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召喚の影響?
第151話 リーダー
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「ねえ、瑶さん。さっきのあれで本当によかったんですか?」
「どこにも問題はないよ。何か気になるところでもあった?」
あたしは、南門に向かいながらさっきのハンターギルドへの報告について瑶さんに聞いている。
「た、確かに嘘はありませんでした。でも……」
「わたし達が5級ハンターパーティーであることは間違いないよ。例えランクが実力に追い付いていなくてもね」
「でも、それで多くのハンターがしなくてもいい怪我をしたり、場合によっては……」
「そこは、ギルドの責任かな」
「え?」
「そうですよ。朝未様。1ハンターパーティーの報告を裏を取ることなく鵜呑みにしたとしたならギルドの責任です」
え?マルティナさんまで?
「朝未様。ハンターはそれぞれに秘匿したい情報を持っているものです。となれば、報告されたものより強力な戦力を想定するのは当然です。それを怠るのなら、それはギルドの怠慢です」
「え?報告内容に対してそんなことまで考慮するの?」
「当然です。そうでなくても偶然という因子はあります。より高位のハンターに確認させるのは当然のことです」
「いわゆる裏を取るってことかしら?」
「場合によっては、報告者の力量の確認や更なる事情聴取などもありえるのです。ですから、瑶様とミーガン様が報告直後にトランを出る日程にされたのは良き判断だったと思います。下手に付き合わされますと、場合によっては国が出てくる場合もありますので」
「うわ、それはたまらないわね。早くミーガンさんと合流してトランを出ましょ」
南門で待っていると、それほど待つことなくミーガンさんが馬車でやってきた。
「お待たせしました。少しばかり仕入れた商品の整理に手間取りまして」
「いえ、大して待っていませんし、依頼主であるミーガンさんを私達がお待たせするのよりずっと良いですから。むしろ丁度いい具合だと思います」
ミーガンさんと瑶さんの挨拶の間に馬車の中を覗くと、木箱が山のように積まれている。これを1日で整理したのなら時間が掛かっても当然ね。
「ミーガンさん、また随分と仕入れられましたね」
「ええ、商人としては、儲けられるのが分かっているのであれば出来る限り儲けるようにするべきですからね」
さすがは商人、可愛い顔はしていても、やり手ね。
「では、出発しましょう」
今日は瑶さんが号令をかけた。これが普通だと思うのよね。
「そういえば、今更ですが暁影のそらとしてのリーダーはどなたになるのでしょうか?」
ミーガンさんが、本当に今更な事を聞いて来たわね。大体聞くまでもなくリーダーは瑶さん……。あら?そういえばその辺り話し合ったことは無かったわね。でも普通に瑶さんでしょ。そう思って瑶さんを見ると、あたしを見てるわね。首を傾げて、今度はマルティナさんを見ると、マルティナさんもあたしを見てる。なんで?
「え?あたし達のリーダーって瑶さんでしょ?あたしずっとそのつもりでいましたよ」
「いや、私はずっと参謀ポジションのつもりでいたよ。むしろ朝未が、こうしたいって方向性をずっと出してきてたよね」
「え、瑶さん??」
「はい、わたしも朝未様をリーダーと思ってきていました」
「マルティナさんまで?」
え?ふたりともあたしをパーティーリーダーって思ってたの?
「でも、年齢とかいろいろな経験とか瑶さんのほうが……」
「だから、その辺りを利用してサポートしてきたつもりなんだよ」
「え?ええ?」
「わたしは、朝未様の奴隷ですし」
「それは形式的なものよね。マルティナさんの事は大事なパーティーメンバーだと思ってますよ」
「それでも、わたしは、朝未様に従います」
そ、そんな。いつの間にあたしがパーティーリーダーに?
「ぷっ、くくく。朝未、そんな深刻にならなくてもいいよ。そんなキッチリとしたものじゃなくても良いんだから。今まで通りに緩い感じで、みんなで話し合っていけばいい。何も責任を朝未に押し付けるつもりもないからね」
あたしが深刻に悩んでいたら、瑶さんがフォローしてくれた。
「もっとも、あたし達って別にリーダーがどうとかあまり関係ないですよね」
「う、うん、まあ、それでいいんじゃないかな」
「ええ、朝未様が、それでいいのでしたら」
「ええと、結局アサミ様がリーダーということでいいんですよね」
ミーガンさんに止めを刺されてしまった。
「どこにも問題はないよ。何か気になるところでもあった?」
あたしは、南門に向かいながらさっきのハンターギルドへの報告について瑶さんに聞いている。
「た、確かに嘘はありませんでした。でも……」
「わたし達が5級ハンターパーティーであることは間違いないよ。例えランクが実力に追い付いていなくてもね」
「でも、それで多くのハンターがしなくてもいい怪我をしたり、場合によっては……」
「そこは、ギルドの責任かな」
「え?」
「そうですよ。朝未様。1ハンターパーティーの報告を裏を取ることなく鵜呑みにしたとしたならギルドの責任です」
え?マルティナさんまで?
「朝未様。ハンターはそれぞれに秘匿したい情報を持っているものです。となれば、報告されたものより強力な戦力を想定するのは当然です。それを怠るのなら、それはギルドの怠慢です」
「え?報告内容に対してそんなことまで考慮するの?」
「当然です。そうでなくても偶然という因子はあります。より高位のハンターに確認させるのは当然のことです」
「いわゆる裏を取るってことかしら?」
「場合によっては、報告者の力量の確認や更なる事情聴取などもありえるのです。ですから、瑶様とミーガン様が報告直後にトランを出る日程にされたのは良き判断だったと思います。下手に付き合わされますと、場合によっては国が出てくる場合もありますので」
「うわ、それはたまらないわね。早くミーガンさんと合流してトランを出ましょ」
南門で待っていると、それほど待つことなくミーガンさんが馬車でやってきた。
「お待たせしました。少しばかり仕入れた商品の整理に手間取りまして」
「いえ、大して待っていませんし、依頼主であるミーガンさんを私達がお待たせするのよりずっと良いですから。むしろ丁度いい具合だと思います」
ミーガンさんと瑶さんの挨拶の間に馬車の中を覗くと、木箱が山のように積まれている。これを1日で整理したのなら時間が掛かっても当然ね。
「ミーガンさん、また随分と仕入れられましたね」
「ええ、商人としては、儲けられるのが分かっているのであれば出来る限り儲けるようにするべきですからね」
さすがは商人、可愛い顔はしていても、やり手ね。
「では、出発しましょう」
今日は瑶さんが号令をかけた。これが普通だと思うのよね。
「そういえば、今更ですが暁影のそらとしてのリーダーはどなたになるのでしょうか?」
ミーガンさんが、本当に今更な事を聞いて来たわね。大体聞くまでもなくリーダーは瑶さん……。あら?そういえばその辺り話し合ったことは無かったわね。でも普通に瑶さんでしょ。そう思って瑶さんを見ると、あたしを見てるわね。首を傾げて、今度はマルティナさんを見ると、マルティナさんもあたしを見てる。なんで?
「え?あたし達のリーダーって瑶さんでしょ?あたしずっとそのつもりでいましたよ」
「いや、私はずっと参謀ポジションのつもりでいたよ。むしろ朝未が、こうしたいって方向性をずっと出してきてたよね」
「え、瑶さん??」
「はい、わたしも朝未様をリーダーと思ってきていました」
「マルティナさんまで?」
え?ふたりともあたしをパーティーリーダーって思ってたの?
「でも、年齢とかいろいろな経験とか瑶さんのほうが……」
「だから、その辺りを利用してサポートしてきたつもりなんだよ」
「え?ええ?」
「わたしは、朝未様の奴隷ですし」
「それは形式的なものよね。マルティナさんの事は大事なパーティーメンバーだと思ってますよ」
「それでも、わたしは、朝未様に従います」
そ、そんな。いつの間にあたしがパーティーリーダーに?
「ぷっ、くくく。朝未、そんな深刻にならなくてもいいよ。そんなキッチリとしたものじゃなくても良いんだから。今まで通りに緩い感じで、みんなで話し合っていけばいい。何も責任を朝未に押し付けるつもりもないからね」
あたしが深刻に悩んでいたら、瑶さんがフォローしてくれた。
「もっとも、あたし達って別にリーダーがどうとかあまり関係ないですよね」
「う、うん、まあ、それでいいんじゃないかな」
「ええ、朝未様が、それでいいのでしたら」
「ええと、結局アサミ様がリーダーということでいいんですよね」
ミーガンさんに止めを刺されてしまった。
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