56 / 155
ギルドからの依頼
第56話 依頼
しおりを挟む
「うーん、探知魔法発動したまま補助魔法を切らさないように気を付けて、攻撃魔法を使うと今のレベルでは初級魔法でもちょっと魔力を込めて撃つと短時間には5発、多少のインターバルを入れても1回の戦闘中に使えるのは20発くらいまでかしら、それ以上は魔力がもたないわ」
「うん、魔物の群れがどのくらいの数か、魔法耐性がどのくらいかにもよるけど、余程の大きな群れだったり、お代わりが来ない限り行けそうかな」
あたしも同じ感想を持ったので頷いた。
「でも、出来るだけ弓で処理した方がよさそうかしらね」
「あとは、浅い場所から少しずつだね」
「そうすると、あの依頼は……」
「ギルド経由の直接の依頼だからね。多分私達のランクを上げるために斡旋してしてくれた部分もありそうだし受けよう。討伐数も規定されていないし、討伐対象も魔物という括りだけ。期間も長めだし成果なしってことにはならないだろうからね。何よりこの世界の中での魔物の強さを測るのに向いているだろうから」
「でも今回の討伐対象はゴブリンやオークで魔物の中では最弱って話じゃ……」
「もちろん。でもいきなりボスと戦うわけにはいかないからね」
あたしは瑶さんをジーっと見てひとこと。
「瑶さん。実はゲーマーよね」
あ、目を逸らしたわ。
「別に隠すような事じゃないと思うのだけど」
他にもアニメとかサブカル分野にも多少の知識あるわよね瑶さん。今は言わないでおいてあげるけど。クフフ。
「ま、今日のところはこれくらいかな。エルリックに戻って依頼の受諾処理をして、出来るだけ細かい情報を集めてって言ってもアレッシアさんに聞くしかないんだけどね」
瑶さんは自嘲するかのように苦笑しながら、今度はあたしと自分にアクセルを掛けたわ。
「街の外からは用が無いならさっさと引き上げた方が良いから。まあ朝未のアクセルより効果は少ないけど」
なにか言い訳っぽいわね。これは多分ゲーマー発言から話題を変えるのに必死ってとこかしら。あたしみたいな子供にカッコつけなくてもいいと思うのだけど。ううん、というよりこれだけの期間バディとして過ごしてきたのにその程度のことを隠さなくても良いのに。別にあたしはゲーマーを下に見るタイプじゃないし、仮に日本に居た頃にゲーマーを下に見ていてもきっと瑶さんなら受けれる自信あるのにな。
「アレッシアさん、例の依頼受けます。なのでわかる範囲の情報をください」
あたし達は瑶さんのアクセルの効果のなかランニングでエルリックまで戻った。行きは歩きで2時間半ほど掛けたおよそ10キロの道のりを高性能になった身体能力に瑶さんのアクセルの効果で15分ほどで駆け戻れたのには少しばかり驚いたわ。それだけのペースで走って息も切れないって、もう日本にこのまま帰ったら大変なことになるわね。
「あ、受けていただけることにされたんですね。ありがとうございます」
「いえ、内容を聞いてから判断させてもらいます。条件も聞かずにうけるのはさすがに」
「あ、そうですね。そうですよね。すみません。きちんと説明させていただきますね」
アレッシアさんに聞いたところ、今回の魔物の討伐依頼は領主から出ている依頼で魔物が人の生活領域の近くで確認されると領主の責任として討伐依頼がだされるらしいのね。
今回は、エルリックの北、徒歩で5時間くらいのエリアにゴブリンが10数体とオークが数体確認されたために討伐依頼が出たそうなの。
「え?たったそれだけの数のために領主から依頼が出るんですか?」
そんなあたしの疑問にアレッシアさんは微妙な笑顔を見せたの。
「その、ゴブリンやオークは1体みたら30体は隠れていると思えと言われる魔物なので、今回確認された数からすればゴブリンが300から500体、オークも100体以上が人の領域に侵入していると思われるんです。」
なにそれ、それなんてG?ラノベの中でよく使われるフレーズをあたしが思い浮かべるようになるなんて思わなかったわ。
「えと、それだと何をもって討伐終了って決めるんですか?」
「討伐依頼を受け、討伐に向かったハンターが一定期間討伐部位を持ち込まなくなった時点で終了となります。ある意味簡単ですね」
「いや、それだと依頼を受けると完了判定が出来なくて報酬の受け取りとかに影響が出るんじゃないですか?」
あたしの素朴な疑問にアレッシアさんが気軽に答え、瑶さんが困惑してるわね。
「その辺りは大丈夫です。この魔物討伐は長期間にわたる事も多いため、ハンターにもある程度の自由を認めています。例えば報酬は討伐に出られた日数当たりの最低日当と討伐部位を持ち替えられた分への討伐報酬でなりなっています。もちろん無責任にうけられてもこまるため最低10日または討伐完了判定が出るまで討伐に参加していただくことが条件ですが、それ以上の縛りはありません」
「なるほど、あとはその報酬額ですね」
「はい、まずは日当ですが、8級で1人1万スクルド、7級で1万5千スクルド、6級で2万スクルドとなります」
「ふーん、ランクによってだいぶ違うんですね」
「ええ、実際のところ通常期待される戦力比としてはそれ以上に違うのですが、さすがにこれ以上の差をつけるわけにはいかないというのが実情です」
「だから通常は6級ハンターに依頼するんですね」
「ただ、ヨウ様とアサミ様の場合は日当よりも討伐数で稼げそうという面もありお声がけさせていただきました」
「討伐数ですか?」
「ええ、討伐報酬、ゴブリンが1体1500スクルド、オークが1体2000スクルドなんです。これを標準的な8級ハンター5人パーティーで討伐するとゴブリンあたりで日に5から10体くらいなんですね。10体討伐しても1人当たり日当1万スクルドに討伐報酬3000スクルドとちょっと冴えないんですよね」
「まあ、一応命がけでそれじゃなあ」
「でも……」
瑶さんの言葉にアレッシアさんが意味深な視線をあたし達にむけたわね。
ああ、これは探知系の魔法も気づかれてるわね。先に見つけて先制攻撃して殲滅すればいいくらいに思っていそうだわ。
「うん、魔物の群れがどのくらいの数か、魔法耐性がどのくらいかにもよるけど、余程の大きな群れだったり、お代わりが来ない限り行けそうかな」
あたしも同じ感想を持ったので頷いた。
「でも、出来るだけ弓で処理した方がよさそうかしらね」
「あとは、浅い場所から少しずつだね」
「そうすると、あの依頼は……」
「ギルド経由の直接の依頼だからね。多分私達のランクを上げるために斡旋してしてくれた部分もありそうだし受けよう。討伐数も規定されていないし、討伐対象も魔物という括りだけ。期間も長めだし成果なしってことにはならないだろうからね。何よりこの世界の中での魔物の強さを測るのに向いているだろうから」
「でも今回の討伐対象はゴブリンやオークで魔物の中では最弱って話じゃ……」
「もちろん。でもいきなりボスと戦うわけにはいかないからね」
あたしは瑶さんをジーっと見てひとこと。
「瑶さん。実はゲーマーよね」
あ、目を逸らしたわ。
「別に隠すような事じゃないと思うのだけど」
他にもアニメとかサブカル分野にも多少の知識あるわよね瑶さん。今は言わないでおいてあげるけど。クフフ。
「ま、今日のところはこれくらいかな。エルリックに戻って依頼の受諾処理をして、出来るだけ細かい情報を集めてって言ってもアレッシアさんに聞くしかないんだけどね」
瑶さんは自嘲するかのように苦笑しながら、今度はあたしと自分にアクセルを掛けたわ。
「街の外からは用が無いならさっさと引き上げた方が良いから。まあ朝未のアクセルより効果は少ないけど」
なにか言い訳っぽいわね。これは多分ゲーマー発言から話題を変えるのに必死ってとこかしら。あたしみたいな子供にカッコつけなくてもいいと思うのだけど。ううん、というよりこれだけの期間バディとして過ごしてきたのにその程度のことを隠さなくても良いのに。別にあたしはゲーマーを下に見るタイプじゃないし、仮に日本に居た頃にゲーマーを下に見ていてもきっと瑶さんなら受けれる自信あるのにな。
「アレッシアさん、例の依頼受けます。なのでわかる範囲の情報をください」
あたし達は瑶さんのアクセルの効果のなかランニングでエルリックまで戻った。行きは歩きで2時間半ほど掛けたおよそ10キロの道のりを高性能になった身体能力に瑶さんのアクセルの効果で15分ほどで駆け戻れたのには少しばかり驚いたわ。それだけのペースで走って息も切れないって、もう日本にこのまま帰ったら大変なことになるわね。
「あ、受けていただけることにされたんですね。ありがとうございます」
「いえ、内容を聞いてから判断させてもらいます。条件も聞かずにうけるのはさすがに」
「あ、そうですね。そうですよね。すみません。きちんと説明させていただきますね」
アレッシアさんに聞いたところ、今回の魔物の討伐依頼は領主から出ている依頼で魔物が人の生活領域の近くで確認されると領主の責任として討伐依頼がだされるらしいのね。
今回は、エルリックの北、徒歩で5時間くらいのエリアにゴブリンが10数体とオークが数体確認されたために討伐依頼が出たそうなの。
「え?たったそれだけの数のために領主から依頼が出るんですか?」
そんなあたしの疑問にアレッシアさんは微妙な笑顔を見せたの。
「その、ゴブリンやオークは1体みたら30体は隠れていると思えと言われる魔物なので、今回確認された数からすればゴブリンが300から500体、オークも100体以上が人の領域に侵入していると思われるんです。」
なにそれ、それなんてG?ラノベの中でよく使われるフレーズをあたしが思い浮かべるようになるなんて思わなかったわ。
「えと、それだと何をもって討伐終了って決めるんですか?」
「討伐依頼を受け、討伐に向かったハンターが一定期間討伐部位を持ち込まなくなった時点で終了となります。ある意味簡単ですね」
「いや、それだと依頼を受けると完了判定が出来なくて報酬の受け取りとかに影響が出るんじゃないですか?」
あたしの素朴な疑問にアレッシアさんが気軽に答え、瑶さんが困惑してるわね。
「その辺りは大丈夫です。この魔物討伐は長期間にわたる事も多いため、ハンターにもある程度の自由を認めています。例えば報酬は討伐に出られた日数当たりの最低日当と討伐部位を持ち替えられた分への討伐報酬でなりなっています。もちろん無責任にうけられてもこまるため最低10日または討伐完了判定が出るまで討伐に参加していただくことが条件ですが、それ以上の縛りはありません」
「なるほど、あとはその報酬額ですね」
「はい、まずは日当ですが、8級で1人1万スクルド、7級で1万5千スクルド、6級で2万スクルドとなります」
「ふーん、ランクによってだいぶ違うんですね」
「ええ、実際のところ通常期待される戦力比としてはそれ以上に違うのですが、さすがにこれ以上の差をつけるわけにはいかないというのが実情です」
「だから通常は6級ハンターに依頼するんですね」
「ただ、ヨウ様とアサミ様の場合は日当よりも討伐数で稼げそうという面もありお声がけさせていただきました」
「討伐数ですか?」
「ええ、討伐報酬、ゴブリンが1体1500スクルド、オークが1体2000スクルドなんです。これを標準的な8級ハンター5人パーティーで討伐するとゴブリンあたりで日に5から10体くらいなんですね。10体討伐しても1人当たり日当1万スクルドに討伐報酬3000スクルドとちょっと冴えないんですよね」
「まあ、一応命がけでそれじゃなあ」
「でも……」
瑶さんの言葉にアレッシアさんが意味深な視線をあたし達にむけたわね。
ああ、これは探知系の魔法も気づかれてるわね。先に見つけて先制攻撃して殲滅すればいいくらいに思っていそうだわ。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
元剣聖のスケルトンが追放された最弱美少女テイマーのテイムモンスターになって成り上がる
ゆる弥
ファンタジー
転生した体はなんと骨だった。
モンスターに転生してしまった俺は、たまたま助けたテイマーにテイムされる。
実は前世が剣聖の俺。
剣を持てば最強だ。
最弱テイマーにテイムされた最強のスケルトンとの成り上がり物語。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる