
ケイトとクリスは涙ぐみながらカイルの手を両手で握った。
「ありがとう、頑張る」
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SSのはずがメインストーリーに爆弾セット完了
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